【センスメイキング/理論/要約】③プロセスの7つの要素
こんにちは、白山鳩です! クルッポゥ!
マガジン『能ある鳩はMBA② ビジネススキルで豆鉄砲』での、
ビジネススキルにまつわる情報の紹介です。
前回の記事はこちらです。↓↓↓
今回は、前回に引き続き、「センスメイキング」に関する記事です。
「センスメイキングの『7つの要素』」について見ていきましょう。
1つの記事あたり、だいたい5分で読めますので、お気軽にスクロールしてみてください!
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センスメイキングの7つの要素
センスメイキングの概念を世間に広めた本である、
『センスメーキング・イン・オーガニゼーションズ』において、
著者のカール・ワイクは、
センスメイキングにおける7つの要素を紹介しました。
これは、『世界標準の経営理論』においても紹介されています。
入山章栄(2019)『世界標準の経営理論』(ダイヤモンド社)より
どうでもいいですが、
世間に「センスメイキング」の概念を広めた本では、
「センスメーキング」と訳されているのに、
いつの間にか「センスメイキング」となっていたのは、
どこかで誰かが「メーキングはダサい」と思ったからでしょうか。
「メーク○○」という言い回しをしているのは、もはや野球界隈のみと判断した人がいるのかもしれません。
さて、以下では、各要素について具体的に見ていきましょう。
7つの特性① アイデンティティ
カール・ワイクという人は、何やらこだわりのある人のようで、
この「アイデンティティ」という概念を紹介するのに、
なぜか突然、Pablo Nerudaという詩人の詩を紹介し始めます。
カール・ワイク、遠田雄志ら訳(2001)
『センスメーキング・イン・オーガニゼーションズ』(文眞堂)より
本書を読んだとき、鳩は、
ここまでスクロールされた読者のみなさんと同様、
この詩の内容は完全にスルーして、その先の本文へと進みました。
さて、この詩だけでは、
カール・ワイクが伝えたいことがさっぱりわからないと思いますので、
もう少したとえ話をしてみましょう。
例えば、よく、コップ半分に入っている水を見て、
「もう半分しか残っていない……」と意味づけるのか、
「まだ半分残っている!」と意味づけるのか、
それは人それぞれだ、なんて言ったりもします。
同じものを見ても、
それを意味づける(センスメーキングする)のは人それぞれだ、
というわけですね。
この「人それぞれ」がまさに「アイデンティティ」なのです。
『センスメーキング・イン・オーガニゼーションズ』では、
環境よりもむしろ自己が解釈のテクストになる
と説明されています。
7つの特性② 回顧
センスメーキングの理論では、
人は何かを意味づけるとき、
「あのときのことはこうだったんだ」と回顧するのだ、と指摘しています。
「まあ、そりゃそうだ」という感じですね。
一方で、
未来を予測したり、
未来に備えて代替手段を用意したりするというのは、
自らの経験に基づいて内省した上での行為なので、
やっぱり回顧と関係がある、と説明しています。
「うーん、まあ、そりゃそうだろうけど……
なんか都合の良いセコい説明で騙されているような……」
という印象を受けた鳩ですが、
細かい突込みはやめておきます。
7つの特性③ イナクトメント
この「イナクトメント」という概念こそ、
センスメイキングにおいて最も重要なポイント、
と言えるかもしれません。
カール・ワイクは「イナクトメント」という単語について、
「私はこの言葉が大変気に入っている」
と述べています。
それは、
「イナクトメント(enactment)」が、
単なる「行為」に留まらないからです。
センスメイキングの肝は、
「ただ状況について意味づけをする」ところではなく、
そこで認識した事実を踏まえて自ら行動し、
そして自分の行動で変化した状況を踏まえて、新たに行動し、
そして……
と、「行為によって常に状況を変化させ、そして変化した状況を察知する」
ところにあるのです。
鳩が思うに、
「人が習慣を作り、習慣が人を作る」ということわざは、
この「イナクトメント」の概念を理解するのにぴったりだと思います。
7つの特性④ 社会性
「アイデンティティ」の章では、
環境よりもむしろ自己が解釈のテクストになる
という考えを紹介しました。
しかしそのアイデンティティには当然、
社会、そして他者が影響を与えます。
まあ、そりゃそうだろうという内容です。
ここはそれほど面白味もないのでこれくらいにしておきます。
7つの特性⑤ 継続性
カール・ワイクは、
ドイツの哲学者のヴィルヘルム・ディルタイやハイデガー
などを引用することで拡張高さを演出しようとします。
そして『センスメーキング・イン・オーガニゼーションズ』のこの章でも、
格式高く、こんな文章で始まります。
センスメーキングには始まりというものがない。
それは、純粋持続に終わりというものがないからだ。
まあこの辺のセリフも本当のところは、
『ジョジョ』の63巻あたりを読んでいるときに頭に浮かんだのでしょう。
この「継続性」を端的に表現すると、
人は常に、
「何が生じているか」「何が起きているか」に意味づけをし、
行為を通じて起きた変化をとらえ、
認識を修正し続けていく、
というのを継続し続けないといけない
ぐらいに認識すればよいかと思います。
7つの特性⑥ 抽出された手掛かり
これまで見てきたように、
ある事象を前にしたとき、
人は他人の影響を受けながらも、
自分の経験から意味づけをした上で、
何かしらの行為をし、
変化した状況からまた意味を読み取っていく……
という「終わりのないプロセス」を繰り返すのがセンスメイキングです。
というわけで、一度意味づけをした事象に対しても、
「完璧に理解した!」とは思わず、
「あくまで事象を理解するための、断片的な手掛かりにすぎない」
「その手掛かりを頼りに、更なる理解ができるはずだ」
という姿勢でいることの大切さが説かれています。
この辺までくると、単に、
「人は他人の影響を受けます」
という紹介をしていた第4章(社会性)を読んだときよりも、
「センスメイキング」には、大きな意味があるように鳩は感じ始めていました。
と同時に、
「こうやって認識を更新していくプロセスこそ、
実は、センスメイキングそのものはないのか?」
と気づいたとき、
(ここまでに何度かあったしょうもない説明も、まさか全て伏線だったのか……?)
と、カール・ワイクに対する畏敬の念を鳩は抱いたと言います。
7つの特性⑦ 正確性よりもっともらしさ
さて、「7つの特性」も最後の1つとなりました。
この、「正確性よりもっともらしさ」もまた、
センスメイキングの重要なポイントとして指摘されます。
私たちはしばしば、
「自分の感じたことの意味付けが、正しいのかどうか」
について、考え込んでしまいます。
しかし、「正しさとは何か?」を考えすぎて行動できないよりも、
もっともらしいストーリーを頼りに、さっさと行動したほうがずっとマシ、
というのが、この章の意味するところです。
「正しさ」は脇において、
「もっともらしさ」で周りを巻き込みながら、どんどん行動する。
そして、行動してみた結果、状況が変化したら、
それを手掛かりに新たな行動へ移っていくことが、成功への近道だ、
というわけですね。
過去記事の振返り
前々回の記事では、
『センスメーキング・イン・オーガニゼーションズ』において、
「センスメイキングとは何か」が次のように説明されていると書きました。
何ものかをフレームワークの中に置くこと
驚きの物語化
共通理解のために相互作用すること
当初は理解できなかったこれらの概念も、
いまとなっては、多少、理解しやすくなったことかと思います。
何ものかをフレームワークの中に置くこと
⇒目の前の事象を、「アイデンティティというフレームワーク」の中に置く
驚きの物語化
⇒自分を驚かせた事象について、意味づけをし、
その意味を「もっともらしさ」でストーリーにしていく
共通理解のために相互作用すること
⇒ある事象について、
「他者」との関係性の中で、
意味づけをしていく
また、カール・ワイクは、
「ハンガリー軍とアルプス」の事例を紹介した直後、
次のように言及しています。
人はいったん行為し始める(イナクトメント)と、
何らかのコンテクストの中(社会)で、
目に見える結果(手掛り)を生み出し、
そしてこの手掛かりは、
いま何が起こりつつあるのか(進行中)、
説明に何が必要か(もっともらしさ)、
そして何が次になされなければならないのか(アイデンティティの啓発)
を見出す(回顧)上で助けとなる。
カール・ワイク、遠田雄志ら訳(2001)
『センスメーキング・イン・オーガニゼーションズ』(文眞堂)より
理論を読んだ上で具体例を追ってみると、
ますます理論の理解が深まるように感じられますね。
理論と具体例を通した相互理解……
……これもまた、センスメイキング、ということでしょうか。
まとめ
さて、ここまでの内容を振り返りましょう。
【7つの特性① アイデンティティ】
・同じものを見ても、それを意味づけるのは人それぞれ
・環境よりもむしろ自己が解釈のテクストになる
【7つの特性② 回顧】
・人は何かを意味づけるとき、「あのときのことはこうだったんだ」と回顧する
・未来を予測したり、未来に備えて代替手段を用意したりするというのは、自らの経験に基づいて内省した上での行為なので、回顧と関係がある
【7つの特性③ イナクトメント】
・「イナクトメント(enactment)」は単なる「行為」に留まらない
・そこで認識した事実を踏まえて自ら行動し、行動で変化した状況を踏まえて、新たに行動する……
・「人が習慣を作り、習慣が人を作る」
【7つの特性④ 社会性】
・アイデンティティには、社会、そして他者が影響を与える
【7つの特性⑤ 継続性】
・人は常に何が生じているか意味づけをして、それを修正し続けていく
【7つの特性⑥ 抽出された手掛かり】
・一度意味づけをした事象に対しても、「完璧に理解した!」とは思わず、
「あくまで事象を理解するための、断片的な手掛かりにすぎない」
「その手掛かりを頼りに、更なる理解ができるはずだ」
という姿勢でいることが大切
【7つの特性⑦ 正確性よりもっともらしさ】
・「正しさとは何か?」を考えすぎて行動できないよりも、
もっともらしいストーリーを頼りに、さっさと行動したほうがずっとマシ
さて、次回で、「センスメイキング」の記事もラストです。
次回は、「センスメイキング」の概念を参照しながら、
「OODAループ」、そして「エフェクチュエーション」といった
フレームワークについて見ていきます。
お楽しみに。
to be continued...
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