おいしい野菜で人と人をつなぐ!ナナイロファームの思いと挑戦
※高梁川流域ライター塾の課題で執筆したインタビュー記事です。講義内のインタビューを文字に起こし、使用しています。
おいしい料理やお菓子を食べると、幸せな気持ちになれます。そのもととなる素材が野菜です。こだわりのおいしい野菜を作っているナナイロファームをご紹介します。
ナナイロファームの伊木さんは、思いの詰まった野菜を消費者に届け、農家と消費者をつなぐ活動を積極的にされています。伊木さんが農業を始めたきっかけや今取り組んでいること、これからの農業への思いをお聞きしました。
おいしい野菜に感激!自分でも作って届けるナナイロファーム
ある出会いをきっかけに、伊木さんはナナイロファームを始めます。そのきっかけとなった出会いを語ってくれました。
おばあちゃんの野菜との出会い
2011年、友人と飲食店を経営していた伊木さん。「お店の横で、おばあちゃんが野菜を作っていて」と伊木さんは語り始めました。
伊木さんのお店では、スーパーで買った野菜を使っていましたが、おばあちゃんが作った野菜に感激。「めちゃくちゃおいしくて」と今でもその感動が忘れられない様子です。
その後、1年ほど野菜をもらいおばあちゃんと話をする中で、自分でも野菜を作ってみたいという思いが芽生えました。
ナナイロファーム開業にむけて
それからの伊木さんは、お店を閉め、農業をするために動き出します。農家を訪ねてアルバイトをしながら、野菜の栽培技術を学んだそうです。
「自分がこれだけ感動したのだから、男性に向けた野菜を作ってみよう」と、2014年に笠岡市の新規就農認定農業者としてナナイロファームを開業しました。
ナナイロファームという名前は、七色の虹のように消費者とつながる、お客さんとの架け橋をイメージしたそうです。
ナナイロファームとパシオン 食への思いが詰まった有田商店
インスタグラムで、ナナイロファームと一緒に登場する有田商店について、その関係を教えてもらいました。
有田商店の誕生は、福山で地域素材を大事にしたお菓子作りをされている「パシオン」の山脇さんとの交流がきっかけだそうです。伊木さんが5年ほど前に作った、小さな直売所に通っていた山脇さん。幼いお子さんに向けたお菓子を作りたいという思いと、たくさんの人に野菜を食べてもらいたいという伊木さんの思いが重なりました。
それから、「小さなお子様から大人の方まで、野菜嫌いな人でもおいしく食べてもらえる商品を作ろう」をコンセプトに、二人で有田商店を立ち上げたそうです。
ナナイロファームの押し野菜
ナナイロファームのイチ押しは、伊木さんが農業を始めた当初から力を入れているとうもろこし。2023年は、これまでとは違う地域の新しい畑で作り、約15,000本を収穫したそうです。「これまでで、一番うまいと思うとうもろこしを収穫しました」と伊木さんは顔をほころばせます。
これから秋にかけては、さつまいもの収穫です。男性に向けた野菜を作ってきた伊木さんが、間違いなしとおすすめする野菜です。
また、茎がおいしいスティックセニョールや、彩り豊かなスイスチャードなど、ナナイロファームで栽培している珍しい野菜は数十種類にもなります。
イベントに出店すると、見たことのない野菜に興味を持つ方がたくさんいるそうです。「興味を持ってもらい、おいしいと思ってもらえる野菜を消費者に伝えたい」と品種選びにもこだわる伊木さんの様子が伝わります。
農と暮らしの市とこれから目指す農業
伊木さんの挑戦は続きます。伊木さんの思いの詰まったイベント「農と暮らしの市」と、目指す農業についてお聞きしました。
農から始まる豊かな暮らしで人と人をつなぐイベントに
農と暮らしの市は、2023年11月で2回目になります。有田商店でも一緒の「パシオン」の山脇さんと始めたイベントで、「農から始まる豊かな暮らし」がテーマ。農家の方や、食材を大切にしている飲食店、農にまつわる雑貨職人の方の協力で立ち上げたそうです。
「農家さんが消費者の方に野菜や果物のおいしさを伝え、消費者の方も農家さんに聞きたいことを聞ける、そういう繋がりを大事にしたい」そんな思いが詰まったイベントです。
仲間を増やし農業を盛り上げたい
「ぼくが9年ほど井笠で農業をする中で、やめていく先輩方もたくさんいました」と伊木さんは話します。やめた方たちの農地が耕作放棄地となり、イノシシなどの住み家になっているそうです。
「農業は食べていくのが大変、生活も難しい、そんなイメージがある」としつつも、新たに農業をやりたい仲間を増やしていきたいと語ります。耕作放棄地も利用しながら、農業を盛り上げていきたいとの思いが伝わります。
おいしい野菜を多くの人に届けたい、消費者と生産者をつなぎたい。そして、目指したいこれからの農業についてのお話から、伊木さんの強い思いが伝わります。
スーパーに並ぶ野菜を買うだけでは見えなかった、生産者の方の思いに触れられました。野菜に込められた農家の方の思いは、料理をよりおいしくしてくれます。