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「牧師夫人の徒然なるままに」(八五二)「各部分が互いにいたわりあうため」(Ⅰコリ12)

昨年の晩秋から、私の住まいの近くにあるショッピング・モールでは華やかなイルミネーションの点灯が始まりました。当初はそのあまりの派手な華やかさのため、いかにも「田舎のどぎついセンス」と、近所の評判も今一つでした。そしてクリスマス・シーズンには青みがかった緑色に統一されて、ようやく樹木のイルミネーションにも人の目が注がれ始めました。

ほっとしたのもつかの間でした。新年になってから、桜の季節を前にお花見にあやかろうというのでしょうか、ショッキングピンクの華やかな光が夜通しきらめくようになりました。いよいよ桜のつぼみが膨らみ始めても、残念ながらその愛らしい姿は、ショッキングピンクのきらめきに吸い取られてしまっていました。

一年に一度の大切な開花をもっと味わいたい!と思われた方々も多かったと思います。可憐な薄いピンクの美しい桜並木は、あでやかな、あまりにあでやかなショッキング・ピンクのイルミネーションに食いつぶされてしまっていました。

祈る気持ちで迎えた桜の満開の日、突如イルミネーションが穏やかなシルバーの色調に変わりました。ようやく愛らしいソメイヨシノの出番となりました。自分だけが目立つより、引き立て役の方が尊い場合がありますよ。とイルミネーションに語り掛けました。 

安食道子

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