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【予防・未病から終末期まで顧客に寄り添うスギ薬局】DX推進で強固になる「トータルヘルスケア戦略」

顧客の健康維持から終末期支援まで、「トータルヘルスケア戦略」を展開しているスギ薬局。販促を主目的とした「スギ薬局アプリ」や、運動習慣をサポートするアプリ「スギサポwalk」が好調だ。このアプリの刷新を皮切りに、DX(デジタルトランスフォーメーション)戦略が本格的にスタートした。顧客一人ひとりに寄り添うという信念のもと、デジタル接点の多様化やビッグデータを活用したOnetoOneマーケティングにチャレンジする。DX推進にかける思いを森永和也氏が語った。(談・まとめ、文責/月刊MD編集部)


DX推進に向け「守り」と「攻め」の組織を同じ傘下に

スギ薬局グループではドラッグストア(DgS)のスギ薬局のほか、ディスカウント業態のジャパンや訪問看護ステーションの運営も行っています。スギ薬局は関東、関西、北陸、中部地方で出店しており、2022年2月末時点での出店数は1,483店舗です。

我々のDX施策では、薬剤師や管理栄養士、美容部員といった専門家が活躍します。DX戦略でデジタルを活用するのはもちろんですが、その力の源となるのはやはり「人」であるというところに重きを置いて取り組んでいます。

1年半前、試行錯誤の末にDX推進のための組織が整いました。まず悩ましかったのがシステム・物流統括部門とDX推進部門の連携です。基幹システムと物流は小売業の命であり、ここに問題が起きれば店舗とお客様に多大な迷惑をかけてしまいます。

システム・物流では絶対にトラブルを起こさせないという大きな使命を背負っているため、デジタル施策やマーケティングといった新しい試みを行う部署と衝突が起きてしまいがちです。新しいことをして、もし既存システムに影響を与えたらどう責任を取るのだと。しかし部署間の連携がうまく取れていないとDXもスムーズに進まないということで、社長直下のDX戦略本部内にシステム・物流統括部も入ることになりました。

現在、社長の直下に社長室とDX戦略本部があり、私は両方の部署を兼任しています。そして社長室には「製・配・販連携推進」「行政連携推進」「医療連携開発」という部署があります。このような部署が同じ傘下に入り、同じ人間が兼務することで、各方面との連携が必要になる様々な施策をスピード感を持って進められるというメリットがあります。

▲[図表1]DX推進の領域

図表1はDXを行う領域を分類したもので、小売業の「共通課題」、専門性の高い「医療・調剤」「ビューティ・ウエルネス」というテーマに分けています。

しかしいろいろな施策を進めても、店頭で従業員が作業に追われてお客様の相手ができないという状況になっては本末転倒です。各施策にスピード感を持って取り組めるよう、もっとも重要なのはすべての課題に共通する「店舗業務の省力化」であると考えて進めています。

「生活習慣病リスクレポート」は顧客との関係持続ツールになる

我々がDX推進により達成したい目的は、「トータルヘルスケア戦略の推進」です。

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