ジャガパティさん来日ファンミーティングレポート①「君たちがヒロインだよ❤️」
2024年4月下旬、インドで大人気の俳優ジャガパティ・バーブさんがプライベートで来日していることが彼の公式のポストで知らされ、ファンの間に衝撃が走った。
さらに衝撃が走ること数日後。急遽ジャガパティさんのファンミーティングが開催されることが決定。開催2日前に告知され、1日前に参加者が決定。
当落の悲喜交々ある中、幸運にもチケットを手にすることができたので、できるだけその場の様子がリアルに伝わるようにレポートしようと思う。
静まり返った部屋
当日、夜19時すぎ。朝から雨が降っていて、少し肌寒い日だった。
北区の王子駅近くの「北とぴあ」の14階へ。
1階では「会えないけど、お手紙だけでも」とスタッフに渡す人たちが見受けられた。
エレベーターで14階に上がり、受付を済ます。
自分の席番号を確認して会場内へ。
184平米のホールに、パイプ椅子が並べられてある。「静粛に」という貼り紙があるせいか、みんなおしゃべりもせずに指定された座っている。
静かすぎるくらいで、張り詰めた空気が漂っていた。
受付の方に「ジャガパティさんに質問したいことがあったら書いてくださいね」と渡された紙に質問を書き込みながら待つ。
19時25分頃、スタッフさんが会場内に入り、「ジャガパティさんが会場に到着しました」とアナウンスする。
「わっ、もうすぐ始まる」と気持ちが浮き立つ。何気なく周囲を見回して、「あれ?」と思った。
席が、結構空いてる。
開始前だから?
でも、もうあと5分くらいで始まるのに、受付前には誰もいない。
雨だし、無料だから来ない人が多かったのかな。
いないなら間を詰めて座った方がいいんじゃないかな。
でもまだ時間があるし、仕事終わりに駆けつけて来る人が大勢いるのかもしれない。
何人かが不安げな顔で辺りを見回していて、少し不穏な空気が流れる。再びアナウンスがあった。
「ファンミーティング開始のお時間ですが、ジャガパティさんはお支度に時間がかかっているようです」
おめかししているジャガパティさんを想像し、ふっと参加者の表情がやわらいだ。
空席の理由
開始予定時刻を数分間過ぎた。
間際に駆け込んで来ると思われたファンはまだ来ない。
IndoEigaJapanの代表のラオさんが来て、状況を真摯に説明してくれた。
昨日の20時に、550人から申し込みが殺到し、システムの限界を超えた。
自動返信できたのは40~50人で、残りは手動でメールを送信したけれど届いていない人がいるかもしれないという説明と謝罪があった。
開催48時間前にやると決まったイベントで、おそらく次々と想定外の事態に見舞われる中、なんとか綱渡りで開催までこぎつけたんだと思う。
本当は来れたかもしれないフォロワーさん達に想いを馳せつつ、今はジャガパティさんの印象を損ねないように、空席が目立たないよう全員席の真ん中あたりに移動する。
余った椅子はスタッフさんが大急ぎで撤去。
私も手伝おうと椅子を何個か運ぶ。何気なく顔を上げると、ジャガパティさんが部屋の壁際をゆっくりと歩いていた。
「え?」
自分の目を疑い、二度見した。
ジャガパティさんが普通に歩きながらこちらを見ている。
あまりにもスッと静かに入って来られたから、誰も入場していることに気づかなかった。
徐々に「えっ!?」というざわめきが広がり、彼を認識した人が黄色い声を上げると、ジャガパティさんがびっくりした顔でスマホを取り出し、客席へ向けた。
(ファンの写真を撮ってくれるのかな?)と固まっていると、一緒に入ってきたラオさんが「動画撮ってるから、今のもう一回!」と笑顔で説明。
改めて「キャーッ!」とか「フゥー!」と歓声を上げながら両手やうちわを振ってお出迎えする様子を、ジャガパティさんはニコニコしながら撮影していた。
一通り撮影すると、彼は壇上にのぼって喋り始めた。
ジャガパティさんの口から最初に出たのは、今日来れなかった人への想い。
「たくさんの申し込みがあったけど、システムエラーで本来より少ない人数になってしまったことをラオさんから聞いた」
「今回参加できなかった人たち全員に会いたいし、そのための機会を設けたい」
一回で足りなかったら二回でも、三回でも……ということも仰っていた。
予定より参加者が減ったことで、「日本のファンは少ない」と誤解されないか心配してたけど、杞憂だとわかってホッとする。ここに来られなかったファンたちにも想いを寄せる姿に、ジャガパティさんの深い愛を感じた。
来日で訪問したところは?
その後、ジャガパティさんと通訳兼司会のSeciliaさんと並んで座り、ファンミーティングスタート。
どうして日本に来たのかという質問に、30年前から来たいと思っていたけど今回初めて旅行に来たことを話す。
「30年来の夢だった日本に来られて嬉しいです。
2ヶ月前からどこに行こうか計画して、楽しみにしていました。
日本人はみんな一生懸命で礼儀正しく、穏やかで親しみを感じます」とはにかむジャガパティさん。
日本語通訳だと上記の通りだけど、彼は日本人に対して『so sweet』という言葉を使っていて、客席がちょっとどよめいた。
その後も事あるごとに『日本人はso sweet ……』と客席を見ながら囁くので、多幸感で脳が溶けそうになる。
司会の方がジャガパティさんの旅行先を尋ねると、この10日間で大阪や京都、奈良、東京を観光して明日(5月2日)帰るとのこと。
京都の寺院やたくさんのレストランを回り、料理も全部おいしかったと話す。数日前に新宿のZARAで目撃されたように、お買い物も楽しんだそう。
「洋服は全部日本に来てから買ったんですよ。上から下まで。あっ、靴は履いてきましたけど(笑)」
ジャガパティさんの言葉に我々もニッコリ。
今日の彼の服装は、リラックス感のある黒の上下に、インドから履いてきたVansのスニーカー。肉厚のシルバーのピアスとネックレスが華を添えてる。
腕時計のベルトと同系色のサコッシュもよくお似合いだった。
実は俳優デビュー35周年だった
続いてスライドを使ってこれまでのジャガパティさんの経歴や出演作の紹介。
司会のSeciliaさんが『伝説的なテルグ映画俳優』と紹介すると、ジャガパティさんは(えっ、褒めすぎじゃない?)という顔で微笑んで、「日本には毎年来ようと思っていましたが、これからは年に2回来ようと思います」と冗談混じりに言った。
引き続き、スライドで発表年ごとの彼の代表作が紹介される。ジャガパティさんの出演作は200本近くあり、今もその数を増やしている。
Seciliaさんが彼の出演作を簡単に紹介しながら、今年は彼の活動35周年ということを明かした。
「インドではとくに何も言っていないので、日本の皆さんと35周年を祝えて嬉しいです(笑)」というジャガパティさん。
続いてSeciliaさんから「キャリアの中でお気に入りの作品は?」と質問すると、彼は「一つあげるとしたらランガスタラム。アクションもあって、クールでワイルド」と回答。これまでたくさん演じた中でも、プレジデントの役はとくに気に入ってるそう。
ジャガパティ・バーブと約100人のヒロイン
ヒーローを演じていた当時のお話も印象的だった。
「キャリアを始めた頃は、妻が2人から5人いるようなプレイボーイの役が多かったんですよ。
(脇役や悪役の多い今は)ヒロインがいません……」
ここでジャガパティさんはちょっと間を置いて客席を見回して言った。
「君たちがヒロインだよ❤️」
彼が英語で言った瞬間「キャーッ!!」とか「ヒィー!」という歓声が上がり、通訳の声をかき消した。
我々にso sweet な口説き文句を囁いたジャガパティさんは、ちょっと恥ずかしそうな笑みを浮かべて、ツヤツヤのほっぺを赤らめる。
百戦錬磨のプレイボーイのような言葉を繰り出す一方で、毎回(こんなこと言っちゃった)という顔で照れたり、イタズラっぽく笑ったりする姿がすごく魅力的で、何度も射抜かれる心臓が痛かった。
(続く)
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