一番良い選択肢は何?確定拠出年金のお話
こんにちは!MBrosのぽんたです!
先日、確定拠出年金に関するこんなニュースを見かけました。
昨今、「選択型」確定拠出年金確定拠出年金を導入する会社が増えてきているが、そのメリット・デメリットを判断しにくいことが問題になっていて、厚生労働省が企業に対し「正確な説明」を求めるようにルールを改定したが一体何が問題なのか、という記事です。
本日はこの記事について詳しく見ていこうと思います!
確定拠出年金とは
そもそも確定拠出年金とは国民年金や厚生年金などの「公的年金」に上乗せする私的年金で、掛け金は個人ごとに区分され加入者が運用します。
確定拠出年金には、会社が従業員の為に導入する企業型、個人が任意する個人型「iDeCo」があります。
以前年金に関する記事内で用いた3階建ての年金制度の図が下のものです。
この図で見ると、確定拠出年金は2階・3階の緑色部分になります。
企業型確定拠出年金について
企業型確定拠出年金は、基本的には全ての従業員が加入するもの(「全員加入型」)で勤続年数などに応じて給与に上乗せして掛け金(上限5万5,000円)を会社が拠出します。これは、大企業で多く取り入れられています。
しかし最近は、「全員加入型」ではなく「選択型」の導入が増えてます。
「選択型」は従業員自身に確定拠出年金に加入するかどうかを決定させて、加入する場合はこれまでの給与の中から掛け金を拠出する「給与切り出し方」となります。
つまり従業員は給与の一部を「今貰うのか、将来の年金に回すのか」を選択するということです。
このように同じ企業型確定拠出年金でも「全員加入型」と「選択型」では、中身が大きく異なります。
実質掛け金の負担者は、「全員加入型」は原則通り会社ですが「選択型」だと従業員自身です。よって「選択型」は掛け金ぶん給与額が下がります。
「選択型」を導入する会社が増えている理由
なぜ最近「選択型」を導入する会社が増えているのかというと、社会保険料の会社負担が減るという会社側のメリットが大きいからです。
「選択型」であれば会社は掛け金の財源を新たに手当てする必要なく、従業員に老後資金作りの制度を提供できます。さらに従業員へ支払う給与が減るため、結果社会保険料の会社負担が減るという仕組みです。
企業型確定拠出年金「選択型」のメリット
企業型確定拠出年金に加入する大きなメリットは「積み立て・運用・受け取り」の3段階で税優遇が受けられる点です。
積み立て:掛け金は個人の所得ではないので所得税・住民税が課税されない
運用:投資信託などを運用し利益が出た場合、通常運用益に約20%課税される所得税・住民税が非課税
受け取り:一時金・年金から選べて、どちらも税控除制度が利用できる。
特に「選択型」においては、掛け金が給与から引かれるので、給与額が下がって所得税・住民税がそれまでより減るというメリットがあります。
企業型確定拠出年金「選択型」のデメリット
もちろん企業型確定拠出年金にはデメリットもあり、デメリットに関してはあまり説明されておらず浸透していないようです。
掛け金が給与から引かれることで給与額が下がれば、従業員が負担する社会保険料が下がります。
社会保険料は給与に一定料率をかけて計算するので、「選択型」に掛け金月額2万円で加入した場合、社会保険料は年に3万6,720円減る計算になります。
メリットのように見えますが、社会保険は負担と給付が表裏一体なので社会保険で受け取る給付が減るというデメリットが潜んでいるのです。
私的年金を作ることで公的年金が減る
「選択型」は厚生年金に更なる影響を及ぼします。
老齢厚生年金の額は給与に比例するので、「選択型」に掛け金月額2万円で20年間加入した場合、老齢厚生年金は年に約2万6,300円減り、それが生涯続きます。
私的年金を作ることで公的年金が減るという矛盾があります。
同様に以下の年金などに関しても額が少なくなります。
・障害年金
・遺族年金
・傷病手当
・出産手当
・失業給付金
・育児休業給付金
ただし厚生年金保険料は「月収65万円」が上限なので、給与がそれを超えれば影響を受けることはありません。
会社側は正確な説明をする必要がある
以上のようなことから厚労省社会保障審議会において、「選択型」は労働条件の不利益変更としてデメリットを問題視する意見が出ました。
これを受け厚労省は、今後新たに「選択型」企業型確定拠出年金を導入する場合は初回保険の給付に影響する可能性について、会社側がしっかり従業員に説明することを求めました。
従業員側もきちんと理解したうえで加入するかどうかを決めなければなりません。
ざっくりですがここまでが、最初に載せた確定拠出年金に関するニュースの内容です。
保険や投資を有効活用しよう
現在多く導入されている「選択型」確定拠出年金は、前述にもあるように社会保険で受け取る給付が減るなどのデメリットがあります。
民間の保険の基本的な考え方は、公的保険の不足分を自助努力で補うことです。
社会保障が手薄になってしまう部分は、民間の保険に加入してカバーすることをおすすめします!
また、月収65万円未満であれば給与として受け取り、その中からNISAや個人年金保険に充てるなどして地道に貯めていくのも選択肢のひとつでしょう。
いずれにしても、ご自身のライフプランに合わせた制度や商品の選択が重要です!
必要に応じて、ファイナンシャルプランナーのような専門家に相談して、自分に合った形で将来への備えを考えていきましょう!
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