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介護をするご家族からのSOS

◉ 代々、親の面倒(介護)は子や嫁が担ってきたというしきたり
◉ 子や親族の中でも「女性」が主介護者となるべき
◉ 親を施設に入所させることを「恥」と捉える地域
◉ 認知症を隠す風習… など、少なからず存在します。
そんな周囲の無言の圧力を感じて苦しむご家族からのSOSは少なくありません。

お身体が不自由になったことで「当事者であるご本人が一番苦しく、辛い思いをしている」と多くの人は思います。
それは紛れもない事実で、当然ご本人が介護の「主役」となります。
それはご家族も十分理解されているのですが…。

核家族化の影響

核家族化の影響で同居家族みんなで介護を支えた時代から、ひとりで介護をする…あるいは離れた場所から介護をする環境へと変わってきています。
そのため、ご両親の介護が必要になったことでご家族の生活も一変します。
自分の時間は減り、経済的負担は増え、終わりの見えない不安を抱える方も多くいらっしゃいます。

わかってほしい

ですが、ご家族からのSOSは介護を否定したり拒否しているものではありません。
むしろ、多くの方がご両親への愛情も介護に対する責任感も強いように感じます。
ただ「本人とは違う辛さが家族にもある」ということを認めてもらいたいようにも感じます。
実際、辛い思いを口にすることで「聞いてもらえてよかった」「なんだかスッキリした」「安心した」など、表情が穏やかになっていきます。

共感だけでは救われない現実

とはいえ、共感だけでは救われない厳しい現実もあります。

徘徊がとまらず、何度も警察にお世話になってしまうひとり暮らしのお父様の介護に限界を感じ、やむを得ず施設入所を決めた矢先、徘徊中に転倒し緊急搬送。
恐れていたことが起きてしまった実例です。
転倒により顎と腕を骨折されていましたが、幸い命に別状はなく帰宅することに。
腕の骨折は治療してもらえたものの、顎の骨折は口腔外科を受診するよう紹介状を持たされての帰宅でした。

「なぜ入院させてもらえないのか!」
「口腔外科のある病院をまた受診しなければならない」
「これ以上仕事を休めないのに」
「この状態で家に帰って、どうやって介護すればいいのか」
「あれほど外に出ないよう、貼り紙をしておいたのに…」
など、主介護者の娘さんはさまざまな思いから感情を抑えられない状態に。

無意識の思い

他のご家族のご協力状況について尋ねると…
「男兄弟はみんな仕事が忙しくて頼めない」とおっしゃいます。
娘さん自身も仕事をされているので、立場は同じはずなのにひとり責任を感じているご様子。
他のご家族に頼むことはせず、自分だけが頑張り、そして苦しまれていたのです。

幸いショートステイで受け入れてもらえることになり、安心された娘さんは平常心を取り戻すことができました。

ストレスの怖さ

いつもはとても優しく、冗談を言っては笑わせてくれる明るい娘さん。
怒りを抑えきれず、荒々しい強い口調で訴えられた娘さんの表情は別人でした。
強いストレスは別人にしてしまいます。
強いストレスは思わぬ病気を招く可能性もあります。
ご本人だけでなく、ご家族に対してもストレスの軽減はとても重要ですね。

私たちの思い

ご家族の介護に対する関わり方は実にさまざまなケースがあり、ご家庭ごとに異なります。そのため、私たちは固定観念を持たず客観的にみる意識を忘れないよう心がけています。

どのようなケースであれ、
「頼りにされ、正しく寄り添えているか」 日々学び続けたいと思います。

心からの「ありがとう」のために。


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