牌譜解析結果に関するID公開について
1 はじめに
私は天鳳の秋刀魚・四麻の牌譜を用いて、様々な牌譜解析を行っている。
その際、対局者のデータ(ID、性別、段位、RATE)も把握している。
そのため、牌譜解析の取り扱いによっては、殊更にとある鳳凰民を貶めることが可能である。
具体例を挙げよう。
私は鳳凰卓におけるレアケースに関して調べている。
例えば、「24500点以上でラスったケース」とか。
「25500点以下でトップをとったケース」とか。
「カラテン立直を打ったケース」とか。
「東場で50000点以上ゲットしたがその後ラスったケース」とか。
その際、「その悪夢に遭遇したのは、幸運に遭遇したのは誰か」を知っている。
したがって、例えば、「◎◎氏、50000点以上から悪夢の飛び」みたいな記事は書けないわけではない。
となれば、鳳凰民にとって「私、または、牌譜解析者が個人の鳳凰民を狙い撃ちするようなことをするのでないか」と不安に思うことは不思議ではない。
2 当サイトでIDを公開する基準
当ブログ、ないし、私が著者と関して関わる書籍(著者以外で関わる場合除く)において、原則としてIDは公開しない。
ただし、次の例外にあたる場合、IDを公開することがある。
① 公開される人間の承諾を得た場合
② 天鳳位の場合
③ プロの先生方の場合
④ 私の牌譜解析結果に対する批判・質問に対する反論として必要な場合
⑤ 牌譜解析結果と異なる事実を主張している者があり、その主張を放置することが出来ない場合
⑥ 私に特別の牌譜解析を依頼した場合
⑦ その他、IDを公開する格別の必要性が認められる場合
この点、IDを公開する際の評価要素は
① IDを公開する必要性
② IDを公開されることの不利益
の利益衡量で決される。
そして、鳳凰卓の牌譜は下記の天鳳のサイトで対局者が誰かという情報と共に公開されている。
とされると、確実に、とは言えなくても、牌譜解析に供される可能性があることを認識しえたと言える。
また、公開されるのはIDであってその人の実名ではない。
そう考えると、IDを公開されることによる個人の不利益はそれほど高くないものと考えられる。
とはいえ、単に牌譜を公開されている状況と、その解析結果たる牌譜解析結果が公開されることは完全に同一ではない。
また、天鳳ID名を利用してツイッター上で活動している人がいることを考慮すれば、実名と同レベルの保護は必要ないとしても、一定の保護の必要性はあるだろう。
とすれば、合理的理由もない場合まで公開される不利益を受忍しなければならないいわれはない。
また、公共の利益を促進しない目的で公開されるいわれもないであろう(もっとも、「公共の利益」というのは「麻雀文化の発展」であり、その範囲は広いため、その意図にずれる行為というのはもっぱら他人を害する意図でなされる場合などに限定されるが)。
とすれば、目的・手段が合理的である場合には公開しても差し支えないものと思料する。
以下、この考え方に沿って、例外の7要件について見てみる。
まず、承諾を得た場合(1号)については説明不要であろう。
同意があれば、公開による不利益を承認したことになるので、公開することの弊害は特段の事情がない限りない。
次に、著名人の牌譜解析結果について。
具体的には、天鳳位の場合(2号)とプロの場合(3号)について。
これは既に当サイトでも行っている。
天鳳位は鳳凰民のなかで勝ち抜いた人に与えられる称号である。
そのため、天鳳位の打ち方は麻雀の正解になる可能性が高く、また、天鳳位の成績はそれ自体目標となる可能性が高い。
そのため、麻雀戦術の観点から天鳳位の成績を公開することには独立の意義がある。
他方、天鳳位については天鳳位襲位までの牌譜を一括ダウンロードできる。
さらに、天鳳の有料版には牌譜解析スクリプトがついているため、牌譜を取得すれば天鳳牌譜解析スクリプトの範囲でデータが採れる。
とすれば、仰々しく牌譜解析プログラムを組まなくても、調べてみようと思えば、天鳳位の牌譜を持ってきて、天鳳位の成績を調べることができる。
このことを考えると、天鳳位の成績に関しては、他の鳳凰民と異なる取り扱いをすることも許容されていると考えることができる。
さらに、公開されるのは天鳳位のIDまでであって、実名を公開するわけではない。
とすると、天鳳位の成績を公開したことによって、その人の社会生活が脅かされる危険は低い。
以上の必要性・許容性に鑑み、具体的な研究内容の中で相当と認められる限度で天鳳位の牌譜解析結果は公開することにしている。
また、プロについては、麻雀文化の守り手として麻雀界における公人としての役割を担っている。
とすれば、その人が天鳳においてどのような成績を修めているのかという情報は、プロの強さ示す一指標になる関係で公共の利益にかかわる情報たりうる。
そこで、必要な範囲でその情報を公開することがある。
例えば、「しゃるうぃ~天鳳!」の牌譜解析はその具体例である。
さらに、反証としてのIDの公開について(4号)。
天鳳位・プロを除けば、IDを示して公開することは基本的にない。
その場合、「鳳凰民A」という書き方で公開することになる。
そのように、私が「鳳凰民Aの成績」として公開したところ、「そんなAはいない。よって、お前(つまり、私のこと)の牌譜解析結果は捏造である」という批判が飛んでくる場合がありうる。
そんな批判は無視すると思うが、その批判を無視することが妥当ではない場合は、「このデータは誰それのどの期間による牌譜解析結果である」とかえす可能性がある。
また、事実誤認を指摘する場合について(5号)。
例えば、ある人間(IDは公開しているものとする)が「私の鳳凰卓での和了率は30%だぜー」とか「私の平均打点は12000点だぜー」などと主張しているとする。
余程のことがない限り無視するとは思うが、あまりに目があまる場合はさすがに「違いますよ。その証拠にあなたの鳳凰卓におけるこの期間の成績は云々」と牌譜解析結果を突きつけることがある。
さらに、私に牌譜解析結果を依頼した場合について(6号)。
私は情報のやり取りを主としてツイッターで行っている。
だから、「私の成績を集計して下さい」と依頼した場合、ツイッター上でそれを返答することになっている。
よって、成績が公開される。
この要件は、それだけの話である。
最後に、一般条項(7号)について。
これに該当する例はたくさんある。
例えば、天鳳名人戦牌譜解析である。
天鳳名人戦がタイトル戦であること、牌譜は総て公開されていることに鑑み、全ての対局者の牌譜解析結果を公開している。
あと、興行としての牌譜の価値を実験的に試す関係で、特定の検索にヒットした牌譜を対局者情報付きで公開することもある。
ただ、これはあくまで実験なので、反応が良くなかった場合は続けないが。
それから、高段者限定卓の牌譜URLを公開したことがある。
これも試みとして行った面が強いが、単に段位で輪切りにしたケースなどは対局者ID付きで公開することもある(必ず公開するわけではないが)かもしれない。
以上、当サイトの基準について述べておいた。
もっとも、これは当サイト、私の基準であって、他の研究者の基準ではない。
また、これはたたき台であって、これが未来永劫正しい基準であると思っているわけでもない。
もし、公共の利益・プレーヤーの利益も考慮した別の基準があれば承る。
ただ、私自身、個人のIDを公開することに積極的ではないので、個々のIDを出すケースは稀であるとは思うが。
それでは。
もし気が向いたら、サポートしていただければありがたいです。 なお、サポートしていただいた分は、麻雀研究費用に充てさせていただきます。