和製RPGは『安定』重視傾向?#4
初めに
JRPG。それは2000年初めに呼ばれ始めた、ネガティブな言葉だった。
それが今は、どうなっているのか。
この記事は、ロールプレイングゲーム、もといRPG。特に和製RPG(JRPG)について筆者の考えを掲載するものだ。
JRPGに対する私の考えを綴るもので、残り2回に渡って掲載していくことになる。
今回の記事は前回の続きから始まります。読み切りでも面白いように記載しますが、ぜひ前回の記事も読んできていただきたい。
前回の振り返りを迅速に
【前回のお話】
・JRPG作品同士には似ている共通点が多い
・制作手法が『安定』してしまっている
・「JRPG」と言う名前はネガティブな言葉だった
前回の記事ぶりです。そろそろ書いてて羞恥心が湧いてきている筆者です。
今回お話することは2件、「JRPGのブランド化」と「戦闘傾向」についてです。
第2節でJRPGのグラフィックや見た目でのお話は完結し、外側の話から内側の話へ、戦闘システム面での話をしていくことになります。
お話の続きを、始めます
【第2節】JRPGのブランド化
JRPGというネガティブな言葉を逆手に取る。一体どういうことか。
それは日本のRPGの特徴であった部分を「より一層特化させ『ブランド化』させた」という発展のさせ方であった。
一層ムービーシーンやストーリーのボリューム、クオリティを高め。『成長』の考え方を「登場人物の成長」という形に置き換え、《見て遊ぶ冒険物語》という形に変化させた。
実際にグラフィックの向上により演出の美しさは際立ち、自分の名前を付けて旅する形をやめ、1個人としてキャラクターを魅力的に作ることでJRPGを攻略する遊びから「追体験する遊び」へと変化させてきたのだ。
これにより、今のユーザーにもある偏見が生まれた。海外のRPGは「システム重視」、日本のRPGは「物語重視」。だからこそJRPGというジャンルは確立できると。
現に海外のRPGでは名前を付けることができるものはいくつか見られる上、逆にJRPGの特徴を活用し、システムと物語どちらでも楽しめるといったRPGも販売されてきている。
わかりやすい例はATLASが販売するRPGゲーム作品全般だろう。『ペルソナ』シリーズが特に顕著で、その物語の面白さは「海外でも人気を持っている」。もうネガティブな言葉なのではなく、一周回ってポジティブな言葉へと変わっているのだ。
今やJRPGは「アニメ・マンガチックな物語性」を意味するジャンルタグとなり、今新しく販売されたRPGも、その方向性から外れることがなくこのブランドを成長させてきているのだ。
そう、和製RPGはブランド化という『安定』を手に入れたのだ。
【第3節】JRPGの『安定』戦闘
ただ、私が思うにまだ手を付けて、改善、改革を起こしてもよい『安定』した部分があると思うのだ。それは戦闘面である。
『いやいや、それは筆者が最初の方で戦闘面での発展をしてきたって言ってたから治った譚ではないの?』とお思いの方もいるだろうが落ち着いて聞いて欲しい。
改善されてきたのは「攻略手法」であり、「数値変動」としての変化を加えてもいいのではないのか。と思うのだ。
そのため私の考えを述べていこうと思うのだが、その前にそう考えた理由とRPGの状況を説明してさせて貰いたい。
ここからは実際にRPGのボス戦を想定として例え話をさせて貰う。
まずはプレイヤーの体力、もといパーティーメンバーの総合体力を「安定度」と定義付ける。
キャラクター1人につき〈10〉の「安定度」が得られるとして、4人パーティーで〈40〉だとする。これは相手からダメージを受けると減少、回復行為で上昇すると考える。
また相手の攻撃はターンが変わった始めに行うとして、1ターン目では行動しないと考えた上で、話を続けよう。
では、1ターン目。体力は満タンの状態でボス戦闘に挑んだとして「安定度」は〈40〉。ならば全キャラクターの与えられる最大のダメージをボス叩き込むコマンドを選ぶだろう。
次の2ターン目。ボスは全体攻撃を行う。そうだな……1人当たり4割程削られてしまい「安定度」は〈24〉になってしまう。
ではプレイヤーは一体どのような行動を取るのか。ここでさらに攻撃を加える人は稀にいるだろうが、多くの人は「『安定』を取って体力を回復させるだろう」。数名のキャラクターにアイテムやスキルを使わせ「安定度」を〈32〉まで回復させる…………
そして、その後体力の減少に合わせて回復、地道にダメージを与えるといった「サイクル・ループが生じる」。繰り返した果てに、ようやくボスを倒すのだ…………
おわかりいただけただろうか。
安定度の変動は一定の山の形を取り続けるのだ。これはどのゲームでもいえることで、「『安定的行動』を取らせるようにデザインされている」。理由は明確で「大ダメージによる危機感を覚えさせ、体力を回復させて安心感を得させる『緩急のジェットコースター』」を感じさせるためだ。「ヒヤリハット」をご存じだろうか。その感覚をボス戦で楽しませる手法があまりにも多いのだ。
JRPGはこの点での特徴も引き継がれているのだ。あくまで『体験物語』となったため、むやみにゲームオーバーにさせることは少なく、むしろゲームオーバーにさせないように配慮しているといっても過言ではない…………かもしれない。
だからこそ、その点での改善・改革を行えないのだろうかと筆者は考えており、それを述べさせていただきたいと思う。
以上で第3節のお話はお終い。
次は私の考えを述べる第4節となるのだが、今回の記事は以上で締めさせていただく。
読者の皆様方、お付き合いいただきありがとうございます。あと一回だけ、掲載は続きます。どうか、お読みいただけることを願っております。
それでは皆様。よき安命を。