【センスメイキング】④「OODAループ」と「エフェクチュエーション」理解の補助線
こんにちは、白山鳩です! クルッポゥ!
マガジン『能ある鳩はMBA② ビジネススキルで豆鉄砲』での、
ビジネススキルにまつわる情報の紹介です。
前回の記事はこちらです。↓↓↓
今回は、「センスメイキング」関係、最後の記事です。
「OODAループ」
「エフェクチュエーション」
といった概念と「センスメイキング」の関係性について見ていきましょう。
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OODAループとは
さて、「OODA」と書いて「ウーダ」と読みます。
「なんでだ!」と言われても、
「提唱者がそう決めたから」という答えしかありません、ご了承ください。
「”不運(ハードラック)”と”踊(ダンス)”っちまったんだよ・・・・」
と同じで、虚心坦懐にそのまま読んでください。
さて、OODAループとは、アメリカ空軍大佐のジョン・ボイドが提唱した、
「敵に先んじて勝利する」ための理論です。
”OODA”はそれぞれ、
”Observe”(観察)
”Orient”(状況判断)
”Decide”(意思決定)
”Act”(行動)
の頭文字をとったもので、これらの行動が相互に関係しあっています。
入江仁之(2019)『OODAループ思考[入門]』(ダイヤモンド社)より
「決められた計画を、瑕疵なく遂行する」よりも、
権限移譲された現場の組織が、
状況の変化を読み取って、
都度意思決定をし、
自身の行動で状況が変化したら、
また意思決定をして行動し……
と、目まぐるしく変化する環境に対応していくためのフレームワークです。
「計画(Plan)⇒実行(Do)⇒振返り(Check)⇒次の計画へ(Act)⇒……」
というPDCAサイクルと比較して語られることもあります。
「計画通り実行してもうまくいかない」という状況に対し、
「では、みんなで改善を考えて……」
と、のんびりしているうちに、状況はまた変化してしまいます。
戦場のように状況変化の速い環境において、
「素早く動く」ことを可能にしてくれるのが、
OODAループだ、というわけですね。
戦場で一番乗りしたい人は、ぜひ覚えておきたいフレームワークでしょう。
「Orient」「Act」はセンスメイキング
さて、『OODAループ思考[入門]』では、
OODAループとセンスメイキングの関係性が語られています。
意味づけとは、
予想外のことや不確実性の高い事象に対して、
目で見たものや収集した情報が何を意味するのかを見当づけて理解し、
自分なりに納得して行動を起こすまでのプロセスで、
センスメイキング(sensemaking)
という心理学の分野で研究されています。
OODAループの
「わかる」
「うごく」
のプロセスがセンスメイキングに当たります。
OODAループの"Orient"(状況判断、わかる)は、文字通り、
「センスメイキング(意味づけ)」
と似たような意味に見えますね。
加えて、前回の記事でも見たように、「センスメイキング」では、
「イナクトメント(enactment、行為)」
が重要な位置を占めます。
自ら行為することで環境に働きかけ、
その結果、変化した環境をまた感じ取って、
そして新しい行為につなげていく……
というのが、センスメイキングの重要なプロセスです。
さらに、『OODAループ思考[入門]』では、
「センスメイキング」について、次のような説明がされています。
「意味づけ」においては、
理にかなっていること、
一貫性があり筋道だっていることが重要であり、
正確さは二の次。
細部まで観察しようとしたり、
動くのを躊躇したりしていると時間を浪費するだけです。
正確さの追求は高くつくことを理解しましょう。
センスメイキング理論が広く知られるきっかけをつくった
組織心理学者のカール・ワイクは、
正確性よりも「もっともらしさ」を優先すべきだと断言しています。
この、正確性よりも「もっともらしさ」というのは、
前回の記事にも出てきたところです。
こう考えると、「センスメイキング」は、
「OODAループ」を支える要諦の1つと言えそうです。
エフェクチュエーションとは
「エフェクチュエーション」とは、
成功している起業家の特徴に言及した理論。
簡単に言うと、
「小難しい理屈をごちゃごちゃ言うんじゃなくて、とっとと行動しろ!」
という主張で、
サラス・サラスバシーという学者が提唱しました。
(2021年2月20日閲覧)
「未来予測」をした上で、計画に向かっていくのではなく、
「自分は何者か」であるかを理解し、
「偶然を頼りながら未来を切り開く」ことの大切さを説いたのが、
エフェクチュエーションです。
そこには、「5つの原則」と呼ばれる、心構えが説かれています。
①手中の鳥(Bird in Hand)
②許容可能な損失(Affordable Loss)
③クレイジーキルト(Crazy-Quilt)
④レモネード(Lemonade)
⑤飛行機の中のパイロット(Pilot-in-the-plane)
「自分は何者か」
「未来は決まってなんかいない」
「5つの原則」
……
と、書けば書くほど、
小説の元ネタでも構想しているかのような気分になれる……。
それが、「エフェクチュエーション」です。
他者と関わり合い、未来に対処する
さて、エフェクチュエーションの語感にやや興奮してしまいましたが、
冷静になって、話を「センスメイキング」に戻しましょう。
「センスメイキング」の要素に、
「イナクトメント」
「回顧」
「社会性」
というものがあります。
「イナクトメント(行為)」については、既に上述しました。
「回顧」とは、
「あのときのことはこうだったんだ」と回顧して意味づけることで、
これからの行動が変わっていくという、センスメイキングのポイントです。
また、「社会性」とは、
「センスメイキング」する主体である自分には、
常に周囲の「社会」「他人」が影響を与えるのだ、という観点です。
他方、「エフェクチュエーション」に注目すると、
「5つの原則」の1つに「クレイジーキルト」と呼ばれるものがあります。
これは、
自分が行動した結果生まれた他人とのつながりから、
新たなパートナーを獲得し、
新しい価値を生んでいこう
という発想です。
この「クレイジーキルト」を読み解いてみると、
過去の人々との関係性を「回顧」し、
自分に影響を与える「社会性」とのつながりを重視しながら、
新しい価値を生む「行為(イナクトメント)」へつなげよう
という、「センスメイキング」と強いつながりがあるように感じられます。
また、「エフェクチュエーション」の「5つの原則」には、
「飛行機の中のパイロット」と呼ばれるものもあります。
あたかも、雲の中を飛ぶパイロットのように、
不確実な未来を予測するのではなく、
あくまで自分がやるべきことに焦点を当てた上で、
その領域で臨機応変に対応し続ける
というのが、その要旨です。
嵐の雲の中でも、自分にできることに注力し、
臨機応変に対応し続けることで、
未来を切り開く。
これはまさに、
正確な未来を予測するというよりむしろ、
これまでの経験にもっともらしい「意味づけ」をしながら、
新しい行為へとつなげていく、
「センスメイキング」と強い関係性があるのでは、と思うのです。
環境変化の激しい現代、
「正確な未来を予測する」という、従来のサイエンスやロジカル重視の考えに加えて、
「直観」に基づいてすばやく「実行」し、
その結果のフィードバックを蓄積して、
新たな「行動」に反映する……
ということの重要性が、様々な理論において説かれているように感じます。
「OODAループ」「エフェクチュエーション」などは、
まさにそんな世相を反映する理論であり、
「センスメイキング」は、この時代にマッチした理論なのではないかと思う鳩なのでした。
まとめ
それでは、ここまでの内容を振り返りましょう。
【OODAループとは】
”Observe”(観察)、”Orient”(状況判断)、”Decide”(意思決定)、
”Act”(行動)によるループ
⇒戦場のように状況変化の速い環境において、「素早く動く」ことを可能にしてくれる
【「Orient」「Act」はセンスメイキング】
・OODAループの「わかる」「うごく」のプロセスがセンスメイキングに当たる。
・正確性よりも「もっともらしさ」を優先すべき
【エフェクチュエーションとは】
・「未来予測」をした上で、計画に向かっていくのではなく、
「自分は何者か」であるかを理解し、
「偶然を頼りながら未来を切り開く」ことの大切さを説いたのが、
エフェクチュエーション
○「5つの原則」
①手中の鳥(Bird in Hand)
②許容可能な損失(Affordable Loss)
③クレイジーキルト(Crazy-Quilt)
④レモネード(Lemonade)
⑤飛行機の中のパイロット(Pilot-in-the-plane)
【他者と関わり合い、未来に対処する】
・正確な未来を予測するというよりむしろ、
これまでの経験にもっともらしい「意味づけ」をしながら、
新しい行為へとつなげていく「センスメイキング」は、
「エフェクチュエーション」と関係性があるとも考えられる。
関係記事
○エフェクチュエーションの過去記事です。
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