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手鏡 おひや
2024年7月14日 19:43
何時の間にか、雨が降り始めていた。すっかり濡れそぼった肩に手をやる。辺りは宵に包まれていた。早く帰らねばと足を速める。すり。ふと、臑に何かが触れた。足を止める。まるで犬か猫が足元を過ぎった様な感触。ずり。また触れた。先程よりも確かな感触があった。――ぬめりがある。足元に目をやるが、何もない。べちゃり。ずるり。ずりずるりべちゃりどろぉりべちゃりどちゃりべちゃり。