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マルチ勧誘回想録4‐2: 製品と過剰在庫の問題

マルチ勧誘回想録4‐1: 入会」の続きです。参加したマルチサークルが商材として扱っていた、会社Xの製品について少し書きます。

どんな製品だったか

入会・注文手続きから暫くして、ダンボール3〜4箱分のX会社製品が届きました。内容は健康ドリンク、サプリメント、ボディーソープ、シャンプー、精油、ボディーローション、洗剤といった生活用品や健康食品です。

初めて参加したセミナーではネットワークビジネスの「仕組み」に関する説明が多く、商品カタログが出てきたわけではないので、実際にどんなものか興味はありました。薬事法を意識してか、製品の使用感や効果に関する説明が極端に少なかったからです。

実際に製品を手にしてみると、きちんとしたパッケージで、お金を回すことをだけを目的とした"商材"でないことは明らかでした。特にバス用品は香りも良く、海外製品らしいお洒落な印象を受けました。

売り方の問題か?

口コミやネットワークビジネスを利用したマーケティングは、宣伝・広告といった通常の手法よりも営業コストが少ないのだとセミナーで聞きました。しかし、マルチ商法でブランドにネガティブなイメージ(※)が付いてしまうよりは、普通に製品自体の良さや安心感で売ったほうが良いのではないかと率直に思いました。

※会員のマルチ勧誘行為によってブランドイメージに傷が付いた結果、社名を変えて運営を続ける例もあるようです。

それでもマルチ商法という形態を取り続けることには、デメリットを上回るメリットがあるんでしょうか。

会社Xとその会員から構成されるマルチサークルの間には、雇用契約・代理店契約などはありませんでした。既存の会員が新しい会員を紹介し、製品を購入させるだけです。

確かに、これならセールスマンを雇わなくてもモノは売れます。更にはノルマのある会員特典の性質上、大量注文も期待できるという事でしょうか(買い込みは表向きは禁止しているようでしたが)。これくらいしか思いつかないので、不思議に思います。

大量購入に対する疑問

ジュースを飲んでみましたが、普通に美味しかったです。でも正直に言うと、同じものを毎日、一生飲み続けるほどではないなと思いました。
他の製品についても同様です。洗剤、シャンプー、サプリメント…どんなに良いものでも、一生同じものを使い続けるのは現実的でないと言うか、飽きて他社製品を使いたくなる場合もあり得ます。

会員特典の維持を目的に、使い切れない程の製品を(必要もないのに)毎月購入して、ストックがどんどん溜まっていくのは、何かが違う気がしました。
師匠達に「こんなに使い切れないほど買ってしまって大丈夫か」と質問すると、以下のような返答が来たと記憶しています。

「無理して買い込むことはないよ。でも良い製品だし、どんどん買って使っていけばチームに貢献できる。成長していくうちに周りの人もどんどんついてくるから、大丈夫だよ」

要約すると、購入にかかる金額については「アップラインの収入のために買い続けても、自分にダウンライン(※)ができればOK」、在庫に関しては「どんどん消費してね」ということでしょうか。

※ビジネスの親子関係はアップライン、ダウンラインと呼ばれます。"アップ"は自分から見て勧誘者や師匠など直系の先祖を、"ダウン"は自分が勧誘した相手やその勧誘相手…言わば子孫を指します。ダウンラインが多ければ収入は増えます。

大量の在庫を抱えた会員の部屋は、ダンボールだらけになると言われています。転売行為は禁止されていましたが、フリマアプリなどで検索すると様々な製品が安値で出品されています。在庫を抱え込み、消費期限までに使いきれずに困っている人がいるのかもしれません。
生活用品は好きなときに、必要な数だけ買いたいものです。

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