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6/26 鐘南山院士の広州からの報告(情報量が多く、重要なのでnoteに要約しました。)

■広東省の現在の状況から

①5/21 深圳塩田港など。α株。6/24までに確定例4例、無症状12例。6/6〜6/24で18日間感染者ゼロ。収束。
②5/21 広州荔湾区は、δ株。広州・佛山・湛江・茂名の22箇所に拡散、6/24現在で167例。(6/27現在、広州エリアがすべて低リスクエリアになっています。)
③6/14 深圳宝安空港は、δ株ですが、広州とは違うタイプ。6/24現在、深圳4例、東莞3例。他地区から省外への拡大、学校内での感染拡大リスクがあるため、現在引き続き警戒中。(6/27現在、新しい感染者は出ていません。)

■広州のδ株の特徴

(1)特徴:3つの亜型があり、K417N、L452R、T478Kに突然変異がみられ、とくにL425RとヒトのACR2受容体との親和性が野生株の2倍と強く、感染力が強い。また、Ct値平均は21で、武漢当初のCt値28よりもウイルス量が多いことが判明。また体内のウイルスがPCR検査陰性になる期間は、13〜15日。一部では20日以上かかっており、通常株の7〜9日より長い。

(2)広州での対策:5/20 広州荔湾区の発熱外来で1例目が発見され、δ株であるから、海外輸入例関連。その後、会食・共同生活などで荔湾区南部エリアで拡散。広州6区(海珠区 番禺区 越秀区 南沙区 白云区)の17地区へ拡散、6/20の段階で、確定例146例、無症状感染者7例で計153例感染。第1例目の発病時期は5/18で、5/29〜6/5が発病ピークとなった。その後防疫対策が強化され、6/19に広州での市中感染者ゼロ達成。当時、我々はSERI公式による数理モデルによって感染者数の最大数を予想したところ最大171例と出ていたため、ほぼ予想通りの動きとなった。広州でのδ株の感染力は強く、10日以内に第5代まで感染拡大し、基本再生産数は4.04〜5.0程度とみられ、もしコントロールに失敗すると、広州市内で730万人が感染すると予測されていた。

広州での対策は、北京新発地市場でクラスターが発生した経験に加え、δ株に対しての新しい対策を導入した。

(注)北京では、公共衛生応急回応(日本的にいうと緊急事態宣言)を3級から2級に引き上げ、新発地市場や関連市場を閉鎖し、輸入食品に対しての検疫強化、毎日40万人PCR検査、濃厚接触者追跡、社会活動停止、マスクの徹底、小中高の休校、大学もオンラインなど。)

1.感染源を探し、感染繋がりをはっきりさせる

 5/21の報告後、その日の午後3時には感染源を特定、疫学調査が始まり、ウイルスの遺伝子測定も。167例のうち、2例は現在調査中だが、165例(うち広州では153例)に関してはハッキリとした感染ルート判明。広州と深圳は異なったδ株であり、広州は1人の高齢者からの感染であることが判明。これらの情報をもとに、封鎖管理エリアを特定させていった。

2.濃厚接触の再定義

 δ株は、ウイルス量が多く、感染力が非常に強い特徴がある。そのため、従来の濃厚接触の定義は使えない。従来は、発病2日前から一緒にいた家族・職場、1メートル以内での食事・会議などであったが、今回から発病4日まえから、同じ空間・同じ職場・同じ建物にいた場合を濃厚接触者として隔離。封閉や封控などいくつかのランクによって封鎖管理する方法を定め、全員隔離から個人的に日常生活を報告をうけるなど様々な管理方法を導入、特定地域から広州全域に対するPCR検査を実施したうえで、さらに濃厚接触者へのPCR検査を強化した。

3.健康QRコード「黄色」

 (この広東省での対策は新しかったですね。感染力が強いδ株向けだったのかもしれません。)携帯電話の基地局から割り出される位置情報と、公共エリアの監視カメラから、高リスクエリアにいた人たちの健康QRコードを「黄色」にする。その定義は、感染者と同じ密閉した空間に1時間以上滞在した場合で、24時間以内のPCR検査が必要。もし検査を受けない場合は、その地区から「3人組」が派遣され、検査を督促する。また「黄色」の人のPCR検査は、3日に2回或いは7日に3回とし、全広東省に拡大。

 この結果、広州関連の感染者167例のうち、広州が153例、湛江が1例、茂名が1例であった。感染発見時、無症状感染者であったのは53例で全体の3割であった。また、発見された方法も、すでに隔離されていた濃厚接触者からが109例で全体の65.27%であった。

4.省外への波及防止

 5/31に広州で、6/2から佛山で、広州・佛山から離れる人員に対して、健康QRコード緑+72時間以内のPCR検査陰性証明。6/7から、広州・佛山では48時間以内のPCR検査陰性証明。6/24現在、広東省から外へ感染が広がった形跡はほぼなし。

5.閉鎖エリアの動物へのPCR検査

 船鶴園住宅地では鼠を捕獲、3日間に70匹捕獲してPCR検査、陰性。現在、広東省CDC広東省農業科学院と協力して猫・犬の血清疫学調査を行い、7月末に報告がでる予定。

■臨床治療

 広州市八医院にスタッフを集中させ、13例の重症・重篤例の治療。うち2例でECMO使用。(さらに輸入例でも2例でECMO使用した)。6/24現在ICUで治療中の患者は6例で、ECMOを撤去できた。死亡例ゼロ。

■今後の対策

・我々が重点管理しているエリアで感染者がでるのは十分にあり得るが、重点管理しているエリア以外で感染者が出ることに警戒が必要。

・従来の発熱外来も感染力の強いδ株対策が必要。発熱外来は通常外来から20m離して、陰圧する必要あり。また建物として独立させ、窓があってはならない。一般外来と出入り口は別にして、風向きにも注意する必要がある。

・広州市で海外から戻ってきた人対象にホテル隔離が行われているが、一部ホテルの(感染症対策からの)隔離条件が思わしくない。そこで、「広州国際健康驿站」施設の建設計画開始。25万平方メートルの敷地に、5,000部屋の隔離施設建設することになった。深圳でも同様の構想スタート。

・広州市では、市中感染が始まった頃、一旦ワクチン接種を停止させた。これは人が集まって市中感染が拡大するのを防ぐため。その後、市中感染が収まってからワクチン接種再開。

■中国でのワクチン接種状況

1.実際に広州で発生した感染者・濃厚接触者からのデータから、中国のワクチンのδ株への有効性の研究が行われている。現在、濃厚接触者への保護効果は69%、肺炎発症の予防は73%、重症化予防は95%以上となっており、一定の保護が期待できる。

2.6/24現在のワクチン接種率

(1)全国:5.6億人が2回接種完了。接種完了率は38.0%。

(2)広東:広東省1.26億人の人口から計算して、接種完了率は35.4%・

(3)広州:広州市1,800万人の人口から計算して、48.4%。

 ワクチン保護率を70%とした場合、少なくとも80%がワクチン接種しないと、集団免疫が形成できない。そのため、ワクチン接種の拡大を急ぐ必要がある。

■広州での新型コロナ関係研究成果。

広州各地でのPCR検査拡大のための移動検査車や、空気をいれることで設置できる臨時実験室。コールドチェーン貨物や地下鉄など乗り物の密閉空間への消毒装置。δ株診断キットなど。2種類の新薬を研究中。δ株対策用の2種類のワクチンを申請。

以上のソースです。

https://k.sina.cn/article_1686546714_6486a91a02001fnbk.html?wm=13500_0055&sinawapsharesource=newsapp&vt=4





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