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異同のチェック

こんばんは。今日は卒論の作業に関してのお話です。

ちょっと地味な作業なんですが、卒論で使う一次文献の異同をチェックしています。単行本と文庫版とでルビとか漢字表記が違うものがある場合があるからです。大江健三郎なんかは初出と全集と自選短編集(岩波文庫で出ています)とで全部ちょっとずつ表現が違う、なんてこともちらほらあります。

今回は2作品扱うので、それぞれチェック。片方は単行本と軽装版(文庫版まで手を出すかは時間次第)、もう一方は単行本に2種類の版があってそれと文庫版。結構時間のかかる作業です。2時間半で読み切れる分量のはずなのに、多分数倍の時間がかかっています。

例えば、送り仮名が違うもの。浮かぶと浮ぶとか。それに、ルビがついているものとついていないものの違い(児童文学と呼ばれるジャンルだと、大体本が大きいほど漢字を開いているイメージがある)。漢語と和語の選択。単行本だと「おとずれ」なのに、文庫版だと「来訪」になっているとか。句読点の位置が違う、みたいなものもあります。

片方が翻訳書なので、版が異なると訳が明らかに違うのもあります(もう片方は日本語文献で、作者本人が言うように基本的に内容の改変はない)。単行本の誤訳が文庫で直っていたり、文構造の解釈が変わっていたり、登場人物の兄弟関係が変わっていたりします。

やっていると時間が溶けます。単純なルビの有無くらいだと飽きてくるのですが、表記が変わってくると結構面白い。なんでここの漢字は開いてここは閉じたままになってるんだろうとか、なんでここの読点をずらしたんだろうとか、そういう相当マニアじゃないとやらないような作業で楽しめるんです。

外国文学でどこまで厳密にやるのかは無知ですが、少なくとも日本文学の領域では底本を何にするかって結構大事です。同時に複数の版本があるときは異同をチェックするのも。超地味な作業ですが、結構神経を使うので、それをやりながら普通に読んでいた時には気づかなかったところを発見するのにはいいと思います。あと、なかなか頭が働かない時にスイッチを入れる手段としてやる作業としてもいいです。やる気がないけど進捗は欲しいとか。ただ、だんだん目がチカチカしてくるのも事実。ほどほどにしないといけませんね。

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