夏の夜を引きずって歩く
渋谷から駒場東大前を通って下北沢で一人、一杯やって帰る。
昔、渋谷勤めだった俺(今もだけど)は、神保町で働いていて、近所に住んでいた弟と一緒に、徒歩帰りもしばしばだったことをふと思い出した。大体ゲームとかのくだらない話をして歩くんだけど、もうふたりとも子持ち。だけど、なんとなく、その頃のくだらなさはそのままに、上手いことやってきてると思った。
線路沿いのマンションの明かりが灯って、バカみたいに大きな声が聞こえてくると、その乱痴気ぶりに毒を吐きたくもなるんだけど、でも自分の昔の様も思い出してそうやって記憶と並行に歩くのは全く以て悪くない。夏の風を引きずっている。
今週は日本映画2本と、アピチャッポン『世紀の光』を観た。「人の営みをどう描くか」という命題に向き合っている作品が好きだ。その描き方に、過去の亡霊を伴って歩く自分の姿を重ねたりする夜だ。
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