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4/9 中国の新型コロナ状況(雲南省の経過)&上海ワクチン関連情報

 久しぶりに更新します。

 4/9はまたPCR検査を受けました。上海市政府の規定により、上海の医療関係者は2週間に1回定期検査を受けなくてはいけません。このように我々は常にモニタリングされています。もし陽性が出れば、追跡もし易いですし。もちろん、うちの病院の医療スタッフほぼ全てがワクチン接種済みです。

 先ずは、中国で久しぶりに市中感染者を出している雲南省の状況から。多分、雲南省のミャンマーとの国境の街、瑞麗の新型コロナの感染状況を日本語でまとめるような人は殆どいないと思いますので、以下はご参考までに。

 さて、3/28 雲南省瑞麗市では姐告玉城の重点人員へのPCR検査を実施、1例のミャンマー人が陽性。3/30 24時までに住宅地全体のPCR検体26,000例のうち、9例の陽性発見。3/31までに濃厚接触者317人集中隔離。国門社区の封鎖と姐告大橋通行禁止。31日午前8時から瑞麗中心部PCR検査開始。

 3/30 22時より、瑞麗市の交通規制と、街を出る人は72時間以内のPCR陰性証明必要。市民全員のPCR検査の結果がでたら、交通規制を継続するかどうか判断。全市で隔離用宿泊施設635部屋と、医療関係者1,800人派遣。濃厚接触者、2次濃厚接触者の追跡調査が始まっています。

 3/30 8時より、姐告区の全ての学校を休校、3/31 0時より市中心部の学校も全て休校。寄宿制の学校は外出禁止で封鎖管理。3/31 8時現在、52箇所の学校、3万2千人の学生、教職員2,315人は自宅隔離で、ネット授業に切り替え。3/31 18:30までにPCR検体採取完了。休校中、学生・教職員への心理的なサポート、学校では全面的な消毒、マスク・消毒液・アルコールなど物質の充実、食料品の供給などが重点的に行われているようです。

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 3/31から瑞麗市全市民PCR検査を行った結果、3/31 の新規確定例6例、無症状感染者23例。現在、疫学調査が行われています。中国籍とミャンマー籍の感染者です。

 3/31午後、広州中医薬大学副学長、広東省中医院の張忠徳副医院長が、国家衛健の救援チームとして雲南瑞麗へ。この先生は、湖北武漢・河北邢台に続いて3回目の現地派遣で、中国伝統医学の著名な専門家でもあります。

 4/1の当局の記者会見では、4/1 朝8時までに3万件のPCR検査検体採取完了し、1万人の検査結果が出ています。濃厚接触者・二次濃厚接触者は1,320人をホテルに集中隔離。

 4/1 19時より、市内姐告国門社区など5箇所の住宅地・工場・村などを中リスクエリアに設定。リスクエリアが設定出来たと言うことは、これまでの疫学調査で、ほぼ感染拡大エリアを特定できたようですね。また、中国大陸では久しぶりの中リスクエリアでもあります。

 雲南徳宏州CDCでは、瑞麗を含む、国境エリアの県・市に対して、大規模なワクチン接種を4/1から行うとのこと。接種点は65箇所。

 https://t.co/1FpqNcerKT?amp=1

 4/1 雲南省では新たに4例の確定例と4例の無症状感染者。無症状感染者のうち一人は、中国籍で耿马県にて。相変わらずミャンマー籍と中国籍の感染者が多いです。

 雲南省では、感染者が出ている瑞麗市に15.9万本のワクチンを緊急に手配、4/6までに全市の適合者全員にワクチン接種を進めていくとのことでした。3/30までにすでに3.2万本のワクチンが接種されました。

 4/2 全市民PCR検査で、新たに12例の感染者(7例確定、5例無症状)。ウイルス遺伝子B.1.36.16系、ミャンマー輸入例(物品)の可能性大。14例の遺伝子は似ており10例は完全一致で同一感染源か。英国や南アフリカの変異株とも異なるとのこと。

 4/4 雲南省の新規確定例は15例、無症状感染者5例。累計では、確定例51例(海外3例、市中48例)、無症状感染者56例(海外19例、市中37例)。いずれも瑞麗市で、重点人員と濃厚接触者へのPCR検査から発見。ミャンマー籍が相変わらず多いですね。

  4/5 19時より、雲南省瑞麗市で3箇所の高リスクエリア、また中リスクエリアは6箇所になっています。高リスクエリアに指定されたのは、姐告国门社区,团结村委会金坎、弄喊片区(瑞丽大道以南),仙客巷和光明巷居民小组です。高リスクエリアに指定されたと言うことは、クラスターの発生が確認されたということになります。

   4/6 午前8時より、雲南省瑞麗市中心部で2回目の全市民PCR検査。また、今回のPCR検査の結果から、感染状況を把握し、ワクチン接種方法を再検討するとのこと。4/5 14時現在、瑞麗市では12万本のワクチン接種済み。

  雲南省瑞麗市。今回のケースでは、国境エリアであるためミャンマー人の感染者も多く、通訳の不足が生じたため、市政府は通訳ボランティアを募集。現在千人あまりが集まったそうです。とくに疫学調査やワクチン接種では言葉の問題解決が重要です。

  4/6から始まった2回目の重点エリア・重点人員PCR検査は、4/6夜で約24万人 、4/7までに全員検体採取完了予定。更に4/5から抗体検査。瑞麗市には7万人のミャンマー人在住、疫学調査のために1,546人のボランティア通訳も投入されています。

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 PCR検査する人たち、重装備ですよね。でも、実はこれ、中国では当たり前なのです。というか、規定で決まっています。

  今回も含め、ここ半年で3回も市中クラスターを出してしまった瑞麗書記が、中国全国・雲南省全土の防疫対策に重大な影響を与えたと言うことで、党内や政務職務を全て解かれ、降格処分になりましたね。中国ではトップは失敗が許されない。

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 4/7 雲南省では11例の確定例と1例の無症状感染者。確定例11例のうち3例は無症状感染者が確定例に。残り8例の確定例と1例の無症状感染者は2巡目の全市民PCR検査で発見。

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 これを見ると、当局の発表もかなりプライバシーを配慮されたものになっています。上海市の場合、男女も年齢も公表しなくなりました。実際、一般市民には必要のない情報ですからね。

 4/8雲南省 瑞麗で 新たに8例の確定例。全て2回目の全市民PCR検査で発見された症例です。4/8現在、雲南省では累計確定例87例(輸入例3、市中84例)無症状44例(輸入19例、市中25例)。迅速な複数回の全市民PCR検査は感染コントロールで重要な取り組みだし、検査しないと感染の実態が掴めず、手遅れになりかねません。

以上から、今回の雲南省のケースでは、まだ感染者が出ていますが、感染者が発生した時の大まかな流れが分かるかと思います。

①重点人員を中心とした定期PCR検査等で感染者(無症状者も含む)発見。
②疫学調査開始して濃厚接触者・2次濃厚接触者隔離、全市民PCR検査始動。
③学校等を休校、ロックダウン体制へ。
④全市民PCR検査・疫学調査の結果から高・中リスクエリア設定。
⑤全市で適合者全員にワクチン接種開始。ゼロになるまで再度全市民PCR検査。

上海関連情報

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 写真は、上海での某ワクチン接種会場の様子です。グランドにプレハブを建ていますね。

 上海でのワクチン接種ですが、3/29から外国人への接種受付開始です。予約が難しそうですが、接種出来ている人もチラホラ出始めているので、根気よくチャレンジすることが必要かも。私は医療関係者として1月に2回接種しました。接種後も全く問題ありません。

 3/31 現在、上海市の医療関係者のワクチン接種率は82%に(33.1万人中27.2万人)。私もそのうちの1人。1月に2回接種済ませました。接種対象となるのは、医師・看護師・技師・実習生・管理者・受付・医学生・研修生など病院に勤める全ての職種になります。

 4/6 中国ワクチン協会によると、中国は2021年末までに全国民の7割にワクチン接種するの見込みらしい。現在中国国内で接種されたワクチンは約1億3千万本、海外へは1億本提供。ちなみに来年末までにワクチン生産量は年間50億本になるようです。

 https://t.co/KGgsI30qro?amp=1

 上海では、5月に日本へ一時帰国する日本人駐在員が多そうだけど、日本の感染状況を考えると、あまりタイミングが良くないと思います。せめて、可能な限り、ワクチン接種を終えてから日本に一時帰国して欲しいと思う今日この頃。日本での感染リスクを少しでも減らして下さい。

 ワクチン接種で2週間隔離がなくなるのでは?とか期待されている方も多いのですが、中国式の対策では、1例でも感染者を出したらダメなので、おそらく当面は隔離解除もムリだと思います。それよりも、まずは自分自身が感染しないように最大限の注意を払うことが重要です。なので、そのためのワクチン接種だと私は思います。ワクチン接種は、そもそもゼロコロナにするための手段に過ぎないのです。

 4/6 新華社も伝えていますが、中国CDCのワクチン計画センターの専門家がコメントを出していました。抗生物質アレルギー、花粉症などのアレルギー体質、妊娠予定の人がワクチン接種できるか?答えは何れも接種OKです。中国のワクチンの場合、アナフィラキシーショックの確率は100万分の一以下で、接種後30分の指定場所健康チェックが厳格ですので、その時に問題なければまず大丈夫でしょう。

 中国もmRNAワクチンの開発を進めているようですね。中国では輸送問題を考えて、不活化ワクチンを進めていましたが、現在mRNAワクチンも海外でⅢ相試験が開始とのこと。同時に中国が知的所有権を持っている、常温で輸送可能なmRNAワクチンもⅠ、Ⅱ相試験開始とのことです。現在、中国では国産の5種類のワクチンが緊急認可されて使用されていて、このうち3種類が不活化ワクチン、あとはアデノウイルスベクターワクチンとサブユニットワクチンになっています。

以上です。






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