見出し画像

得をしようとすると損をする!?

今回は、2人とも得をしようとすると結果的に2人とも損をすることになってしまうという、「囚人のジレンマ」という話を紹介したいと思います。

ある犯罪による容疑で捕まった2人の容疑者が意思疎通の取れない別々の部屋で尋問を受けています。
この時、容疑者が取れる選択肢は「自白する」か「自白しない」のどちらかのみとします。

容疑者がそれぞれ自白したかどうかによって、以下の図のように懲役の長さが決まる場合、容疑者は自白すべきでしょうか?
※ここでは相手の懲役のことは考えず、自分の利益のみを追及することをします。

少し見ただけだと、2人とも懲役2年となる、2人とも自白しない状況が一番良いように思えます。
実際に、2人とも自白しない状況は容疑者2人の合計懲役期間は最も短いため、客観的には最も起きてほしい状況だと言えます。
しかし、1度容疑者Aの立場になって状況を整理してみましょう。

まずは、容疑者Bが自白しなかった場合に容疑者Aはどうすべきかを考えてみます。
容疑者Aが自白する場合、図の右上の状況になるので、容疑者Aは懲役を受けなくて済みます。
自白しない場合、図の右下の状況になるので、容疑者Aは懲役2年となってしまいます。
つまり、容疑者Bが自白しなかった場合は、容疑者Aは自白すべきだ。ということになります。

次に、容疑者Bが自白した場合に容疑者Aはどうすべきかを考えてみます。
容疑者Aが自白する場合、図の左上の状況になるので、容疑者Aは懲役7年になります。
自白しない場合、図の左下の状況になるので、容疑者Aは懲役10年となってしまいます。
つまり、容疑者Bが自白した場合は、容疑者Aは自白すべきだ。ということになります。

要するに容疑者Aは、容疑者Bが自白したかどうかに関わらず自白をすべきだ。ということになります。
また、容疑者Aと容疑者Bは同じ状況であるため、容疑者Bにとっても同じことが言えます。

つまり、お互いが最良の選択をしようとすると、必然的に図の左上の、2人とも懲役7年の状況になってしまうわけです。
2人とも懲役7年になるくらいなら、2人とも懲役2年のほうが良いというのは誰にでも分かることなのに、実際にお互いが自分にとって良い選択をすると2人とも懲役7年になってしまう。不思議な話ですね。

というわけで、今回は「囚人のジレンマ」という話を紹介しましたが、このような状況は現実の世界でもよくみられることです。ふとした時に、もしかしたらこれは囚人のジレンマと同じ状況になっているのでは?などと考えてみると意外と面白いのでおすすめです。