お世辞をちょっとだけ喜んでしまう屈辱

まんまと。

書いたわな。だって……恐山氏の目に入る可能性があるってことやろ? そんなもん……書くやろ。めちゃくちゃ好きなんやぞ、こちとら。
1000文字以内って、かなり削らんと書けない。本当はもっと書きたい描写があってんけど、入らんかった。結局好き勝手書いたのは1085文字くらいになってしまって、その85文字を削るのに手こずった。

話は全く変わる。

屈辱に思うことって結構な頻度で起こると思う。少し前、私に起こった「屈辱」は、しょうもないことなんやけど結構私の心に傷として残ってしもてる。

24時。コロナになる前で、友達と二軒ハシゴしたらそんな時間になってた。けど何となく帰る気にもなれんくて、近くのコンビニの駐車場でも行こかってなった。
田舎民は分かると思うけど、田舎のコンビニって駐車場がアホほど広いんよな。だから多少車停めてだべっててもええんよ。
そうは言うても何も買わずに駐車場だけお借りすんのも申し訳ないなってことで、コンビニで何か買おうって話になった。しこたま飲んだ友達がトイレ行くって言うんで、私は一人だけコンビニの店内うろついてたんよな。

急に後ろから、「すいません」って声かけられた。なんぞと思って振り向いたら、なんか気弱そうなお兄さんが一人おる。どうしたんか聞いたら、どうやら道を聞きたいらしい。○○へ行くにはどうしたらいいんですかねって言われたから、あっちの道へ出て~真っ直ぐ行って~幾つ目の信号を曲がって~だの言うとった。お兄さんは、そうですか、はあ、とか言いながら、私が一生懸命身振り手振りする指先を見とるわけ。
ほんだらその辺りで友達がトイレから帰ってきたんよね。でも、一向に私の方に来ようとせんの。
おいおいと。こないに一生懸命道の説明しとるんやから、せめて近くへ来て一緒に説明してくれたらええやないかと。そう思うのに友達はマジでもう、無視なの、私のことなんか。ほんでお兄さんは一向に分かってくれへんし。私はまず道案内がへたくそで、出来ることならしたくないのよ。だから友達来たら友達にも頼んで、一緒に説明してもらおうと思ったのにさ。一向にこっちに来ようとせんのよ。

ぜえぜえしながら道案内を終えて、お兄さんもまあ納得したような顔しとったから、ほな、ってその場を離れようとしたらよ。
「あのー」って、お兄さんが言うのよ。
「お友達、めっちゃ可愛いっすね。お姉さんたちも一緒に行きません? ○○」って言われた。

そこでやっと全ての現象に合点がいった。

まず、深夜12時に、一人の男が一人の女に声かけてくること自体がおかしい。しかも、聞かれた○○の場所はめちゃくちゃ分かりやすくて、なんならデカい看板すら建ってるような場所。その上、今時のお兄さんなんか絶対スマホ持っとるんやから、人に聞くより絶対自分でスマホで調べた方が速い。勿論私の道案内の仕方が分かりづらかったってのもあると思うけど、それにしても、お兄さんからは説明を理解しようという気が全く感じられん。
道案内は、口実やったんや。はなから目当ては、ナンパやったんや。しかも、私じゃなく、友達が目当てやったんか。
それをどのタイミングでかは知らんが友達は理解してた。だから私に助け船は出さんかった。関わらん方がええと気付いたから。

これはもう色んな意味で屈辱やった。
まず、これがナンパだと気づけなかったことが屈辱やった。私と一緒におった友達は、まあいわゆる『陽キャ』で、多分ナンパ慣れしてたんやと思う。だからすぐに「これはおかしいな」って気付けた。一方の私はドが付く陰キャで、ナンパなんてドラマか映画の中のもんやと思ってたし、こんなド田舎にそんな奴はおらんと思ってた。
それに加えて、そのお兄さんの目当てが私じゃなくて友達やったのも屈辱やった。その後、「友達可愛いっすね」と声をかけてしまったことにお兄さんも焦ったらしく、急いで「お姉さん(私)も小松菜奈みたいで!」って言うてたけど、残念ながら私はデブブス芋のスリーコンボなので、小松菜奈ちゃんとは対極と言っていい存在。てめえ謝っとけよ、小松菜奈ちゃんに。そして私にも謝れ。何故なら、本当に少しだけ喜んでしまったからや。そんなこと言われたことない陰キャは、いくらお世辞ででまかせと分かっててもちょっと嬉しくなってしまうもんなんやぞ。そして帰宅してふと自分の顔が鏡に写った時愕然とするんやぞ。いい加減にしろよ。
さらに、友達とお近づきになるために利用されたってのも屈辱やった。最初っから友達に声をかければよかったのに、わざわざ私に一回声かけてる辺り腹が立つ。こいつやったらナンパ経験浅そうやから釣れる、と思われたんやろか。しばきまわしたろか。

急に恥ずかしくなったもんで、へらへらしてるお兄さんをガン無視して友達と帰った。
バカみたいじゃない? ナンパをナンパと気付けず、下手くそな道案内を必死にして。だってもしほんまに困ってるんやったら可哀想やなって思ってんもん。関西弁ではあったけど、もしかしたらどっか近畿の別のとこから遊びに来てて、この辺の地理が分からんのかなとか思うやんか。もしかしたらどっかでスマホ落としてしもて、地図が出されへんのかなとか思うやんか。返せよ、私の精一杯の親切を。タダやないんやぞ、親切っちゅうのは。

これ、コロナ前の話やのにいまだに私の心を締め付けてくる。風呂入ってる時とか、寝る直前とか、ふと思い出しては髪の毛を全部引きちぎりたくなる。だからせっかくなので日記のネタにさしてもらうぞ、兄ちゃん。悪く思うな、悪いのはお前なんやからな。

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