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メリーさんの東京ルート検索

こんにちは目箒です。

という事でやっと「#都伝」第2話が完成+投稿出来たのでその話をします。

余談ですが「マージ・ドラゴンズ」というアプリにはまって今週が秒で過ぎていきました。

前回までのあらすじ

この記事までで、メリーさんをおびき出すために「メリーさんからの電話」についてのオチを小学生から収集しよう! という話になりました。

 警察に協力を申し出た児童たちは体育館に集められた。授業数の少ない低学年からだ。残りの学年は、終わり次第来る。
「警視庁の久遠ルイさんです。久遠さん、お願いします」
 教師からの紹介を受けたルイは、舞台の前に立ってマイクを借りた。持つ角度を間違えるとハウリングが起こる。懐かしく思いながら、「あー、あー」とテストし、
「ご紹介にあずかりました、警視庁の久遠ルイです。今日、皆に集まってもらったのにはお願いがあるからです。事前に先生から聞いてるかもしれませんが、今君たちが知っている噂について教えてもらいたいと思います。『メリーさんの電話』です」
 児童たちが顔を見合わせた。ひそひそと喋っている。やっぱり、警察が噂について聞きに来たんだ……どうしてだろう……と言った雰囲気だ。
「ああ、遅くなってすみません。僕は警視庁と言っても、捜査一課とかそう言うところの人間じゃないんです。警視庁都市伝説対策室。そう言うところの人間です。都市伝説で困った人の所に来ます」
 何人かの視線が宮島に向いた。彼女は少し、ばつが悪そうにしている。
「という事で、今日は君たちに、『メリーさんの電話』について知っていることを教えてください。お話を聞くのは、僕と、桜木巡査長、佐崎警部補、コンサルタントの五条です。椅子と机を用意してもらったので、四つに分かれて一人ずつお話を……」

という感じで、学校で大人数から話聞くなら体育館だよね~と思ったんですが、昨今どうしても「密です!」というのが頭に浮かんでしまうので、キャプションに断り書きを入れました。

※作中、体育館に人を集める描写がありますが、COVID19流行以前の時間軸の想定であり、いわゆる「3密」を助長する意図はありません。

さっさと終息してほしいもんですね。

ルイ、メリーさんを呼ぶ

「どうだった?」
 机と椅子を片付けながら他のメンバーに聞くと、
「追い掛けられる、というのが一番多かったですね」
 アサが言った。ナツとメグも概ね同じようなもので、中にはルイが聞いた様な人面瘡じみた話から、落語家が考えた大喜利の答えのようなものまで様々だ。
「だとすると、俵田先生も追い掛けられたのかもしれないね。そしてその話も噂になって流れてるから、ますます追い掛ける方向にシフトするよ。早く仕留めないと」
「わかってる」
「どうする?」
 メグがアサを見上げた。「誰に電話掛かってくるかわからないよ」
「職員室に張り込みましょうか。校内にいて、電話が掛かってきたら職員室に連絡をもらうということで」
「……僕の所に掛かってこないかなぁ」
「室長?」
 斜め下を見て発せられたルイの言葉に、アサが意外そうな顔をしてそのつむじを見下ろす。
「危ないですよ」
「でも、僕の所に来ればすぐ佐崎さんが撃ってくれるじゃない?」
「そうだね」
 何のてらいもなく即答するナツ。
「僕の所に掛かってきたら良いのにって言うのはさ……消極的どころか……積極的な『願い』じゃない……?」
「そうかもしれませんが……」

これで長編なら別の生徒とか教師に掛かってきてまた事故が起きるんですけど、これは短編なのでここで始末を付けます。事件が解決すれば良いのです。

 その時、ルイのスマートフォンが鳴った。メールやメッセージアプリではない。電話だ。
「誰だろ。警視正かな……」
 取り出して、ルイの顔が強ばった。画面をアサたちに見せる。発信元は「公衆電話」。
「本当に掛かってきた!」
 メグが叫ぶ。
「五条、間違いないのか?」
「間違いないよ! 『メリーさんの電話』だよ! びっくりした!」
「ぼ、僕もびっくりしてる。どうしたら良い!?」
「出るんだよ」
 ナツが銃を抜く。「出ておびき出して。アサ、それで良いだろ?」
「やるしかねぇ。お前がいて助かった。室長、出てください」
「引き延ばす必要ある!? もしもし!」
『私メリーさん』
 愛らしい少女の声がした。
『今、霞ヶ関にいるの』
 電話はそれで切れた。ルイは顔を上げて、
「今霞ヶ関だって」
「警視庁から来るね」
 ナツがつまらなさそうに言った。

このメリーさんのスタート地点の基準もよくわかりませんが、とりあえず「怖ければ良い」のです。警視庁からやってくる怪異怖くない?

 少し経つと、また着信。同じく公衆電話からで、ルイはスピーカーにして応答した。
「もしもし?」
『私メリーさん。今荻窪にいるの』
「荻窪!?」
 ルイは目を剥いた。千代田区霞が関から杉並区荻窪まで、確かに電車では一本だが、それにしても早い。早すぎる。電車では確か30分弱だった筈だ。
「早いな!? 快速か!? あったっけ!?」
「相手は怪異だよ。人間と同じ所要時間の筈はない」
「電車じゃないのかも。超ダッシュなのかも」
 メグが極めて真剣な顔で言う。また着信。言うまでもない。公衆電話からの着信だ。

これのパイロット版で、車でのルート検索したら荻窪経由で、霞ヶ関から丸ノ内線で一本じゃーん! って思ったんですけど、改めて検索したら微妙に違うので覚えてたら後で直しときます。

 その後も公衆電話からの着信が繰り返された。「校門にいるの」と言われてルイは息を呑む。
「来るぞ……もしもし? 今どこ?」
『私メリーさん。今体育館前にいるの』
 4人は思わず体育館の正面入り口を見た。しかし──。
「いや、メリーさんは後ろに立つから……」
 着信。
『私メリーさん』

『今あなたの後ろにいるの』

 ルイは振り返って、こちらをじっと見上げる、象牙色の洋服に身を包んだ青い目の西洋人形を見た。

「五条」
「メリーさん! 間違いないよ!」

 アサとメグのやりとりを聞きながらルイが後ずさる。メリーさんはそれに合わせて自分の足で歩いた。無言だ。
「うっわ、本当に追い掛けてくるのかよ……」
「室長、そのまま気を引いてて」
 ナツが拳銃を構えた。ルイが徐々にスピードを上げると、メリーさんもそれに合わせて迫ってくる。
「私メリーさん」
「今度はどこに来てくれるんだい?」
 ルイがそう言ったその瞬間、ナツが撃った。BB弾はメリーさんの頭に当たり──西洋人形はその場で砕け散った。

今回はちょっぴり追い掛けられます。回を追うごとに危険度が増しますが、第2話はまだ危険じゃないです。次ちょっと危険にしたい。

今回はこれで解決して警視庁に帰ります。おしまい。

消極的な信仰

ちなみに、今回スマホを学校へ持ち込んだ児童にメリーさんから電話が掛かってくると言うエピソードがあるんですが、その時にこう言う文言を追加しています。

 ただし、このスマートフォンの普及が、都市伝説の具現化に一役買っているのではないか、と言うのがアサの考え方である。複数人が一つの発信元へアクセすることができる。そうすると同じ都市伝説が流布し、具現化しやすいというのだ。
 都市伝説が「消極的な信仰」であるなら、「教典」と言うべき元の噂へのアクセシビリティは大きいだろう。

耳にたこができるほど言われた、「スマホの普及による『悪事千里を走る』のスピード増加」の話ですね。一瞬で千里走る。

実際、都伝のメンバーもスマホやネットで調べるシーンが出てきます。どんな噂が出回っているかもそうですが、今回はメリーさんが辿る路線をググったりしてますね。

懲りずに

いっそ撤退~まで考えてるんですが、一応アカウントはあるので投稿するだけしとこうかな……と言うことでカクヨム版がこちらです。

ではまた。ごきげんよう。

これはとても真面目な話ですが生活費と実績になります。