真っ暗な1LDKの部屋に無理やり光を捻じ込むような

創作にできることなんてもう何にもありゃしね~よ! って言う気持ちになった時に必ず聞く曲がある。これ。

1LDK/Reol

Reolは以前とあるフォロワーさんにおすすめしてもらってまんまとハマった。声の出し方とか質が椎名林檎と倖田來未の真ん中って感じでめちゃくちゃ好き。ちょっとハスキーでカッコよくて、でも甘さと大人の色気みたいなのもあって好みど真ん中。ちょっと前に競艇か何かのCMで「第六感」っていう曲が使われてたから、もうみんな知ってると思うけどね。
声だけじゃなくて、歌詞もめちゃくちゃいい。先述の「第六感」の歌詞もいいんやけど、私は特に1LDKの歌詞が大好き。

1番の歌詞はかなり苦しい。

「あんたの気を引きたい
 今日じゃないと絶対駄目なんだよ」

初っ端から切迫感、焦燥感マシマシすぎん? 心がぎゅっとなるつかみ。この歌詞からしばらく、精神的にも肉体的にもも金銭的にもギリギリなのが分かる歌詞がどんどん続いていく。そこもかなり分かりみ深い。
その「ギリギリ感」を抱えたまま、サビに行くんよね。


「イヤフォンの向こうで歌う声に焦がれている
劣等感、厭世的な気分で朝を待って
こんな思いを知っても鼓膜の上であなたが
クソみたいな現実を一瞬光らせるから」

私は無知なので『厭世的』とは何ぞやと思ってググったんやけど、「人生に絶望している様」を指すみたいね。「楽天的」の逆らしい。
毎日すべてがギリギリ、絶望的な最悪の気分でも、「あなた」の曲を聴いたらまた朝を迎えられる、って歌ってんのよ。この「一瞬の光」感。たった一瞬でも光が見えたら、それで一日乗り越えられんのよな。

曲は進んでCメロ部分。ここの歌詞が本当に凄いのよ。


「芸術(アート)なんて、音楽なんて、
歌を歌ったからなんだって
絵を描いたって足しにならないから辞めちまえば?
芸術なんて音楽なんて音楽なんて
音楽なんて音楽なんて音楽なんて
もうくたばれ
芸術なんて音楽なんて
何もなくっていなくなって
価値をつけて選ばれなくて
憧れだけ」

創作に絶望した日は、毎日このCメロを叫ぶのが私の日課なんやけどもね。この書き殴り感、限界感、乱暴な言い回し、全てが創作とその受け取り手に対して中指立ててて、苦しいけどせいせいするのよ。「足しにならないから辞めちまえば?」って、創作者は何回言われ続けるんやろうね。Reolくらい売れてる人でもこんな曲書いちゃうんだもの。底辺創作者みんな泣いちゃうよ、こんな歌詞。このCメロ部分、声が出んようになるくらい叫びたいんやけど、この曲カラオケに入ってないんだよな……防音室で声裏返らせて叫びたいのに。

ラスサビのラスト、この書き殴ったような乱暴な歌詞を全部綺麗にまとめあげて、真っ暗な部屋のドア開けたみたいに光がぶわーっと入ってくるのでぜひ聞いたことない人は聞いてみてほしい。

この曲聞いたら、もしかしたら自分の作った物も誰かの部屋のドアを開けることができるんかなとか、そういう無謀な夢を改めて持ってしまうんだよな。頼むから出来てくれ、自創作の価値。

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