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キュン愛映画部

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映画と映画館を愛するスタッフが、「キュン愛」する作品について語ります。
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記事一覧

踊って楽しむ3時間~「RRR」応援上映

編集部のエイミーです。 「映画館で見る映画の良さを多くの人に伝えたい」 そんな思いで映画と映画館愛を語ります。 映画「RRR」(S・S・ラージャマウリ監督/179分)を見ました。2022年10月に日本での上映がスタートし、国内で公開されたインド映画として累計興行収入が初の10億円を突破するなど話題に事欠かない作品です。今回は声出し、鳴り物、コスプレ全てOKの応援上映を堪能してきました。 この楽しい上映会を企画されたのは、広島のまちなか映画館「サロンシネマ」です。 舞台

高校生の瑞々しい姿と「ゆらぎ」を描く~「ミューズは溺れない」

編集部のエイミーです。 「映画館で見る映画の良さを多くの人に伝えたい」 そんな思いで映画と映画館愛を語ります。 映画「ミューズは溺れない」(淺雄望監督/2021年/82分)を見ました。ひと夏の高校生の瑞々しい姿を風や雨、蛙やハトなど自然界の美しさに乗せて描いた青春映画。今作は淺雄監督の長編デビュー作で、インディーズ映画界の登竜門とされる第22回TAMA NEW WAVEと第15回田辺・弁慶映画祭でグランプリを受賞しています。 鑑賞したのは、広島のまちなか映画館「八丁座」

40年間も見たいと願い続けたカルト映画をついに!「ツィゴイネルワイゼン」

編集部のお蝶さんです♪ ずっと見たかった古い映画をスクリーンで見ました。 鈴木清順監督の「ツィゴイネルワイゼン」(1980年)。 中学1年生の時の国語の女性教師が映画好きで、よく映画館に足を運んでいたようでした。 たまに国語の時間を全てつぶして、見た映画を身振り手振りで解説してくれました。 ある時、「ブッ飛びの変な映画」と興奮して話ししてくれたのが、「ツィゴイネルワイゼン」でした。オカッパ頭を振り乱し、声をからして熱弁を振るい、映画の内容を語ってくれたのです。 「

不条理な作風がかすかに、いやいや、かなり演劇的~『イニシェリン島の精霊』

編集部のお蝶さんです! 久しぶりのキュン愛映画部。 『イニシェリン島の精霊』について、語りたいと思います。 もぉ~私にとっては怖い作品でした! エンドロールの最中、一緒に見た長男をつっついて「怖い怖い」とつぶやいたら、「映画終わっていないんだから、静かにして!」と怒られました…。 ヴェネチア国際映画祭脚本賞やゴールデン・グローブ賞 作品賞(ミュージカル・コメディ部門)、主演男優賞、脚本賞の3部門受賞、第95回アカデミー賞主要8部門9ノミネート(結局、最優秀作品賞を逃し

新感覚の恋愛映画~わたし達はおとな

編集部のエイミーです。 「映画館で見る映画の良さを多くの人に伝えたい」 そんな思いで映画と映画館愛を語ります。 映画「わたし達はおとな」(加藤拓也監督/109分)を見ました。1993年生まれの新進気鋭の加藤監督のオリジナル脚本によるデビュー作です。 鑑賞したのは広島の町中にある映画館「サロンシネマ」。光沢のある青色の椅子は、大きめのつくりなので、ゆったり座れます。 大学生の優実(木竜麻生)は、演劇サークルに所属する恋人の直哉(藤原季節)と一緒に暮らしています。ある日、

「好き」を貫く人生~さかなのこ

編集部のエイミーです。 「映画館で見る映画の良さを多くの人に伝えたい」 そんな思いで映画と映画館愛を語ります。 「ギョギョギョ」でお馴染みのさかなクン初の自伝的エッセイが原作の映画「さかなのこ」(沖田修一監督・脚本/139分)を見ました。主人公さかなクン役は、アニメーション「この世界の片隅に」で主人公すずの声を担当したのんが、性別の垣根を越えて演じています。 鑑賞映画館は広島の中心地にある映画館「サロンシネマ」。劇場と劇場の間にある赤いじゅうたんが敷き詰められた廊下の両

銀幕スターの素顔に迫る~オードリー・ヘプバーン

編集部のエイミーです。 「映画館で見る映画の良さを多くの人に伝えたい」 そんな思いで映画と映画館愛を語ります。 ドキュメンタリー映画「オードリー・ヘプバーン」(ヘレナ・コーン監督/100分)を見ました。タイトルの通り、ハリウッド黄金期の伝説的スター、オードリー・ヘプバーンの知られざる素顔に迫った初のドキュメンタリー作品です。 鑑賞したのは、広島のデパート福屋8階にある映画館「八丁座」。十三人の刺客で使用された、ふすま絵が出迎えてくれます。 1929年生まれのオードリー

あなたは配達人になりますかー。映画「長崎の郵便配達」が8月5日から公開

編集部のお蝶さんです! これまで、たくさんの原爆にまつわる物語に触れてきました。映画だけでなくアニメや小説、漫画、新聞記事の連載、被爆者の証言や私の亡くなった祖父母の話…。戦後77年たって、その蓄積をどう生かすのかが問われているように感じます。悲惨で不条理な話を掘り起こし、「2度と繰り返さない」と口にはするけれど、それらの物語を私たちは消費して終わらせてしまってはいないか。そんなことを思いつつ、広島市の八丁座で開かれた映画「長崎の郵便配達」(川瀬美香監督)の試写会に参加しま

鬼才レオス・カラックスが描く世界~アネット

編集部のエイミーです。 「映画館で見る映画の良さを多くの人に伝えたい」 そんな思いで映画と映画館愛を語ります。 「ポンヌフの恋人」「汚れた血」などを監督した鬼才レオス・カラックスが手掛けた映画「アネット」(140分)を見ました。 鑑賞映画館は、広島の中心地に位置する「サロンシネマ」です。ロビーで上を見上げると、ぐるりと映画のワンシーンが描いてあり、映画愛を感じる劇場のつくりがうれしくなります。 挑発的で攻撃的な人気スタンダップ・コメディアン、ヘンリー(アダム・ドライバ

忽然と消えた父を追う娘~さがす

編集部のエイミーです。 「映画館で見る映画の良さを多くの人に伝えたい」 そんな思いで映画と映画館愛を語ります。 佐藤二朗主演の映画「さがす」(片山慎三監督・脚本/123分)を鑑賞しました。 広島の映画館「サロンシネマ」での鑑賞です。 舞台は大阪の下町。口は悪いが娘への愛があふれる父、原田智(佐藤二朗)と中学生の娘、楓(伊東蒼)は貧しいながらも、父子2人の楽しい日々をおくっていました。ある日、父は「指名手配中の連続殺人犯見たんや。捕まえたら300万もらえるで」と何気なくつ

義父と夫の召し使い!~グレート・インディアン・キッチン

編集部のエイミーです。 「映画館で見る映画の良さを多くの人に伝えたい」 そんな思いで映画と映画館愛を語ります。 インド映画「グレート・インディアン・キッチン」(ジヨー・ベービ監督・脚本/100分)を見ました。 鑑賞館は「イオンシネマ広島西風新都」です。 舞台はインド南西部ケーララ州。中東育ちでモダンな生活様式になじんだ妻(ニミシャ・サジャヤン)は、お見合いで出会った夫(スラージ・ヴェニャーラムード)の住む由緒ある家に嫁いできました。朝から晩まで家事労働に従事する義母と一

「飯炊き母さん」が正月休みに見た映画特集で~す♬

ゆっくり骨休めして、映画見放題のお時間を過ごそうとたくらんでいたお正月…。そんな余裕はどこにもありませんでした。 「20代、食べ盛り」の息子2人が東京から帰ってくると、「飯炊き母さん」に大変身。白飯を8合も炊いた日があったぐらい、ずっと台所におりました。 1月5日になって、ようやく次男と一緒に大好きな映画館サロンシネマに足を運ぶことができました。新年最初に見た映画は、仏独共同制作の「悪なき殺人」(ドミニク・モル監督)。 「人間は、『偶然』には勝てない」というキャッチコピ

ひと夏の高校生活、みずみずしく~子供はわかってあげない

編集部のエイミーです。 「映画館で見る映画の良さを多くの人に伝えたい」 そんな思いで映画と映画館愛を語ります。 ひと夏の高校生活を描いた「子供はわかってあげない」(沖田修一監督/138分)を見てきました。 広島のまちなか映画館「サロンシネマ」での鑑賞です。 高校2年水泳部の朔田美波(上白石萌歌)は、書道部の門司昭平(細田佳央太)と大好きなアニメが同じという共通点を発見し、意気投合します。門司くんの家へ遊びに行った美波は偶然、「謎のお札」を発見。そのお札は、幼い頃に別れた

北朝鮮で起こす小さな革命~トゥルーノース

編集部のエイミーです。 「映画館で見る映画の良さを多くの人に伝えたい」。 そんな思いで映画と映画館愛を語ります。 北朝鮮の政治犯強制収容所で、過酷な毎日を生き抜く日系家族とその仲間たちの姿を3Dアニメーションで描いた「トゥルーノース」(清水ハン栄治監督・脚本・プロデューサー、94分)を見てきました。 広島の東急ハンズ8階にある「サロンシネマ」での鑑賞です。チケット売り場には、館名のネオンがこうこうと輝きます。これは老朽化で移転を余儀なくされた旧サロンシネマから運ばれたもの