謎あそびonTwitter

 たまにTwitter(旧X)で意味の通らない存在しないだろう単語を検索するという謎の遊びをすることがある。「みぷふぁし」みたいな明らかによくわからない単語であるとか「三葉虫生え際後退」のような既存の単語を意味の通らないように組み合わせるといった検索の仕方をしてその語がつぶやかれているのかを確認するのだ。何が楽しいのかと聞かれると困ってしまうのだが時には自分の知らなかった世界が広がっていたりだとか誰も知らない場所を見つけたような気がして簡単にできる暇つぶしとしてはそこそこに面白いと思っていたのだ。

 ある日この謎の遊びをしていると「〇〇〇〇〇」という明らかに存在しないであろう単語で検索したところ一つのアカウントだけがヒットした。これだけであれば何も変な要素は無いのだけれども一つのアカウントが何日かおきにこの単語だけを投稿し続けている。果たして何か意味があるのかということが気になってその単語をググってみたものの、結局意味がありそうなものは見つけられず、自分の中で何か知っているのではないかと思い出そうともしたが結局収穫はなく、まあそんなもんかと思ってその後もこの謎あそびを続けた。この日は2つ程意味不明だと思っていたものがそうではなかったと知ったあたりで満足してこの遊びをやめた。

 後日友人と会話をしている中で「〇〇〇〇〇」という語が出てきているような気がして頭の中でなんか気になって気持ち悪いなとか思いながらもそのまま一日を過ごした。別の日にも似たような感覚に陥ることがあり何かおかしいのではないかとも思った。

 とはいえ、それまで認知の外側にあったものごとでもそれを発見した後に実はありふれていたということに気づくなんてのはよくあることだろう。今回もそういったことだなと考えることにしたのだ。

 しかし一度考えてみてほしいのだが、ググってもろくに情報がないような単語、あるいは文字列が実は周りにありふれていたというのはあり得ることなのだろうか。インターネットは万能で見つけられないものはないなんてことを言うつもりはない。しかし、ある程度の物事をおさえ、そこにないならないですねなんてことを言ってきそうな気配のある中で他には何一つ引っかかることがないなんてのは異常であるように感じられた。

 そして「〇〇〇〇〇」を投稿し続けていたアカウントがあったことを思い出し、何か情報があるのではないかと探ったが、3から9日程度の感覚で約7カ月の間投稿を続けているということしかわからないのだった。

 そのアイコンの気持ち悪さを除けば。

 最初はただの初期アイコンだとしか思えなかったのだがよく見ると薄灰色の背景の中により黒に近い灰色で「〇〇〇〇〇」が初期アイコンの形を作っていた。それには何かの執念のようなものが感じられると言っても差し支えはなかった。常識の枠内で考えるのであればそれは到底あり得るはずのないと言えるほどの手間である。機械的に並べられていたわけではなく少しずつずれが生じていたのを見つけたときにそう確信した。

 気色の悪さを感じると同時にその異質さに鳥肌が立った。それは自分の理解が至らないという一点によって生じたものではない。自分の理解していないあるいは理解するべきでないと無意識の内に考える何かがそこにあることを意味していた。

 アイコンに隠された執念には不可解な部分があると私はそう考えた。何が不可解ってアイコンはあれほどこだわりが想起されるものだったのに、内容自体の発信方法が不定期な連投だけという点だろう。Twitterだけしか利用していない場合でも無差別にメンションやらリプライをするとかいう方法でそれについての認知を拡大することだってできたはずだろうに。

 なんてことを考えていたら頭の中に恐ろしいひらめきが降ってきた。流れとしては非常に妥当だが私にとっては不愉快なことこの上ないものだったことは言うまでもない。

 自らの意思でそれにたどり着いたものだけに対して何かしらの影響を与えるような存在として「〇〇〇〇〇」はデザインされていたのではないかと。

 その後は溜まっていたするべきことをいかに効率よくこなすかという何の脈絡もないような方向にかじを切ることですべてを忘れようとした。

 一度知ってしまったものを頭の中から追い出すというのは非常に厄介なもので日常に潜む「〇〇〇〇〇」に不意に気付いてしまい結局のところ何一つ忘れることすらできやしないのだが。

 

 

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