20230216

 フランスで『寅さん』上映が大盛況しているようだ。「寅さんを通して日本を知った」とあったけど、作品内で描かれている寅さんと周りの人々の暮らしと地続きで今の自分たちが存在しているかと聞かれるとどうだろうと思う。か細くつながっている気もするし、どこかで断層が生じているかもしれない。そういえば、『男はつらいよ』シリーズがテレビ放送されるたびに父が録画して何度も観返している。同じアーカイブを擦り切れるまで何度も味わえるのは父譲りだなと思う。

 自転車で大きな街道沿いにあるスタバに行った。近くにホームセンターやショッピングモール、でかいユニクロの店舗なんかがまとまって並んでいる。最寄り駅のスタバよりも席が多く開放的で、ガラス張りの壁際のいい席に座ることができた。太陽の光がブラインド越しに差し込んでくる。前の一人掛けソファに座った人が穿いていた明るい緑色のチノパンが鮮やかだった。『ビリジアン』の最後の話を読む。店内にはSufjan Stevensの”Mystery of Love”が流れていた。一通り読んできて、どこにも収納されていなかった自分の記憶も浮かび上がってきた。
 帰りは土手道を走った。きれいな冬の夕暮れだった。正面から17歳のジャージ姿の自分が結構速いペースで走ってきた。


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