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和製RPGは『安定』重視傾向?#3

初めに

 JRPG。それは2000年初めに呼ばれ始めた、日本のロールプレイングゲーム全般に共通する特色を持つゲームのことをいう。実際の定義は曖昧で、正式なジャンル名称ではないのだが、ゲームユーザーや開発者の中では、かなり普遍的な単語である。

 この記事は、ロールプレイングゲーム、もといRPG。特に和製RPG(JRPG)の最近の傾向について筆者の考えを掲載するものだ。
 現状のRPGの傾向についての考えを綴るもので、残り3回、全5回に渡って掲載していくことになる。
 今回の記事は「『安定』重視傾向について」、現状について私が思うこと、考えた事について話をしていこうと思う。

では手短に、前回の振り返りを

 前回の記事ぶりです。ゲーム好きでゲーム業界を目指している筆者です。
 今回は手短に、前回の振り返りを行います。

【前回のお話】
・単調だった戦闘に工夫を加え、つまらないものを面白くした
・しかし日本のRPGにはある傾向があり、それが「異質」と呼ばれていた時代もあった
・だからこそ今回はその傾向について考え、それを記載していくとまとめた

 3行でまとめるとこうなります。
 3行目に書いてある通り、今回からタイトルにもある「和製RPGことJPRGの『安定』重視傾向」について書いていきたいと思う。前回記事の最後に記載した「日本製のRPGで似通った点が存在しているか」について考えてくれたのなら幸いです。

それでは、本題に移りましょう

【第1節】見て取れるJRPGの傾向
 読者の皆様は、無事に和製RPGことJRPGの類似点を見つけることが出来ただろうか。
 (以降和製RPGは「JRPG」と表記)

 では、私が考えるJRPGの特徴について例を挙げていこう。

〈JRPGに見られる類似点の例〉
・ボリュームの多いストーリー(プレイ時間の長さが顕著)
・固定されたストーリーライン(要するに一本道)
・多彩なカットシーン、イベントシーン
・ストーリーラインに関わらないサブクエスト
・ターン制風味の戦闘(アクションでもその傾向は見られる)
・キャラクター性が強く、海外作品と比べると年少傾向が高い
 エトセトラ、エトセトラ…………

 といった感じだと考えている。皆様が考えた類似点と同じ点があるなら十分、もしここにない点を上げてきたのなら素晴らしいと思う。君もゲームを作る側に回って来て欲しい。
 それはともかく、ではこの類似点について具体例を上げつつ、これが本当に共通しているのかを確認していきたいと思う。

 初めにストーリーについて。こればかりは簡単だ。実際にRPGのプレイ時間を確認してみればいい。有名会社からだされた最新のJRPGのストーリークリア時間を確認してみると、私のプレイ時間で調べた結果は平均35時間ほどとなっている。純粋なターン制RPG以外のものも含んでいるが、これだけでも膨大な時間がかかっていることがわかるだろう。
 確かにJRPGの物語の面白さは比べ物にならないし、良い点ともいえる。しかし、それにより次の点が生じることで一気に悪い点に変わってしまうのだ。

 それは「多彩なカットシーン、イベントシーン」である。RPG作品ではないが、例えるなら『メタルギアソリッド』シリーズ。あのゲームは序盤こそプレイヤーの操作する時間が長いが、中盤以降、特に終盤になるとムービーシーンの時間量が操作時間を上回ってしまっている。操作パートとムービーパートと分けると、「操作パート <<< ムービーパート」という構図ができてしまっている。
 特に『ゼノブレイド3』では、ボスの体力を9割削る、ムービー、再度回復した体力を5割削る、またムービー、体力をすべて削る、最後に長いムービー。というように、度々プレイヤーの操作時間中に割り込むようにムービーシーンが入っており、操作をしたいという欲求を封じ込めている点がある。

 またターン制風味の戦闘から抜け出せていない部分も共通項として挙げられるが、特に顕著なのは『ドラゴンクエスト』シリーズ。最新作であるドラゴンクエスト11でもターン制のシステムは変わらず、やや変更を加えて新規ストーリーでの販売を行っているだけなのだ。
 また別のサブジャンル、アクションRPGなどのタイトルを見てみると、攻撃にスタミナを消費したりするタイトルが多く、スタミナ回復のための時間 = 相手の行動ターンとなり疑似的なターン制での戦いが取られている時が多い。

 そのような類似点が多く、JRPGは次の1文で言いまとめることができるだろう。

制作手法が1つの方法で『安定』している

 ということになる。そのため、2000年ごろから海外のゲーム開発者によってJRPGと呼ばれ始めたのだ。《ネガティブ》な言葉として、そう定義付けたのだ。

 しかしながら、それは過去の話。
 前回も話した通り、RPGというジャンルはきちんと進化を続けてきたのだ。このような類似点は残っているのだが、それを逆手にとって今もまだ新作RPGを出しているのだ。
 その点についてお話するのは、また次回の話とさせていただく。

 今回の記事はここまで、今回は「JRPGの『安定』傾向」の一端を説明させて頂きました。次回は「【第2節】JRPGのブランド化」と「【第3節】JRPGの『安定』戦闘」についてお話していくため、気になったならぜひ次回の記事も読んでいただきたい。

残りあと2回の掲載となりますが、最後までお付き合い頂ければ幸いです。
それでは、よき熟考を。