20230219

 朝ごはんを食べながらテレビを見るともなく見ていたら、AOKIのフレッシャーズスーツのCMと、ハウスメイトの新生活を迎える人に向けたCMが立て続けに流れた。今日は暖かくなりそうだった。
 午前中の仕事を終えて、スカイツリー近辺から西に、墨田川を渡って御徒町駅まで写真を撮りながら歩こうと思った。所々に梅の花が咲いている。どこかの会社の荷物の搬入口でたむろしていた中年の従業員からは、どことなく日曜日の穏やかな雰囲気が感じられた。隅田川を渡ったところで、どうせだったら浅草方面に北上して帰るのに都合のいい南千住駅まで歩くことにした。隅田川のすぐ隣の路地を歩く。アパホテルの入り口でペンキ塗りをしている人がいて、ペンキのにおいが心地よかった。ポケットに入れていた手が汗ばんでいるのを感じる。ビルに挟まれた空き地———遠くに首都高が見える―――の写真を撮ったら不思議な光景が生まれた。
 浅草は日本人、外国人問わずたくさんの観光客で混雑していた。交差点で信号が変わるのを待っていたら、「めっちゃデカない?」と関西弁の男性がスカイツリーの方角を見ながら彼女に話しかけていた。特に観光もせず、そのまま浅草を超えて進んでいたらいつのまにか吉原のソープ街に迷い込んでいた。こういう場所に来るのは初めてだった。昼間だったから閑散としていて、時折店の入り口からスーツ姿のスタッフらしい人が出てきていた。正面から運転の荒い黒塗りのバンが駐車場に入っていき、来た道を再び戻っていった。吉原公園の中では観光客らしい外国人二人が笑いながら何か話し合っていた。
 1時間半くらいかけてようやく南千住にたどり着く。14:40発の電車で家に帰った。自分の知らない人やモノ、人生に交錯した後に元いたレールの上にすぐ戻っていくのは違和感があった。

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