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異世界転生した証券マンが金の力で魔王を倒す話

俺の名は金田持男、一浪して東京の私大を卒業したが、金持ちになれそうな職業を探し証券マンという職業にたどり着いた。証券会社と聞くと普通の人がぱっと頭に思い浮かぶのは大手証券(五大証券)

この辺のメジャーな日本の証券会社や、海外だとゴールドマン・サックスとかみんな名前だけは聞いたことある会社なんじゃないかと思う。
俺が大して就活もせず潜り込んだ証券会社はこんな大手じゃなくてもっとカスみたいなブラック企業、具体的な業務内容は東証に上場しているカスみたいな値段の株1円から50円とか価格態はこのくらい、の中からテンバガー株を探し出し客から仲介手数料のマージンとして10パーセントをいただく、いわばオレオレ詐欺みたいな仕事を生業としていた。この聞くだけでやばい仕事をしているおかげで同じ大学のテニサー同期よりかはいくらかましな生活をできていたが自分で投資をしているわけではなかったためいつまでたっても池袋の1dkのマンション(家賃78000円事故物件)から脱出できないでいた。
そんなややさえない生活をしている中、今日もインターネットで強者男性の定義を見てはため息をつき三十路まじかの中年になった自分の腹のぜい肉をつまんでは月額1万円台のサブスクのジムに今日も通うのであった。

ひとしきり、会社のある港区虎ノ門の近くのジムで全身の筋肉を苛め抜いた後、コンビニにサラダチキンとサラダとマイプロを買いに行き死んだ顔で
JR山手線内回りに乗り池袋へ帰る途中だった。今日ばっかりは前まで利用していた東京メトロ日比谷線経由で帰ればよかったと非常に後悔している。結論から言えば俺はどっかのモブにぶっ殺された。バットマンの一家よろしくあんまり身なりのよろしくない全身のコーデが3000円くらい、中古価格でいえば1500円か?袖が切れているフードをかぶった男、年齢およそ50後半の男が〇イソーの100均で買ったばかりの包丁を俺の腹にぶっ刺した。時刻は終電間近、「俺は無敵だ!!!!ギャハハハハHAHAHAHA!!!!!!」とまるでヤバい薬をキメてないと出てこないセリフを吐き捨て、こういう男は決まって弱い奴から狙う。優先席に座っていた妊婦めがけて包丁を振り上げたとたん、俺はいつもの理性的な考えをかなぐり捨てその男をタックルした。幸い妊婦にけがはなかったが男が持っていた包丁が俺の腹にどすっと刺さった。腹に刺さった包丁を抜いてそのくそ爺を殺してやろうと考えたが、自分の腹から出る血の多さに気絶してしまった。周囲の人間は俺の行動に感化されて武器を失ったおっさんを床に伏せ妊婦から大丈夫ですか!!!!という金切り声が聞こえたがどう見たって大丈夫じゃねーだろ、これ

「金田、起きてください….異世界の勇者よ….目を覚まして…」
頭の中に響く優しい声、おそらくこの世界の創造主、神、女神いろんな可能性が考えられるが俺の答えは決まっていた
「俺は死の間際、二人の人間を救った。まずは妊婦、次に妊婦の腹の中にいた赤ん坊、妊婦の腹の体系からして21週以上経過しているから人間としてカウントするとして、俺は二つのチート能力をもらう権利がある。違うか?」

「…目を覚まして早々あまりにも理性的な分析、自分の死に対して微塵も悲しみを覚えない冷徹さ、勇者にするには人選を間違えたような気がしてなりませんが、あなたは死の間際二人の人間を救って異世界に転生することになりました。通常の勇者は1つの願いまでですがいいでしょう。願いを二つ聞きます。」
「刺殺事件の際の被害者に払われる死亡慰謝料の相場は母親・配偶者の場合は2500万円、俺は独身子なしだから2000万。まず異世界レートでの2000万円分の金を自由にやり取りできるキャッシュカードのようなシステムが欲しい。次に俺の転生先を賢者の息子にしてくれ。」
「たったそれだけでよいのですか?」
「ああ、人間の一人の価値なんてのはそんなもんだ」
たかが人一人が死んだだけでレベルがカンストしたり最強になれる虫のいい話があっては世界の均衡は崩れてしまうのだ
それではあなたを賢者の息子として転生させます。
3…2…1!
つづく

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