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新婚さんBL(誤)

こんにちは目箒です。

教育によろしくないメンズラブについて語るnoteです。
関連noteは「#氷点の水底」で。

前回までのあらすじ

やる気が戻って来たので続きを書いて更新したよ。

ということで、中堂さんの小田桐に対する感情が微妙に揺らいできたというところですね。今回の更新分は小田桐視点のお話です。

小田桐は順調なつもり

「豚汁かよ」
「豚汁です」
 その日の昼、休憩時間に持ってきた弁当を食べていると、後からやって来た五月女が笑った。
「それも下宿の大家さん?」
「あ、これは俺が作りました」
「へー? 下宿ってそう言うもんなの?」
「豚汁得意なんですよって言ったら、食べてみたいって言ってくれたんで」
「ふーん。仲良いんだね」
「そっすね」
 仲は良いと思う。ベッドでのことを指しているわけではない。日常生活においても、自分たちはよく話す。最初は得体の知れなかった中堂も、話してみるとただの人間だった。当然と言えば当然だが、小田桐は中堂をある程度親しい人間として受け入れている。

小田桐は中堂さんと仲が良いつもりでいます。だから中堂さんに足りないのは「君を好きと言う素直な気持ち」なんだよ!!! マジで!!!

「あ、そう言えば、大家さんに心配されたんですよ」
「何を?」
「全然残業してないけど窓際なんですか? って」
「面白いね」
 実際に言われたのは、「全然残業してませんけど、窓際族なんですか? 薬学部六年分の学費出して卒業させた息子が、二十代にして窓際ってご両親はどう思うでしょうね」だったのだが。

こう言う嫌みだけはすらすら出てくる中堂(42)

新婚さんBL(誤)(誤解の誤)

「あんまり若手を残らせてると、新卒の子がお先真っ暗になるからね」
「それなら良いんですけど。五月女さんこそ大丈夫ですか?」
「大丈夫だよ。それに」
「なんですか?」
「小田桐さん、最近新婚さんみたいだから」
 豚汁を吹き出しそうになった。
「大家さん、美人なの?」
「美人です」
 男の人ですけど、と言う言葉は飲み込んだ。
 なんとなく、中堂の情報は秘匿しておきたい気がした。

新婚さんみたいだから(大事なことなので二回言いました)。

新婚さん(偽)(偽物の偽)

「帰りました」
「また定時ですか?」
 帰宅すると、中堂がまた憎まれ口を叩いている。
「同僚に言われたこと、聞きます?」
「是非」
「新婚さんみたいだから早く帰れ、ですって」
「……は?」
 ぽかんとしている。それはそうだろう。ともすれば呆然としているようにも見える中堂の頬に、朝したように口付けをする。
「ただいまのキスです」
「小田桐くん……」
 中堂が絞り出すような声を出した。がしっと小田桐の前腕辺りの袖を掴むと、ぎゅうぎゅうに握りしめて引っ張ったり押したりしている。怒らせてしまったかもしれない。
「中堂さん?」
 呼びかけると胸倉を掴まれた。向こうは玩具を奪い返そうとする犬みたいな呼吸をしている。引っ張りあげられて、小田桐は自然、背伸びをするような形になった。

中堂(犬のすがた)。

よくよく考えたら気位の高い大型犬と人懐っこい中型犬のBLですよねこれ。

「あ、カレンダーで思い出した。先輩に教えてもらったんですけど、予定共有アプリがあるんですって」
 前田看護師と親しい百瀬からの情報である。これにシフトを入れておけば、相手の休みがすぐわかり、予定を立てやすいと。
「……なんでその薬剤師は看護師と予定共有してるんですか?」
「仲が良いからじゃないですか?」
「はぁ……」
 前田看護師の事はよく知っている。良い人だ。おっとりした人なので、急ぎの電話なんかでも前田が出てくれると安心する。確か、彼の病棟を百瀬が担当していた筈だ。百瀬もベテランなので、二人が揃うと仕事もしやすいのだろう。その延長で親しくなったのではないかと小田桐は思っている。
「ということで、中堂さんも、これどうですか? 予定立てやすいですよ」
「あの、君、私の予定がそう言うことだけでも良いんですか?」
「今だってアナログなだけでやってることは同じじゃないですか」
 何を今更。小田桐が心の底から思ったことを言うと、中堂は大人しくアプリをインストールする。
「これで良いんですか」
「カレンダーに招待するんで……」
「招待?」
「誰でも見られるカレンダーに予定書けないじゃないですか。二人だけのカレンダー作るんですよ」
 中堂も、別に機械類に疎いわけではない。小田桐が説明しながら一緒に操作していると、共有カレンダーの設定はすぐに済んだ。既に小田桐がシフトを入れてある。
「中堂さんの予定も入れてください」
「ないです」
「ないんですか?」
「ないです。ああ……」
 何かを思い出したように天井を見た。しかし、何だろう、とこちらが身を乗り出すと、すぐ不機嫌そうな顔になり、
「君をベッドに誘う日、でしょうかね? 赤丸の日は寝かせませんのでそのつもりでいてください」
「中堂さん……」
 なんだかくすぐったい気持ちになって、小田桐は笑った。その彼を、中堂は変なものでも見るような目で見ている。

そこの薬剤師と看護師も付き合ってるからだよ!!!!!!

ちなみに中堂さんの変なものを見る目の理由は、「何でこいつこんなにノリノリなんだよ……」です。

嫌がれよ!!!!!! この生活をよぉ!!!! という。

 この日の夕飯も、残り物の豚汁だった。メインは中堂が作ったハンバーグ。確かに味が少し違う。宣言通り合い挽き肉に変えたらしい。
「お弁当の分、残してありますから」
 中堂は少し不機嫌そうに言った。
「ありがとうございます」
「いいえ」
「あの、カレンダー、もしかして嫌でした?」
「は?」
 ともすれば、カレンダーの共有は少々強引だったのかもしれない。中堂の喜ぶことはわかってきたが、嫌がることがまだ読めない。
「カレンダー共有」
「え? ああ、違うんですよ。カレンダーは便利ですね。良いと思いますよ」
「じゃあ良かった。なんか、機嫌が悪そうに見えたから」
「別に、機嫌悪くなんてしていません」

自分のペースが乱され始めて面白くない中堂なのであった。

というのが今回の更新分です。エブリスタでもその内追っかけ更新します。
一応カクヨムで始めたことなのでカクヨムを先に更新するのが筋かなって……。

こっちがエブリスタ版です。よしなに。

それではまた。ごきげんよう。

これはとても真面目な話ですが生活費と実績になります。