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#6 フリースタイルダンジョン


ここで少し脱線するが、
俺には"相方"が2人いることになる。


Ganger では 「将軍」
LaLapaloozas では 「MCW」

音楽のスタイルが両極端な2人だが、俺の視点から見た共通点がある。




それは【即興劇】だ。




クラブで遊んでる人は
DJプレイやLIVEに夢中になる時間もあれば、
そんな時間を肴に、会話に夢中になる時間もある。
俺たちは前の記事で紹介した遊びや、即興コントを楽しんだ。


とある夜、バーカウンターでドリンクを待つMCWが俺にこう言った。


「今日のライブの構成、どうするー?」


LaLapaloozas結成の何年か前なので
もちろん俺とMCWがライブをやる予定などない。

こういう展開が"スキモン"にとっては合図になる。


『うーん、Dream tomorrowは最後にやりたいんですよね』

「いや、国士無双だろ!展開つけて盛り上げるなら最後は、絶対、国士無双!!」

そんな会話が2〜3分続き
何事も無かったかのように別々の行動をとる。



この"何事も無かったかのように"の独特の空気感が俺は好きだ。



MCWとの即興劇では
「心優しい大巨人」「超ファン」「早口ナンパ師」「ミキサーのミッドもうちょい下げた方がいいよオジサン」
など様々なキャラクターを生み出してきた。



Gangerの将軍も昔から、俺が何を振っても対応してくれた


クラブですれ違うときに

「あ、休憩先入っちゃっていいよ!」
とスピーディーに言うと

『あ、ホントっすか、休憩頂きまーす』
とスピーディーにその場を捌けてくれる。


この時ばかりは、ものすごいレスポンスの速さを見せるのだ。




これはつい最近の事だが
武蔵小金井〜高円寺までの20分以上の時間を、俺と将軍は即興劇で過ごした。


乗車直前に、「最近どうなの?試合のほうはさ?」


とボクシングの仕草をしながら話しかけた。


将軍「ぼちぼちだね〜」


周りの人も少しコチラを意識した。
この"周りの人"っていうのがフリースタイラーにとっては重要なのだ。



武蔵境に着くころには、お互い同じ会社にいる設定になっていて
吉祥寺に着くころには、架空の登場人物が4人くらい出てきている。


「ヒジカタさん、こないだも飲み会で大変だったんだよ〜」
みたいな日常会話に飽きてくると


「吉本さん、爪切りで骨折したらしいよ!」
のようなブッコミが入り



お互いどう笑わせるか、こらえるか、
の戦いが始まる頃には
15分以上も同じ空間にいる"周りの人"が存在感を増してきて
もう、辞めたくても辞めれない領域まで達してくる。



阿佐ヶ谷を出た頃には、
とにかく、めちゃくちゃな奴らしかいない、とんでもない会社で、そこで非常に大変な思いをする疲れた会社員2名になっていた。

将軍「…いやぁでもねぇ、長年休み無く働いたぶん、こないだガッツリ給料上がってさぁ!!22万!!」


林太郎「えぇ!?ぃ、いいなぁー!!(泣笑)」




と言った瞬間
"周りの人"がバッとコチラを見た。



そのタイミングで電車は高円寺につきバッとドアが空いた。



車外に出た時にはまるでサウナ室から出たような開放感と達成感に満ち溢れ
そこでGanger劇は幕を閉じたのだった。




いやぁ、お前とヤれてよかったよ。
久々にいいライブだったよ!なんて話をしながら歩いたあと
友達の家のチャイムを鳴らすと、もう宗教勧誘の2人になっているのだから忙しいものだ。





俺はこういう絶妙な遊びをして生きてきたからこそ
絶妙な世界を一緒に見れる人が"相方"になったのだと思った。





2022年5/13にリリースしたばかりの
LaLapaloozas 「musica del oeste 」
の収録曲、Bajin Side Kick men (JUCO remix)から
「上に垂らす酒と劇は即興」というMCWのリリックは、きっとそんなことに違いない。

配信開始&CD発売中!!

次はこの曲について触れたいと思う。

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