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ASIA

この暑い中、未だにマスクをしている人が多いのですが、日本では毎年春先になると花粉症の対策でマスクをすることが常態化しているので、欧米と違ってマスクには抵抗感がないのかも知れません。その意味では日本はマスク先進国なのです。
 
それにしても、なぜこんなに花粉症が多いのでしょうか?半世紀程前には花粉症等で悩まされていた子どもはほとんどいなかったように思います。喘息持ちはいましたが、たいていは缶入りピースを吸う老人で子どもの喘息持ちなどほとんど見かけなかったような気がします。アトピーなどということばもきいたことがありませんでした。
 
アメリカでの10年間にわたる医療機関での診察回数を解析した報告によると、喘息、鼻炎、湿疹などアレルギー疾患を中心にワクチンを接種した子どもで診察回数が増加しています。ADHDでは加齢とともに激増しています$${^{1)}}$$(図1)。近年、アトピー性皮膚炎や花粉症などの過敏症や、自閉症やADHDなどの問題行動が増えていますが、ワクチンの影響かもしれません。

試みに最近の予防注射を調べてみると日本の子どもは小学校卒業までに18種類、50回以上もワクチンを接種していました$${^{2)}}$$(表1)。50年前、予防注射をこんなに射った記憶はありません。日本脳炎ぐらいのような気がします。BCGはツベルクリンが陽性だったので1回しか射たなかったし、何やら甘いシロップを飲んだ記憶がありますがあれはポリオだったのでしょうか?

今後はこれに新型コロナワクチンが加わることになります。これでは免疫が過度に活性化して花粉症や自閉症が増えるのも不思議はありません。
 
ワクチンばかりでなく人々は様々な免疫活性化物質にさらされています。このような物質にさらされることで様々な健康影響が現れ、これをASIA (Autoimmune/inflammatory Syndrome Induced by Adjuvants: 免疫刺激物質誘発自己免疫/炎症症候群)、別名Shoenfeld症候群と呼びます$${^{3)}}$$(図2)。

アジュバントというのはマクロファージなどの自然免疫を担う免疫細胞を活性化する物質です$${^{4)}}$$。抗原だけでは強い免疫反応を惹起できないのでワクチンには必ずアジュバントを入れます。フロインドのアジュバントはタンパク質抗原を免疫するときによく使う油性アジュバントで鉱物油そのもの、あるいはそれに結核菌の死菌を混ぜたものです。
 
水に溶かしたコラーゲン水溶液にフロイントのアジュバントを混ぜてクリーム状にしてネズミのしっぽに射つと関節リウマチが誘導できます (図3)。しかし、ラットでは抗原を入れなくてもアジュバントだけでもリューマチが誘導できるのです。
 

金属は生体に入ると免疫刺激しアジュバントとして作用します(図4)。水銀は自己抗体の生成と組織損傷と関連しています。歯列整形に使うクラウンの金属部分はクロムとコバルトの合金でASIAを引き起こすことがあります。アルミニウム塩類や他の金属は刺青インクの成分で、入れ墨を入れた人のASIA症候群と関連しているとされています$${^{3)}}$$。

ヒアルロン酸、美容整形に使うシリコン、ポリプロピレンメッシュなどヒトの医療用インプラントもアジュバントとして作用します(図4)。ステント手術、人工関節、骨の強度を補助するための金属片もASIAを誘発します。卵管にコイルを挿入して手術をしなくても永久避妊することを可能したエシュアも重篤な副反応が問題となり開発会社は巨額の賠償金を払いすべての製品を回収しました$${^{5)}}$$。
 
ASIAの症状は多岐にわたり、脳神経系や循環器系への障害を引き起こし人々のQOL (Quality of life: 生活の質)を著しくて以下させ、場合によっては死に至る重篤な疾患を誘発します。
 
ASIAの典型的な臨床症状は、慢性疲労、関節痛、筋痛、発熱、顔面痛、認知障害、または(非典型的な) 神経症状です(表2, 図1)。早期の症状の一つは関節痛の発生であり、患者は重度の朝のこわばり、筋肉痛、筋力低下に苦しんでいます。筋力低下は患者を寝たきりにする可能性があります。寝汗や目や口の乾燥もASIAの特徴です$${^{3)}}$$。
 

頭の混乱、記憶障害などがおこり、ぼんやりして放心状態になり注意力が低下するなどの症状もまれではありません。神経学的な症状は非常に悩ましく、脳卒中や多発性硬化症様の発作を引き起こすことがあります。アレルギーや過敏性腸症候群に苦しむこともあります。痛みや灼熱感(針やピンのような感覚)は小神経繊維ニューロパシーを示唆しています。
 
再発性のじんましんや定義づけの難しい皮疹、説明のつかないかゆみや脱毛症を抱えることがあります。かなりの数の患者が間質性膀胱炎を抱えています。
 
インプラントによるASIAは挿入したアジュバントを取り除くことによって軽減することが多く、これはASIAがインプラントによるものであることの証拠ともなります。軽減率はインプラントの種類や装着期間にも依存し、装着時間が長くなる程軽減率は低くなります$${^{3)}}$$。喫煙、年齢、肥満やそれに伴う疾患は軽減率に影響を与えるリスク因子になることも報告されています。
 
HPV(ヒトパピローマウィルス)は環状二本鎖DNAをもつ一群のDNAウィルスです。エンベロープを持たず正20面体のカプシドで覆われています。生殖器粘膜に感染する40以上の型が知られており古くから世界中に存在しています。子宮頸癌発症に関わる高リスクウィルスとして少なくとも15の型が知られています$${^{6)}}$$。
 
アメリカではFDAが2006年HPVワクチンを承認して以来2017年までに世界中で2億回以上の接種が行われました$${^{7)}}$$。日本でも2006年以後12歳以上の女性に接種が行われていましたが、副作用の多さと大きな有効性が認められないことから2013年からは厚労省は積極的勧奨を中止していました。
 
現在使用されているワクチンにはHPV-6,11,16,18を対象とした4価ワクチン (ガーダシル)、HPV-16,18を対象とした2価ワクチン (サーバリックス)、4価ワクチンにさらに5型を追加した9価ワクチン(ガーダシル9, シルガード9)があります。これらのワクチンはカプシドタンパク質を酵母や昆虫細胞で発現してウィルス様粒子に再構成したウィルス様粒子(virus-like particle: VLP)を抗原とし、これに安定化剤とアジュバントが加えられています$${^{7)}}$$。
 
HPVワクチンはアジュバントとしてアルミニウムが使われています$${^{4,7)}}$$。安定化剤として添加してあるpolysorbateやりん脂質もASIAを誘発する可能性があります。酵母や昆虫に由来するDNA断片が混入しこれがTLR (Toll like Receptor)を刺激する可能性も指摘されています。
 
HPVワクチン接種直後に起こる症状は自律神経失調症と神経障害性疼痛の慢性症候群などです(表3)。慢性的な疲労感、頭痛、全身の痛み、失神、消化器運動障害、四肢の弱さ、記憶障害、意識変動、異常な運動などが報告されています。自律神経失調症と神経障害性疼痛は、これらの症候群に共通の症状です。

2015年に実施された平均年齢19才の女性でHPVワクチン接種後に病気が発症した患者に対するアンケート調査では、アンケート実施時に持続している慢性的主訴は筋骨格系の痛み(66%)、疲労感(57%)、頭痛(57%)、めまい/ふらつき(43%)、および感覚異常/過敏症(36%)でした$${^{3,8)}}$$。
 
これらのデータの発表後にも引き続き類似のHPVワクチン接種後の有害事象報告があり、元の発表されたグループと発表後のグループは類似したワクチン接種後の症状を示しています。これらの少女の93%が通学や就労に支障をきたしており (表3)、HPVワクチンが患者の生活に多大な損失をもたらしていることが伺われます。
 
欧州医薬品庁と英国医薬品医療製品規制庁は、ASIAの存在を支持する証拠はないと結論付けました$${^{3)}}$$。Wikipedia記事$${^{7)}}$$もそのような観点から書かれているようです。日本でも積極的勧奨の中止により欧米と比較して接種率が低いことを問題視し、コロナパンデミックのどさくさに紛れてワクチンの副作用の問題点を何も改善しないまま2021年に積極的勧奨を再開しました$${^{7)}}$$。
 
ワクチン接種は医学の歴史において最も効果的な公衆衛生策の一つだったことは否定できません。この戦略により、いくつかの恐ろしい病気の発症を軽減してきました。しかし、免疫系を慢性的に刺激する物質は好ましくない反応を引き起こす可能性があります。ワクチンは健康な人たちに対して投与されるため、安全性の監視は常に優先されるべきです。ワクチンに関連する好ましくない反応についての公開討論は、反ワクチンの運動として解釈されるべきではないのです$${^{3)}}$$。

脊髄神経節は、ウイルスや免疫複合体、またはワクチンなど、さまざまな種類の外来物質が神経障害性疼痛と自律神経失調症を引き起こす主要な標的です。最近のマウスを用いた研究では、ワクチン接種後、脊髄神経節の感覚ニューロンは抗体産生細胞によって放出された抗体を取り込んで保持することを示しています$${^{3,9)}}$$。これらの抗体は、脊髄神経節のタンパク質と交差反応する可能性があり、神経障害性疼痛と自律神経失調症を引き起こすことがあります。
 
動物モデルでは、アルミニウムアジュバントが脊髄神経節を損傷することが示されています$${^{10)}}$$。近年増大している自閉症や神経系の疾患についてのリスクはワクチンに含まれるアルミニウムの影響ではないかといわれてます$${^{1)}}$$。貧血が増えているのもアルミニウムの影響が考えられます。
 
アルミニウムは強い免疫刺激作用があります。粒状アルミニウムを含むワクチンを注射すると組織内で急速に溶解し注射部位にアルミニウムの集合体を形成します。これをマクロファージなどの免疫細胞が貪食し、からだ中の臓器に運ばれると、重篤な炎症反応を引き起こします$${^{10)}}$$。
 
脳に運ばれた場合には慢性的な神経毒性を引き起こし、筋肉ではマクロファージ性筋膜症候群を引き起こします。ワクチンによる疼痛や筋肉痛、倦怠感などと関係していると考えられます。ASIAと診断される基準には日常生活に支障をきたす重度の慢性疲労、睡眠障害、認知障害などがあり、多発性硬化症、関節リウマチ、シェーグレン症候群のような自己免疫疾患を引き起こします。
 
アルミニウムアジュバントはHPVワクチンばかりでなく肺炎総球菌、B型肝炎、百日咳、破傷風、ジフテリア、ポリオに対するワクチンにも使われており$${^{4)}}$$,ワクチンによるASIA誘発の主要な原因となっていると考えられています。
 
COVID-19に対する集団予防接種キャンペーンは2021年1月に開始され、世界中で53億人以上、人口の69%が1回以上のワクチン接種を受けています$${^{3)}}$$。日本でも2023年7月までに1億人以上国民の80%が接種しています$${^{11)}}$$。5-11歳の小学生も1000万人以上20%が接種を受けています。
 
Sars-CoV2ワクチンのアジュバント は同定されていませんが、mRNAワクチンに存在するポリエチレングリコール(PEG)2000、ポリソルベート80(ChAdOx1 nCoV-19)はアジュバントとして働くことが想定されます$${^{3)}}$$。
 
遺伝子ワクチンのDNAは細胞内のToll-like receptor (TL-7,8,9)を刺激しインターフェロンを誘導し強い炎症反応を惹起します$${^{3)}}$$。mRNAは免疫応答を惹起しないようにシュードウリジン化してありこの反応は抑えられていますが、製造過程で使用する鋳型DNAの混入はさけられず、これが炎症反応を誘導する可能性も指摘されています$${^{12)}}$$。
 
治療薬として使用されている抗スパイク抗体はワクチン後に抗イディオタイプ抗体( 抗体の抗原認識部位に対する抗体)の産生を刺激しこれがASIAを誘発している可能性も示唆されています$${^{3,13)}}$$。

Sars-CoV2ワクチンの接種による主訴はあきらかにASIAの誘発を示唆しています$${^{3)}}$$(表4)。自己免疫性血小板減少症を伴う免疫性血栓症の最初の症例はアストラゼネカのワクチン後に報告されVITT(Vaccine-Induced Immune Thrombotic Thrombocyto-penia)症候群として知られています。以来ギラン・バレー症候群、自己免疫性肝疾患、免疫性血小板減少性紫斑病、IgA腎症、自己免疫性多発性関節炎、関節リウマチ、バセドウ病、メルリトス型糖尿病、全身性エリテマトーデスなど様々な自己免疫疾患や神経症状が報告されています。
 
幸いなことに、COVID-19ワクチンによって誘発されたASIAは頻度は高くなく、ステロイドなどの治療にすぐに反応するため予後は良好です。しかし、COVID-19ワクチン接種後に観察されたこれらの自己免疫現象が本当に一過性のものなのか、それとも生涯にわたって増悪期と寛解期を繰り返す慢性自己免疫疾患の始まりなのかを判断するためには、これらの患者を追跡調査する必要があります$${^{3)}}$$。
 
ヒト疾患の制御で一番重要なのは住環境など生活環境の整備で、次が食事などの栄養摂取の整備だと言われています。これが整うと病人という顧客がいなくなり薬屋や医者の出番はなくなります。すると、彼らは生きていくために病人を作るか健康な人を対象とした「医療行為」をするようになります。
 
それが健康診断であり、ワクチンに代表される予防医療になるわけです。顧客は極少数の病人ではなく、世の中の大多数を占める健康人ですからその市場規模は絶大なのです。金のなる木には金の亡者が群がります。薬屋と医者が政治家、学会、メディアを巻き込んで、病気の恐怖を煽り、正当化されない医療行為に大衆を引き込もうとするのは自然の流れと言えます。
 
このような世の中のマッチポンプに巻き込まれず、過剰医療により健康と財産を失わないためには、テレビや新聞にでてくる政治家、医者、大学教授など権威ある偉い先生のいうことを鵜呑みにせずに生の情報を自分の目で見て、自分の頭で考えること以外にないのではないかと思います。
 
1) Lyons-Weiler J, Int J Environ Res Public Health, 17, 8674 (2020)
2) KNOW*VPD
3) Tervaert JWC et al, Auto Immun Rev, 22, 103287 (2023)
4) アジュバント, Wikipedia
5) Essure, Wikipedia
6) ヒトパピローマウィルス、Wikipedia
7) ヒトパピローマウィルスワクチン、Wikipedia
8) Martinez-Levin M et al, Clin Rheumatol, 34, 1981 (2015)
9) Gunasekaran M, Front Immunol, 9, 638(2018)
10) Igbokwi IO et al, Interdisclip Tocuicol, 12, 45 (2019)
11) 新型コロナワクチンについて (2023/7/24)
12) 荒川央、note (2023/4/5)
13) Watad A et al, Vaccines, 9, 435 (2021)