格上との戦いの考え方

ラグビー日本代表の五郎丸歩が日本サッカーに提言「フィジカルから逃げると戦えない」

なんらかの分野で経験があり、成功した人物の見解や意見は正解である確率が高い。だが絶対でもない。状況や認識が完全合致していることはあまりないわけで成功体験が却って事実認識を曇らせてしまうこともある。

五郎丸さんの発言については本記事に前提情報の記載がないので正解とも間違いとも言い難いという感想です。長期視点での視点と言う意味でおっしゃってるならば正しいと思われます。正攻法の部分を伸ばして差を詰めるのは正解だと思います。


だが、現状でフィジカルの差がある格上相手にどう戦うか?と言う命題ならば、この考え方ではかなりの確率で戦果をあげることはできないでしょう。

なぜか?
いったん少し離れたアプローチから。

オリンピック選手などで「相手に関係なく自分の全力を尽くすだけです」と言う発言がある。

もしその人物が実績のある優勝候補ならばその発言は正しい。だが、明らかに格下で順当に行けば勝てないのならその発言をしている時点で勝つための最善を尽くしているとは考えにくい。頭を使っていない。

たとえば実力に10と20という2倍の差があるとしよう。自分が100%=10を出しても相手が80%=16を出した時点でもはや勝てない。

だから格下と言う自覚があるならば、謙虚にそれを認めた上で「いかに相手のペースを乱すか?」に特化しなければならない。まあインタビューで手の内を言わないという意味では上記発言でよいわけだが、本気で「自分の全力を尽くすだけ」と考えているならその選手には期待しない方が良いと思う。

格上相手の場合、自分のスタイルを崩してでも奇手奇策奇襲をどこかのタイミングで交え、とにかく相手を慌てさせ、ミスを誘う。そういう工夫を考える指揮官や選手のほうが私は好みだなぁ。格上相手になんとかしようと絶望に負けずに足掻く姿にこそドラマ性を感じる。

CIA(内部監査人)や行政書士資格から「ルールについて」、将棋の趣味から「格上との戦い方」に特化して思考を掘り下げている人間です。