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VSテケテケ

こんにちは目箒です。

警察×都市伝説の伝奇物ホラー、「警視庁都市伝説対策室」略して「#都伝」について語る記事です。

前回までのあらすじ

被害者に聴取したところまで紹介しました。

東京地域事情

「どうだった?」
 大川家を辞して、高校へ向かう車の中で、アサはメグに尋ねた。
「テケテケに噛まれた傷で間違いないと思う。でも、腐ってはいないよね?」
「ああ。ありゃ痣だな。とは言え、内出血を見て壊死かと不安になることはあるらしいな。彼も念のため様子を見た方が良いだろ」
 立川市は遊ぶところの多い市だ。お隣、昭島市に跨がる国立昭和記念公園が有名である。特に駅前はカラオケや総合商業施設、居酒屋などが揃っている。そうであるから、そこそこ人通りは多かった。
「立川って都会なんだねぇ」
「麻布のお嬢さんに言われても、褒められてるなんて誰も思わねぇぞ」
 助手席の窓から興味深そうに外を見ているメグに、アサが苦笑する。
「まあ、岐阜の山奥から来た俺からしたら充分都会だ」
「東京の方が長いんじゃない?」
「名古屋と大阪も長かったよ。おかげでお国言葉は忘れた」

メグも多摩地区の人といるときはそんなこと言いませんが、これはアサが隣にいるので思ってることを言います。

一時期立川に通っていた人間から言わせて貰うと、立川駅前にないものはないです。多分。

 アサは職員用駐車場を拝借すると、メグを下ろしてから自分も下りた。施錠して、ルイに連絡を入れる。
「室長、俺です。桜木です。今着きました」
『あ、早かったね。今佐崎さんと聞き込みしてるところだよ。三階の視聴覚室来てもらって良い?』
「三階視聴覚室ですね。わかりました」
 二人は階段を上がって三階に到着した。ワックスの掛かった、学校特有のあの廊下が二人を迎える。
「うわあ、中学校みたい」
「学校なんてどこも変わんねぇだろ」
「そうみたいだね」
 軽口を叩き合いながら階段を上がる。視聴覚室はすぐわかった。それこそ「学校なんてどこも変わらない」。ノックして返事を待って入ると、教壇の前に立ったルイとナツ。授業の様に机に座っている少年少女たちが見えた。振り返った生徒たちは、まずアサの端正な顔に釘付けになり、続いてゴスロリのメグに視線が移った。最終的に二人を交互に見ることになる。

学校の構造ってどこも似てるよね。

「話を戻そうかな」
 ルイが頭を掻きながら言った。
「じゃあ、噛まれたらどうなるかって言うところは噂になってないんだ?」
「ですねー。ぶっちゃけ噛まれるだけでやばいっていうかインパクト強すぎるんでそのあとどうなるかっていうのが些細になっちゃうって言うか。どうなるんですか?」
「僕もよく知らないんだ」
 ルイはそう言って誤魔化した。ここで「噛まれたところが腐り落ちるんだってさ」なんて言おうものなら、噂が広まってこの学校のテケテケにそう言う属性が付与されてしまうかもしれない。この室長は本当に飲み込みが早い。

ここでさりげなく、今回のテケテケに噛まれても傷が腐らない理由を述べています。ここでテケテケが出現して校内放送で都伝が呼び出しを受けます。

テケテケの倒し方

現場に向かう前に、戦闘(?)について解説。

「室長、警棒を」
 アサに促されて、ルイは警棒を抜く。ここに来る前のやりとりを思い出しながら……。

「あ、そうだ警視。警棒はいつでも使えるようにしておいて下さい」
「どうして? 本物の変質者だった場合?」
「それもありますが、いざとなったらこれでテケテケを蛸殴りにします」
 テケテケを蛸殴り。
 その言葉の強さに、ルイは唸った。
「物理、通じるの?」
「通じます。向こうが物理干渉してくるのでこっちも出来るとお考え下さい」
「ああ、そうなんだ……佐崎さんのBB弾じゃないと効かないと思っていた……」
「そんなこたぁないよ」
 ナツがスポンジボールをゴールに放り投げながら言う。
「機動隊が盾で囲んで殴りまくったらテケテケも死ぬと思うよ。それは機動隊の仕事じゃないってだけで」
「そう、俺たちの仕事だ」
 アサが苦笑する。
「メリーさんは耐久が低かったのでBB弾一発でやられました。恐らく室長がパイプ椅子で殴っても倒せたと思いますよ」
「あ、そうなんだ……」
「もちろん、人間からの攻撃が効かないという思い込みも向こうの武器ではあります」
「効かないと思いながら叩いたら通らないかもしれないってこと?」
「それは試していないのでなんとも。俺は常に殴れると思って殴っているので」
「テケテケレベルだったら、一発二発のBB弾じゃ倒せないかも」
「ああ、わかってる。その時の為の警棒です」

(僕にテケテケを殴れるだろうか)
 一抹の不安を覚えながら、案内の生徒に連れられて二人は校庭に飛び出した。校庭を全力疾走している少女と、それに追いすがる上半身の人間が見えて、ルイは心臓が跳ねるのを覚えた。恐ろしいと思ってしまう。

機動隊に蛸殴りにされて倒されるテケテケ

シュール。

そして一つの「」の中でナツとルイに話しかけるからタメ語と敬語が入り混じる桜木アサ。

ルイの逡巡

 アサはすれ違うと同時にスライディングでテケテケに突っ込んだ。靴底が相手の顔面にぶち当たる。
「桜木さん!?」
「室長! 叩いて!」
 ルイはすぐに追いつくと、アサの靴底を食い破ろうとしているその顔面に蹴りを入れた。確かな手応え。すごく嫌な気分になる。怪異とは言え少女を蹴り飛ばすなんて。
 ……本当にこれは怪異なのだろうか?
 一瞬だけ、そんな疑念が差し込まれてしまう。
 本当に、これは怪異なのだろうか。メグの意見も聞いていない。いや、しかし下半身のない人間が、腕の力だけでこんなに早く動ける筈がない。すぐに疑念を振り払う。
 けれど、その一瞬の迷いが隙を作った。アサが立ち上がるまで少しのタイムラグ。その間に、ルイが警棒で叩けば隙は生まれないはずだった。
「室長!」
 アサが叫んだ。テケテケが腕の力だけで跳躍してルイに飛びかかる。
「うわっ!」
 目の前で歯がガチッと高い音を鳴らした。ルイは歯を食いしばって顔を背ける。振り払おうとしたその時、左前腕に激痛が走って思わず叫んだ。

上半身だけならその辺にいそうな人間なので一瞬だけ逡巡してしまうルイです。そして負傷。

「地獄に落ちろ!」
 少女の高い声がした。メグだ。という事は、破裂音はナツか。そんなことを考える。テケテケはメグの声を聞くや、ルイの上から飛び退る。立て続けにナツのエアガンがBB弾を飛ばしたが、相手はそのまま姿をくらませた。
「室長! 無事かい!」
 ナツが駆け寄ってルイを起こす。
「な、なんとか……ごめん、油断しちゃった」
「いえ、仕方ありません。怪我は……」
「左腕噛まれちゃった……」
「えっ、大丈夫!?」
 メグが顔を強ばらせた。
「大変! 救急車呼ばなきゃ……!」
「そこまでじゃないよ! ちょっと痛いけど」
「病院には行きましょう。車出します」
「う、うん。生徒さんたちは?」
「屋内退避してもらったよ」
「不安にさせちゃったかな……」
「仕方ありません。怪異が相手ですから。佐崎、立川北署の安藤警部補に連絡取って事後処理を頼む」
「わかったよ」
「俺は室長を病院に。五条、お前も残ってくれ。もし形跡があれば頼む」
「任せて」
 女二人はこっくりと頷いた。ルイはアサに付き添われて車に乗る。ナツが電話をしながら、こちらを気遣わしげに見ているのがバックミラーから見えて、ルイは情けない気持ちになった。

慣れたつもりでもイマイチ都伝の仕事に馴染み切れていなかったルイが少しの躊躇で負傷してしまいます。

この後めちゃくちゃ落ち込んでリベンジになるのですが、今回はこの辺で。なおエブリスタもカクヨムもラストまで投稿しているので気が向いたら見てね~。

ではまた。


これはとても真面目な話ですが生活費と実績になります。