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死亡が1.79倍に―認知症高齢者の栄養を見直そう

地域医療ジャーナル 2022年1月号 vol.8(1)
記者:bycomet
医師/編集長


 今回は、食事がとれなくなった認知症の人に、栄養を補充することは良くなかった、というお話です。

 進行した認知症の人に経管栄養を行うと死亡が多くなっていた、という衝撃的な論文が、2021年に発表されたのです。

 この論文を、もう少し詳しくみていきましょう。

 

総死亡が79%多い

メタ分析(Lee, 2021)[1]
・進行した認知症患者に
・経管栄養を行うと
・経管栄養を行わないのに比べて
・総死亡が少なくなるか、生存期間が長くなるのか
治療に関する疑問を検討したシステマティックレビュー・メタ分析です。

結果の概要は、以下のとおりです。
・12研究(5,666人)の結果を統合
・総死亡は経管栄養群で79%多いオッズ比 1.79, 95%信頼区間 1.04, 3.07)
・生存期間には有意差がなかった。

 進行した認知症患者に経管栄養を行うと総死亡が79%多い、という結果でした。 

 栄養がとれなくなったからといって、栄養を投与することは有害なことかもしれません。

 この論文から、食事がとれなくなった認知症の人に、栄養を与えることはよくないかもしれない、ということがわかります。


参考文献
1. Lee YF, Hsu TW, Liang CS, Yeh TC, Chen TY, Chen NC, Chu CS. The Efficacy and Safety of Tube Feeding in Advanced Dementia Patients: A Systemic Review and Meta-Analysis Study. J Am Med Dir Assoc. 2021 Feb;22(2):357-363. doi: 10.1016/j.jamda.2020.06.035. Epub 2020 Jul 29. PMID: 32736992.


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