見ても見なくてもどちらでもいい話

突然だけど、みんなはどれくらい自分のことを知ってますか。
自分がどこの誰で、何が好きで何が嫌いで、どんな癖があって、どういった人を好きになり、嫌いになるのか…とか。
そういう自分に関する事柄を、どれくらい知ってますか。

私はあまり知りません。
知らないというか、覚えていません。
自分の名前は言えるし、恋人の名前や親友の名前も言えるけど。
それ以上のことは話そうにも話せません。
だって、記憶にないんですから。

いや、もう私自身驚きです。
好きな食べ物、色、音楽、絵、小説…
私なら知っていて当然の事柄がわかりません。
ところどころ記憶に穴が空いていて、昔の話を持ってこられても困ってしまいます。
穴が空いている部分のときに出会った人とは話せない。
その人が誰なのか、どんなことに気をつけて話すべきか、覚えていないんですから。

私はその記憶に穴がある部分を知りたいと思います。
が、知りたくない気持ちもあります。
私が知っていて良い部分ではない可能性が高いからです。
それに、私は私の話をすると具合が悪くなりますから。
きっと私は私を知ることを良いと思っていないみたいです。

だから、せめて。
今、会って話をしたりする人には、覚えていてほしいんです。
私のことを。
私がいたという証拠を。

みんなに忘れられた瞬間。
私は死んでしまうと思います。
だから、忘れないでほしいです。

なんてね。