ラジオ、Podcastを聞きたい話

最近聞きたい音楽が見つからないとき、ラジオやPodcastを聞いている。
元々ラジオを聞くのは好きだった。人の声を聞きたい、けれどテレビでは情報量が多すぎるし音楽では無機質すぎる、というときにはピッタリな選択肢。
今お気に入りなのはフードアナリストさんが好きな食べ物について語るPodcastの番組。今朝聞いていたのは「銀だこの旬は春だ!」というお話。
カリカリの銀だこを初めて食べた時の衝撃から、春に公園を散歩しながら食べるたこ焼きの美味しさまで楽しそうに語っていて、ささくれ立っていた月曜日の朝の気持ちが少しだけ解れた。
「あー銀だこって色んな種類のソースがあるけど俺はいつもノーマルなソースとネギの組み合わせしか食べないな、普段結構食べ物は冒険するタイプなのにな」
「小さい頃はイトーヨーカドーに入ってるポッポのたこ焼きが好きだったな、竹串で掴もうとすると崩れてしまうくらいトロトロで美味しかったな」なんて考えながら職場へ向かった。

Podcast、周りで聞いているという人をあまり見ないしネットでもそこまで話題にならないね、結構昔からあるしiTunesでもspotifyでも気軽に聞けるのに。
ラジオと違って特定のトークテーマについて識者が語るようなプログラムが多いので流し聞きがしにくい、ってのはあるのかな。
個人的にはもっと普及してプログラムのバリエーションが増えることを期待してる。
Podcastの良いところはCMもないしその時の気分じゃない音楽がかかることもないし関心のあるテーマだけに絞り込んで聞くことができるところだよ。基本的に毎週更新で、内容も食事やファッションといったライフスタイル系や書評、音楽、サブカル全般等の趣味関係、特殊職業、怖い話、哲学、寝落ちに特化した放送など様々。今気になっているのは「おしゃれの呪いを解くラジオ」ってやつです。服装心理学からファッションへの苦手意識を無くしていこう、というお話らしくて。「発達障害なのでこだわりが強く服選びに疲れてしまいます」なんていうリスナーの悩みに答えたりしていて、これは雑誌では特集できない視点だなと。ニッチなメディアだからこそできる事ってあるよね。

ラジオだと、平日昼間にTOKYO FMやJ-Waveでやっているような、爽やかで清涼感のある感じの番組が好き。ドライブしながら聞きたいイメージ(なお無免許)。
逆に暑苦しいおじさんがハイテンションで話すようなのはちょっと苦手。いるじゃん、変に英語の発音だけがいいDJ。まあ昔はラジアンリミテッドリスナーでしたけど。

小さい頃は土日になると必ず車でどこかに出かけるような家庭で、着くまでの間は父親のカセットテープで音楽を流していた。
当時流行っていた小室ファミリーだったりスピッツだったり、そのへんのJ-POP。俺が音楽を聴くようになったきっかけでもあったので今の自分を形成するうえで重要な時間だったのだけど、ラジオを聞く文化はなかったな。
ラジオを聞くようになったのは多分友達に教えてもらったNHK FMのミュージックスクエアという番組からだったと思う。
毎週金曜日にチャートトップ100を発表するのだけど、そのランキングが著しく偏っていた。おそらくCDの売り上げを無視してリスナーの投票か何かで決めていたと思われる。なんせ、年間ランキングでKinki KidsよりTMGEとかマッドカプセルマーケッツとかの方が上だったからね。
同世代にしかこのおかしさはピンと来ないかもしれないけど。1998年頃の話。
その番組は今でいうところの邦ロック、まだロキノン系なんていう言葉も一般的でなかった時期にそういう系統のバンドを贔屓していたので、俺の音楽知識も必然的にそっちに偏った。
毎週ラジオ付きのウォークマンで布団に潜りながら聞くのが楽しみだったことを覚えてる。

もう一つ楽しみだったのが、これは何度もツイッターで話をしている気がするけれどAVANTIという番組。定期的に話題に出してしまうくらい好きだったんですよ。
麻布、仙台坂にあるオーセンティックなバーに訪れる、文化人や研究者、芸能人など様々な職種のゲストと常連客の会話に、番組ホストである大学教授が聞き耳を立てる、という設定。
ゲストの話がメインながら、一癖ある常連客同士の人間関係などの細かい話も毎回あり半分はトーク番組、半分はラジオドラマのようで割と珍しかったんじゃないかな。
トークの間のBGMや会話の合間合間にはジャズが流れていて、そのバーのマスター(確か本物の外国人サックス奏者が演じていた)がセレクトしたコンピレーションアルバムが発売されたり、毎年麻布十番祭りにAVANTI名義で屋台を出したり、ドラマとリアルの境目が曖昧で、もしかしたらこのお店も仙台坂に実在するのでは、と錯覚させられた。
これを聞いていたのは高校時代岩手在住のころだったので、ベランダの外に広がる畑と果樹園とその中にポツンと建つヤマハ楽器店を見ながら麻布のハイソな街並みを想像しては、いつか大人になったら行ってみたいと思っていた。
とうとう縁がなかったんですけどね、麻布。お酒も飲めないからバーにも行かないし。ちなみにこの番組のバックナンバーはPodcastで聞けたりするので、興味がある人は聞いてみてね。

もう一つ年寄りの昔話をすると、俺が大学生の頃、2ちゃんねる(というかvip)でネットラジオが流行ったことがあった。配信者の顔は見えなくて音声だけの放送。
ツイキャスでいうところのコメント欄代わりにスレを使っていた。めちゃくちゃ盛り上がってて、最盛期はコメントを見るのが追い付かない程だった。
主に音楽関連の配信を聞いていて、そこのリスナーでオフ会をしたのをきっかけに仲良くなった友達もいた。なぜかあっという間に廃れてしまったけれど。
今はツイキャス、インスタライブ、TiKTok、YouTube、色んなプラットホームがあるから個人発信がかなりしやすくなったよね。
個人発信、やってみたい気持ちはあるけれど話は上手くないし一般人のおじさんの一人語りなんて需要がないのでな…。ツイキャス何回かやってみて感じたこと、顔の見えない相手に向かって語り掛けるのってすごく難しい。
誰が何を目的に聞きに来てるのかわからない中で話し続けるのは胆力が要る。ラジオDJって全国の人相手にそれをやるんだからプレッシャーすごいだろうなと思う。

個人発信の配信の面白さは、全く関わりのない人間の生活を垣間見れるところにあると思う。広い意味でいえばツイッターだって個人発信ツールなんだけど、あれは作り込んで偽ることが容易なんですよ。
理想の自分を切り取ったり演出したり。音声、動画はそうはいかない。余程普段から演技慣れしているとかでもない限り素が出てしまうし、よりリアル。
ちょっと抽象的な話かもしれないけど、一般的なラジオもYouTubeも自分以外の第三者の視点から構成されているんだよね基本的に。
誰かが自分に注目しているという前提で作ってる。それに対してツイキャスの日常配信は初めから作り込もうとせずにありのままを曝け出す、自分の視点を誰かと共有する、という感覚があるように思う。
明確な目的意識がある人とかキャラ設定を確立しているような人は別ね、本当にただの一般人の配信。ご飯作りながら片手間に話すとか、寝落ちするまでダラダラするとか。

ちょっと話がそれた。ラジオやPodcastのような双方向コミュニケーションでない、映像がなく情報量も少ないメディア、すごく楽だし、新しい世界が広がることもあるので
テレビやSNSには疲れてしまったけどなんとなく寂しい、みたいなときは選択肢に入れてみてね!っていう趣旨の記事でした。おしまい。

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