20230805

 夕方、日光を浴びるために外に出るといつもより人の往来が多い、というか不自然な人の集団がちらほら見える。今日は地元の花火大会だった。土手に上って場所取りをしている人たちをざっと眺めた後、駅から土手へと向かう人の流れに逆らって駅へ向かう。コンビニや飲食店が店の前でビールや枝豆を売っている。駅近のブックオフであだち充の『H2』———二年の夏、比呂と英雄が甲子園出場を決めたあたり―――を立ち読みした。既に用意されている夏から目を背けてマンガの中にある夏を味わうことに対する後ろめたさ。家に帰って、自室の窓から花火を見ようと思ったら、土手の前に新しく建てられたマンションがちょうど花火が打ちあがる部分を遮っていた。「また僕を育ててくれた景色が呆気なく金になった」。マンションに反射する花火の鈍い音だけが聞こえてくる中でこの日記を書いている。

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