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バイバイ

2022年の初詣に行ってきた。毎年、根津神社という、家からバスに乗って15分程度の神社に挨拶しに行っている。上京した年から毎年同じ場所に行っていたので、今年で3回目だ。いわゆる御朱印を集めたりだとかそんな類のことはしたことがないけれど、根津神社は雰囲気が好きだ。いや、もしかするとそれは根津神社に限ったことではないのかもしれないが、鬼ごっこやシャボン玉をしている子どもたち、厳かに立ち並ぶ大きな木々、そしてまっすぐに差し込む夕暮れの日差し(最後に関しては僕が昼過ぎに起床したせい!)。ノスタルジックな気分になって、とても落ち着く。

4年の東京生活に終止符が打たれる。3月に大阪に帰ることが決まった。

2回目の転職をして今は複数店舗のマネジメントの仕事をしているのだが、気がつけばポストも上がり(僕は真面目な人間だ)、大阪エリアを任されることとなり凱旋することになった。決まった時、率直に嬉しい!と思ったのと同時に、半分くらいの感情は、「さみしい」と感じた。上京前と上京してすぐの頃は、「なんで俺は東京に来たんかな?」とか思ったり、正直なんの愛着もナシに暮らしていたけれど、住めば都とは全く言い得た言葉であり、とうとう僕は東京が好きになった。何かの予定の帰り道、よく疲れるまでひたすら歩くことがあるのだけど(身体は26のmindジジイ!)、どの街でも思い出に出会うことが多くなった。吉祥寺でタコライス食うたなぁ。六本木で一緒に美術館行った女の子にフラれたなぁ。仕事でタクシーからレインボーブリッジみて”おセンチ”になったなぁ。上野のでかい公園で外飲みしたなぁ。下北や高円寺一人で歩いたなぁ。有楽町でオールナイトニッポン終わりのオードリーおらんか探したなぁ。東京タワー近くを散歩してデートしたなぁ。今考えてみると、溢れるくらい色んな記憶があるなとビックリする。けどまあ、4年も住んだんやもんね。妥当か、僕は東京で生きていたのだ。

東京を離れることをさみしいと思った理由は、単に思い出が増えたからそう感じるのではなく、「結局、何者にもなれなかった」ことも大きい。というか、今日時点の自分の中の感情は、これが第一位だ。

思えば2018年、夢を持ってこの土地にやってきた。

お笑いが好きで、お笑いに関わりたくてテレビの制作会社に入社した。そんな会社、就職活動を何度も何度も繰り返して、最終面接で落ちた8チャンネルへのジェラシーを抱きながら入社した会社を、僕は半年で辞めてしまった。その頃はまだ”夢”へのモチベーションは強くて、なんとかしてやろうと思っていた。東京にいればなんとかなるだろう。たまに気が向いたときにネタとか書いてればなんとかなるだろう。そんなことをしている内に転職先の営業職で謎の才能が開花し、本職が楽しくなった。ヘッドハンティングされて(東京で4年も住んだからこんな横文字使ってもいいだろう。純大阪人は使うな)(最低!)今の会社に至り、ベンチャー企業にビジネスマン偏差値の向上を強要された。いやいや、僕はそんなことをしたかったわけじゃあないんだ、友人を誘ってとうとうM-1グランプリに出たが、相方との遠距離やそもそも仕事が忙しく、全然結果は出せなかった。

人生の目的を達成する上で、おそらく場所、東京は関係ないんだな。
場所じゃなくて、自分次第なんやな。
今、そんなことを思っている。

昨日、たまたま『笑神様は突然に』という番組の中の、”スーパーサラリーマン”シリーズを見た。お笑い芸人のドラングドラゴンの鈴木さんが”スーパサラリーマン”に扮して、まるで映画のスタントマンのような危険で高度なことにチャレンジしていくという企画である。僕はこのシリーズをあんまり見たことがなく、なんとなーく知っているくらいだった。昨日挑戦していたのは、サーカスの綱渡りみたいなものに挑戦していて、確か20mくらいの綱を渡り切れるか!?みたいな内容だった。結果としては、練習期間中に鈴木さんが怪我をしてしまい企画は断念になってしまったのだけど、僕はそれに至るまでの練習中の密着カメラで話していたシンプルな言葉が妙に心に残った。

「僕みたいな人間は努力するしかないですからね」
「努力して勝つしかないですよ」

4年間ともにルームシェアをした大学時代からの友人。彼が大学時代から活動していたyoutubeチャンネルが、昨年登録者数がとうとう10万人を突破した。僕も演者として数多く出演しているので、当然10万人の達成には少なからず寄与しているとは思うが、多く見積もっても2,30%くらいの貢献度だろう。いや、もっと少ないかもしれない。ひとえに彼の努力し続けた結果がようやく世間に届き、今があるのだ。企画を考えて備品に金を投資して、そして編集でパソコンと向き合った膨大な時間量の結晶が今の結果なのだろう。

中途半端なポテンシャルじゃ何も生まれない。
場所、環境じゃなくて、大事なのは自分であり努力。

最近、生まれて初めて、そして自分史上最高に体調を崩した。それは軽い鬱症状みたいなもので、人前で話すと気分が悪くなり、咳き込んでしまうといった症状だ。今まで、もちろん学校は常に皆勤賞だし、何百人の前で司会をしたりバンドをしたりなど人前が大得意だった自分が、まさかこんなことになるなんて思いもしなかった。原因は先述した仕事の急な出世による重圧でちょっとおかしくなっちゃったのだと思う。最近はうまく向き合い方を見つけて、症状はかなり改善してきた。
体調を壊して思ったことは、「身体弱い人の辛さがわかったから、これからはもっと優しくしよう」ということ。そしてそれ以上に思ったことは、


「こんな好きでもない仕事でなんでこんな辛い思いせなあかんねん!!!!!
どうせこうなるなら、好きな仕事がええわ!!!!!!!」

ということ。なので最近は、程よく手を抜いて働くようになった。
(ただ、不真面目にはなれそうにない)

色んなことを書いてきたが、やっぱり僕は有名になりたい。
人にすごいと思われたい。
自分の力で人を笑わせたい。
そのために、努力しないといけないんだ。
ネタを書いて、人前でやる。時間をかけて努力する。
数字で目標を決める。時間をかけて努力する。
そして一番大事なことは、もし上述したことができなかった時は、
それを受け入れて、これが自分とすることだ。

大都会東京、ありがとう。
バイバイ、東京。



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