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業態変革をも見据える新生堂薬局のDX戦略

福岡県と熊本県を中心に、ドラッグストア(DgS)、調剤薬局、フィットネスクラブなど幅広い事業を展開している新生堂薬局。世の中でDX(デジタルトランスフォーメーション)の必要性が叫ばれ始める前から積極的にデジタル施策を取り入れ、社員の働きやすさと地域住民の健康サポートに貢献してきたという。今後はさらなるDX推進により、「小売業・DgS」から「ヘルスケアステーション」への転身を図る。その実現にかける思いと武器となるDX戦略について、社長の水田怜氏が語った。(談・まとめ、文責/月刊MD編集部)


高い従業員満足度がサービス品質の向上につながる

新生堂薬局は福岡県と熊本県を中心に調剤薬局87店舗、DgS53店舗、DgSと調剤薬局の併設店24店舗を展開しています。そのほかにオンラインショップ、訪問看護ステーション、女性向けフィットネスクラブのカーブス19店舗の運営など、様々な事業を手がけています。

フラッグシップ店舗では、DgSと調剤薬局の併設店とカーブスがひとつになっていて、お客様の予防・未病・治療までのすべてをカバー。調剤薬局で処方箋を渡し、薬を待つ間にカーブスでフィットネスを行い、帰りに薬を受け取るついでにDgSで買物をするお客様の姿も日々見受けられます。

当社では、従業員が長く働きたいと思えるよう、顧客満足度よりも従業員満足度の向上を優先しています。少子高齢化による労働人口の減少で、一人の従業員がより多くの処方箋に対応し、健康相談に乗らなくてはならない時代がやってきます。

こうしたなかでは、従業員が長く働き続け、医薬品や化粧品に対する知識・技術・能力を高め、お客様から安心してご相談頂けるスタッフであり続けることが大切です。

この考えのもと当社では新卒の採用および教育、中途採用者の教育に力を入れており、新卒の離職率は3年連続で0%、産休・育休後の復帰率は97.2%となっています。

DXで実現する「温もりあるコミュニケーション」

▲DX(Digital Transformation)の目的

当社では、2018年から「地域一番のヘルスケアステーションにする」というビジョンを掲げています。地域一番というのは、売上や認知度が一番という意味ではなく、地域の方の最初の選択肢になりたいということです。

処方箋をもらったとき、ダイエットをしようと思ったとき、一番最初に思い出して頂くのが新生堂でありたいと考えています。そして、経営戦略として、「一人一人のライフタイムバリューを最大化するために、“優れたテクノロジー”と“温もりあるコミュニケーション”を融合させる」ことを全社員が大切にして日々の業務に臨んでいます。

このビジョンを達成する取組みのひとつとして、当社では、調剤薬局の3店舗で自動入庫払い出しロボットを導入しました。ロボットの導入によって、従来薬剤師や医療事務スタッフが行っていた薬の納品・陳列やピッキング作業はすべて自動化されました。

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