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[専門家の視点]拡大する冷凍食品のニーズと消費量。コンビニ、食品SMはPBによる差別化へ

冷凍食品の消費量は、依然伸長傾向にある。弊誌7月号「食品特集」内でも扱ったように、冷凍食品は今後ドラッグストア(DgS)が強化すべきカテゴリーのひとつだとの見方を強めている。そこで、今回は冷凍食品業界における各業態・各社のプライベートブランド(PB)概況について、冷凍食品新聞社の天野淳一記者にお話を伺った。( 取材協力/冷凍食品新聞社 天野 淳一氏)

セブンは1.2万店で売場拡大
「おかづまみ」で冷食強化

現在、冷凍食品市場は拡大を続けている。近年、少子高齢化と有職女性の増加により、調理に費やす平均時間は減少傾向にある。さらに単身世帯の増加に伴い、個食に対応し、シニア世代でも手間なく調理できる簡便さが評価され、冷凍食品は売上が増えている状況だ(図表1)。購入率と単価の上昇が市場拡大の要因とみられる。

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▲[図表1]冷凍食品の国内生産量と国内生産金額の推移

また、消費者は、天候要因などにより生鮮食品の価格が高騰した際に冷凍野菜を選ぶ傾向がある。不安定な気候が続く昨今、冷凍野菜の需要も伸びており、それを受けた各社が素材を強化することで、店舗の冷凍食品売場は拡大している。

とくにコンビニにその傾向が顕著だ。コンビニ大手3社は、2019年度以降新規出店から既存店強化の路線にある。その流れのなかで、2017年4月にセブン−イレブン・ジャパンが冷凍食品売場の拡大を発表、2019年には新レイアウトの対象店舗数を増やし、1万2,000店での切り替えを決定した。同社にとって、冷凍食品は客単価の向上効果が高く、2019年4月の段階で日販における売上伸長率ももっとも高い。売上全体をけん引するカテゴリーといえるだろう。

また商品軸では、おかずにもおつまみにもぴったりで、簡単にできたてのおいしさが味わえる冷凍食品「おかづまみ」シリーズを今期も強化している。「10月の消費増税により、いわゆる“家飲み”が増えるのではないかと予想されます。夕食系の総菜の需要が増えているので、売上が伸びる時間帯は夕方。なお、少子高齢化の影響で、お弁当用冷凍食品は苦戦している状態です」と天野氏は語る。

ローソンは冷凍中華
ファミマは冷凍フルーツ

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