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ボロ車と泥棒

私が物心付いた頃、父が乗っていたのが鶯色のカローラ。

所々錆び付いていていて、見るも無残な姿でした。

ギアのカバーみたいなものは穴が開いていて、地面が見えていました。

ある日、私たち家族が暮らしているアパートで車上荒らしが発生しました。

すべての車から何らかの物が盗まれていました。我が家の車を除いて。

近所の奥さんが、母のところにやって来て

「あんなテッシュ置いてたら、泥棒も寄り付かないわ」と苦笑い。

確かにそのティシュは何年前に買ったのか分からないもので、かなり干からびた感じに。恐るべし、太陽の光。

でも、それだけが原因ではありません。車から貧乏オーラが出ていたに違いありません。

父は、「この車見て、可哀想に思ったんよ。お金置いていきたくなるぐらいたい」とのんきな高笑い。

母も「ボロ車でよかったわ~」と屈託のない様子。

妙にプラス思考の両親でした。





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