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曲名について

 クラシックにおいて、曲名にOpであったり、Dなどの頭文字からなる数字を見たことはあるのではないでしょうか。例えば、有名なベートーヴェンの運命の正式名称である、交響曲 第5番「運命」 ハ短調 Op.67のOp.67のことです。今回は、このような表記の読み方や意味について紹介します。
 
 さて、まずは作品番号について紹介します。作品番号とは、クラシック音楽の作曲家の楽曲につけられる認識番号のことです。英語やドイツ語ではOpus(オーパス)と呼ばれ、「Op.」または「op.」と略されます。日本語では「作品○○番」と表記されます。これは、ややこしいことに作曲された順番ではなく、出版された順番に番号がつけられるのです。作曲家の死後出版された作品には「遺作」と付けられます。現代では自分で作曲順に作品番号を付けるようになりましたが、以前は違いました。ベートーヴェンが自分で作品番号を付けるように始めましたが、番号をつけなかった曲もありました。これらのことにより、このOp,という作品番号による楽曲の整理は完璧なものとはならず、様々な作品番号が出てきてしまうという事態になってしまいました。
 
 そこで登場したのが、作曲家の作品目録を作る研究者でした。
 モーツァルトの研究をし、作曲順に作品目録を作成したのが、ケッヘルという研究者です。これにより、モーツァルトの作品にはケッヘル番号、略して「K」が表記されるようになりました。例として、有名なトルコ行進曲についてみてみましょう。この曲の正式名称はピアノ・ソナタ 第11番(トルコ行進曲付き) イ長調 K.331 K6.300iです。このK.331というのがケッヘル番号331番の略であり、モーツァルトの作品の内331番目に書かれた曲であるという意味です。後のK6.300iというのは、近年の研究により再度振られた番号です。この目録の正式な署名は「モーツァルトの全音楽作品の時系列主題別目録」(1862年)です。
 このように、作品目録というのが、クラシック音楽において主に付けられている表記です。ケッヘルの他にも、以下の表のように様々な作品番号があります。皆さんも一度は目にしたことがある文字があるのではないでしょうか。

作曲家ごとの作品番号

J.S.バッハ
BWV番号(バッハ・ヴェルケ・フェアツァイヒニス)
ハイドン
Hob番号(ホーボーケン)
シューベルト
D番号(ドイチュ)
リスト
S番号(サール)
ヘンデル
HMV番号(ヘンデル・ヴェルケ・フェアツァイヒニス)
 
 
 クラシック音楽では日々研究がされており、その努力の成果の一つが今まで紹介してきた作品番号と作品目録であると考えます。今後、クラシック音楽を聞く際には、これらの番号についても頭の片隅に留めておいて頂ければと思います。