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プレミアムな日本酒とは

19/10/25に、
唎酒師限定の公演を聞いてきました。

正直このような貴重な公演を無料で聞けるとは思っておらず、ただただ感動。

講演者は 言わずと知れた、せんきん 11代目蔵元 薄井一樹さん

SSIの常務理事でもあり、唎酒師のレッスンでも丁寧に公演いただきました。

所感

「日本酒に付加価値をつけるアプローチは無限大。伸び白はまだまだある。オリンピック後の日本酒 第四の波に乗り遅れるな!!!」です。

それでは詳細を見てみましょう。

ちょうどその日、薄井専務は、中田英寿さんのofficeに行っていたようです。
中田さんは現在、本格的に日本酒の事業もやってます。

薄井さんは日本酒アプリ開発をお手伝しているようです。

今回の題目は

「プレミアムな日本酒とは!?」

なかなかヘビーなタイトルです。

プレミアムとは?
高い?
技術?
原料?
希少価値?

それぞれの蔵元で考え方は三者三様。

そこで今回は仙禽としてのプレミアムな日本酒とはなんなのか!?紹介頂きました。

ポイントは以下の8点。

1.流通
2.法律
3.ワインとの競合
4.伝統的製法
5.テロワール
6.技術革新
7.熟成
8.働き方

それぞれ解説していきます。

1.流通の変革
これから日本酒業界の流通は大きく変わるでしょう。
クール宅急便の普及で生酒、無濾過の配送増えたのは90年代
→今後は更なる改革でD2C(Direct to customer)販売が主流になります。

SNSを、駆使して大手ecモールに頼らない売り方が必要となってきます。

では、ネットが主戦場になったとして、酒販店は今後単なる試飲スペースになってしまうのか?そうではないようです。
酒販店は力と勢いのある企業への集約が始まってます。
はせがわ酒店、いまでや、君嶋屋は順調に伸びているようです。

また、蔵元のM&Aが活発に行われています。
外資が入るケースも出てきました。
蔵元は3000社→1200社となり、毎年40-50減ってる状況。決して手放しで喜べる状況ではありません。

2.法律
・特定名称酒見直しが必要と感じている方は多いでしょう。

特に特別純米と純米吟醸の違い 皆さんわかりますか?というか必要ですか?更には普通酒の範囲も広すぎる。

アル転酒だろうが米糠から作っていようが普通酒。Wakazeのボタニカル日本酒はその他醸造酒という扱い。これってフェア?

・生酛の基準厳しく!
更には生酛基準の厳格化も必要です。

乳酸菌培養した液ならokなの?
山廃でも生酛と表示できます。
ひどいのは、生酛に速醸酛をブレンドしたって生酛と表示できてしまうんです。
・原料米 ワインのAOC法との比較が必要です。

3、ワインを見習え!
・原料 ドメーヌとか  2004年から薄井さんは家業の酒造り参加しました。
・酵母依存  その後全国的に酵母依存が始まります。2006年協会1801酵母が出現し業界が一気に変わったのです。
若い人、女性が日本酒を飲むようになりました。

それまでの9号酵母は吟醸香を引っ張り出すの超大変!杜氏の腕の見せ所だった。
YK35とか 山田錦9号酵母35%精米
今は簡単に作れる。
酒蔵の息子は醸造試験場でちょっと勉強して蔵に戻って、すぐに1801酵母で85点の酒が作れてしまう。

並行複発酵は酵母に依存し、単発酵は原料に依存する性質があるためですね。

そして1801酵母の出現によって味が画一化されてしまったのです。

・アルコール度数 原酒で低くする必要があります。12-14度が世界中で慣れてるワインの度数。
加水すると薄くなってしまうのであくまで原酒で12-14度に抑える必要があります。16度超えると料理の邪魔をしてしまいます。
・酸味 料理との接着剤 海外の人が口を揃えていうのは日本酒好きだけど酸味が足りないという事。酸味はテクニックで出せます。
・渋み 油脂分との共存 タンニン
和牛の油脂分には絶対必要なのが渋みです。Wakazeさんは醪に茶葉入れて渋みを出す等の試みも行っているようです。
・料理とのペアリング ワインに勝てない
・引用温度帯 保存温度=飲用温度ではない。冷蔵庫から出してすぐじゃない。生酛はキンキンに冷えてない方が良い等。
・酒器の選定

4、伝統的製法の価値
・生酛の見直し
・国策との歴史的関係性
・蔵付き酵母の可能性→唯一無二の酒質 only oneに!?個性

仙禽はイタリアに輸出が始まったようです。伝統、手間暇 これらに価値を感じてもらったとの事。

5.テロワールの主張
・米、水、微生物のテロワール
米は現状遠くから運ぶのが主流。
水は塩入れると発酵進みやすい為加工している蔵が多いです。
・地酒の真意を問う
・地域の一次産業を担う
・有機農法の原料米 欧州は有機が普通 農薬入れると高いし 日本は米国に学び過ぎた
・原原種の復活!!DNAをトレースする。
原種の亀の尾 2020年中に三年越しでできあがるそうです。

6.技術革新(精米歩合)
・米を磨かない美学 精米戦争の終焉
もともとは雑味とるため。それが、精米歩合が高い=うまいになっていってしまった。
今や米糠は捨てられてしまっている。昔は煎餅屋が買ってたが、今は国策で輸入米使っている為米糠の行き先がない。
・衛生管理の徹底
・上槽後の処理スピード
・酸化リスクを現状させる仕組みづくり
・海外の日本酒を参考にするべき点
これで綺麗なお酒ができるようです。

しかし、更に上槽後に第二の酒造りが始まります!
いかにすぐに製品化するか。タンクに入れて貯めておくとどんどん酒質が悪化してしまう。
仙禽は絞ったら翌日には絶対に瓶詰めするという徹底ぶり。

カルフォルニアの某酒蔵。
カリフォルニア米なのにうまい!その場で絞り少量づつ作る。鮮度を上げる事で美味しくなる。

7.熟成
・時の経過という付加価値を重視。日本人はその感覚薄い。
・古酒と熟成の違い
熟成はビンテージ、超低温で美しい熟成を行う。
古いとひね香+色も黄色くなる。
・超低温で美しい熟成
・樽熟成 オーク樽とか

8、酒造業の働き方
・当たり前のことであるが蔵の風習を断ち切って一般企業化しなければならない。
・週休2.5日制 仙禽はやっているようです。オーナーの考え方次第で変えることができる。
・酒蔵、酒販店、飲食店 ブラックからの脱却!ストイックがもてはやされる昭和とは異なり、リラックスして作った酒の方がうまいという考え方。
・働きやすい環境
仙禽は25名と社員は多めだけどその分価値を感じてもらい高く買ってくれるお客さんがいる。


所感:

日本酒の最先端で何が行われているのかがわかり大変感銘を受けました。伝統の酒蔵でありながら、海外の感覚も持ち合わせている、薄井さんのような方が、日本酒の未来を作っていくんだと思いました。

今後もこういった公演があればぜひ参加したいと思います。

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