見出し画像

色の「トーン」ってよく聞くけど、トーンって一体なに?

「トーン」は、色相に加えて明度と彩度を組み合わせた色の特性を指します。
トーンは、「色相」に加えて「明度」と「彩度」という色の三つの要素を組み合わせたものです。

下図は、明度と彩度による色の変化を視覚的に表現したものです。

たとえば、「ブライトトーン」や「ビビッドトーン」といった明度と彩度の両方を高めたトーンは、明るくポップな印象を与え、子供向けのデザインなどに適しています。
一方、「ベリーペールトーン」や「ペールトーン」といった彩度だけを下げたトーンは、淡い色合いで柔らかな印象を醸し出し、ナチュラルデザインなどに適しています。
もし重厚な雰囲気やシックな印象を求める場合には、「ダークトーン」を選択することができます。こうした使い方によって、トーンは特定の印象を強調する手段として効果的に利用できます。

さらに、トーンの違いによって生じる印象に基づいて、配色を調整する方法もあります。トーンのグループを組み合わせることで、統一感のあるカラーパレットを構築することができます。
したがって、トーンは色の特性を通じて伝えたい印象を具現化し、効果的なデザインや配色を実現する上で重要な要素と言えます。

●ビビッドトーン Vivid Tone

ビビッドトーンは、彩度と明度が最大限に引き出されるトーンです。これは純粋な色相であり、白と黒が混ざることなく、色にクリアな透明感があります。
彩度と明度が高く、鮮烈な印象を持つビビッドトーンは、以下のようなイメージを醸し出すことができます。

  • 活気溢れる

  • 元気を与える

  • 華やかで派手

  • ポップな雰囲気

  • 鮮やかさが際立つ

  • 賑やかさを感じる

白や黒を混ぜずに純粋な色を表すため、色味が鮮明であることが特徴です。ただし、RGBカラーモデルで彩度と明度を最大限に引き上げた純色を使用すると、色が強すぎて浮きやすい可能性があるため、使用時には注意が必要です。

色味が鮮やかで目を引くため、視線を集めたい場面で効果的です。ただし、色に深みがなく見劣りしやすい一方で、時には安っぽい印象を与えることもあるため、バランスを考えながら利用する必要があります。特に、「元気」「活気」といった明るさや、派手さを際立たせたい場合には、ビビッドトーンが有用です。

●ブライトトーン Bright Tone

ブライトトーンは、明度が際立つことから鮮やかな「明るさ」を引き出すトーングループです。
「楽しさ」「健康的な印象」「陽気さ」といった特性を強調し、元気な雰囲気を演出するために適しています。
少し彩度を下げたブライトトーンは、次のようなイメージを持ちます。

  • 陽気で活発な

  • 健康的な

  • 明るく輝く

  • 楽しさを感じさせる

鮮やかではっきりとした色味が求められる場合、「ブライトトーン」が選択される事が多いです。
又、ポジティブな印象を伝えたい場合だけでなく、特定の部分を強調したいときにアクセントカラーとしても効果的です。

配色にブライトトーンを導入することで、色彩が鮮やかに引き立ち、色の印象をダイレクトに伝えることができます。これを全体に用いるか、アクセントとして使用するかによって、色の主張が顕著になります。

ただし、ブライトトーンは色の強い主張を持つため、メインコンテンツが埋もれてしまわないように慎重に配慮する必要があります。バランスを保つことで、明るさと魅力を兼ね備えたデザインを実現できます。

●ストロングトーン Strong Tone

ビビッドトーンの鮮やかさを少し抑え、深みを加えたストロングトーンは、力強さを強調する色合いを持っています。これは文字通りの「強さ」を象徴し、迫力ある印象を与えます。
ただ強いだけでなく、「情熱的」や「活動的」といった特性も内包しています。

  • 強さ

  • 情熱

  • 活動的さ

  • 豊かさ

このトーンは、パワフルな印象を出したい場面に活用することができます。
多岐にわたるシチュエーションで利用されています。その力強い色調から、視覚的な引きつけを求めるポスターや広告バナーデザインなどに特に適しています。

さらに、ストロングトーンはロゴのテーマカラーとしても広く採用されています。このトーンを取り入れることで、ブランドやデザインのアイデンティティを強調することが可能です。

●ディープトーン Deep Tone

ディープトーンは、色に深みを加えたトーングループであり、穏やかで落ち着いた印象を表現する際に最適です。

  • 深みがある

  • 和風の雰囲気

  • 重厚感がある

色味をはっきりと保ちながらも、重厚感を演出する能力を持っています。
Webデザインなどにおいては、ディープトーンを背景色などに広範に使用することができ、その色調が調和しやすい特性を持っています。

また、ディープトーンは和風の広告などにも適しています。その和風の雰囲気と組み合わせることで、特定のコンセプトをより強調することが可能です。
ただし、高級感や和風の要素を更に強調したい場合は、「ダークトーン」のようにさらに明度を下げたトーンを選ぶことができます。しかし、明るさを重要視する場合には、ディープトーンが適しています。

●ライトトーン Light Tone

ライトトーンは、爽やかな色合いが特徴であり、子供らしさや清潔感を表現するのに適したトーングループです。

  • クリアで透明感がある

  • 清潔感がある

  • 爽やかで気持ちの良さを感じる

  • ガーリーで女性らしい

  • 子供らしさが感じられる

純色に白色を混ぜて明るさを引き出した明清色であり、透明感があり澄んだ印象を強調します。
このトーンが持つ「清潔感」や「爽やかさ」を活用して、製品のイメージを際立たせることや、明るい背景色として使用することがおすすめです。

ライトトーンの明るさは黒との対比を際立たせるため、タイトルなどの文字が見やすくなる利点があります。

最大明度の白色を文字として使用しても、充分なコントラストが得られるため、他の色との組み合わせも容易です。そのため、バラエティ豊かなデザインにも適しています。

●ソフトトーン Soft Tone

ソフトトーンは、その名の通り、柔らかな印象を醸し出すトーングループです。

  • 柔らかな雰囲気

  • 穏やかさを持つ

  • 曖昧でふんわりとした感じ

  • 優しさが感じられる

ソフトトーンは、優しさや穏やかさを強調したい場面に理想的です。また、はんなりとしたテイストや落ち着いた雰囲気にもぴったりです。

ライトトーンとダークトーンの中間に位置するソフトトーンは、「優しい」や「穏やか」といった印象を持つ色です。そのため、「女性向け」や「母親向け」といったコンセプトに広く利用されています。

●ダルトーン Dull Tone

ダルトーンは、くすんだ印象を持つトーングループで、洗練されたデザインや渋い雰囲気に相性の良い色合いです。

  • 色が鈍い

  • 渋い印象を持つ

  • 暗めの色調

  • 自然な雰囲気がある

  • 色味がくすんでいる

  • 品位がある

言葉的にはポジティブな印象が薄いかもしれませんが、このくすんだ感じや自然な色調が、品の良さを引き立ててくれます。
特に、男性向けのデザインに適しています。与える印象を活用する際には、年齢層を30代から50代程度に絞り、品の良さをアピールするのが効果的かもしれません。

また、白や黒とのコントラストも際立つため、タイトルやロゴなどに利用する際にも便利です。

●ダークトーン Dark Tone

ダークトーンは、その名の通り暗い印象を持つ色調です。
一見すると使いにくそうなイメージがありますが、実際に使用してみると馴染みやすく、利用しやすい色調となっています。

  • 色が暗い

  • 重厚感を持つ

  • 高級感がある

  • クラシックな雰囲気

  • 大人らしさを表現する

ダークトーンは、色の暗さにより、色彩に重みを持たせることができ、その結果「重厚感」や「高級感」といった印象を強調できます。

ただし、高級感や大人らしさをアピールする際には、彩度と明度を抑えたディープトーンが有効です。ビビッドトーンとディープトーンの違いを比較すると、その印象の違いが一目で分かります。

セールなどで価格を強調したい場合は、明るい色が効果的です。しかし、安さではなく高級感をアピールしたい場合には、ダークトーンを利用することで印象が強調され、効果的な表現が可能です。

●ペールトーン Pale Tone

ペールトーンは、明度が非常に高く、軽やかで色味が透明感のある特徴を持っています。

「ペール」の意味通り、淡くて澄んだ印象をもたらすため、以下のようなイメージをペールトーンで表現できます。

  • 淡い

  • 儚い

  • 透明感がある

  • 軽やかな印象

  • 清涼でさわやか

特に、ドリーミーで女性向けのかわいらしいデザインなどとも相性が良いトーングループです。

その印象の特性から、「化粧品」などのデザインに適しています。透明感を持ちつつも存在感を保ち、商品紹介やサービスのイメージを向上させるのに役立ちます。
また、トーンの違いによる印象の変化を考慮することで、イラストやデザインにも応用できます。

  • 鮮やかなブライトトーンは「陽気さ」「活気」を強調するため、青春の要素に適していますが、「儚さ」は表現が難しいかもしれません。

  • ペールトーンを使用すると、「儚さ」や「透明感」「澄んだ感覚」が効果的に表現できます。

●ライトグレイッシュトーン Light Grayish Tone

ライトグレイッシュトーンは、高い明度と低い彩度を持ち、明るいグレーをベースにした淡い濁色のトーンです。

  • 明るめで灰みのある

  • 落ち着いた雰囲気を持つ

  • やや濁った渋いトーン

  • 控えめでおとなしい

明るさを保ちつつも、わずかな濁りが加わることで、穏やかで落ち着いた印象を与えるトーングループです。
このトーンは、自然でリラックスしたデザインに非常に適しています。また、そのフォーマルな印象を活かして、ビジネスシーンでのプレゼンテーション資料などに利用すると、上品さと洗練された印象を演出でき、同時に柔らかいイメージも醸し出すことができます。

●グレイッシュトーン Grayish Tone

グレイッシュトーンは、明度と彩度がともに低く、濃いグレーで深い落ち着いた色調を表現します。
このトーンは、濃いグレーが支配的で、微かな濁りがあり、色彩から「自然な色味」を感じさせるトーングループです。

  • アーストーン

  • ナチュラルな雰囲気

  • 落ち着いた印象

このトーンは、リアルな自然を連想させる、自然派のデザインに最適です。
ナチュラルデザインを構築する際には、このグレイッシュトーンを明るめのソフトトーンやペールトーンと組み合わせた配色を試すことをおすすめします。

メインにグレイッシュトーンを取り入れると、色の強いコントラストが抑えられるため、視覚的にも穏やかで目に優しい配色が実現できます。

●ダークグレイッシュトーン Dark Grayish Tone

ダークグレイッシュは、黒を多く含んだ色合いで、ダークトーンの特徴を際立たせた色調となります。

黒の濃さが顕著なダークグレイッシュトーンは、ダークトーンに共通する以下のイメージをより強調したものです。

  • 堅実でしっかりとした印象

  • 厳かさを感じる

  • 伝統的な雰囲気

  • 重厚感が漂う

単独で使用する場合にも主張力がありますが、他のトーンと組み合わせることでデザインが一層引き締まり、特にコントラストの高い配色に適しています。
この色調は「伝統的」や「重厚感」といった特質が強調されるため、和風や歴史的な雰囲気を出すデザインに適しています。同時に、シックな印象を持ちながらも色彩がはっきりしているため、力強さも演出できます。

このトーンは、苦味や濃厚感などを表現する際にも頻繁に利用される色調です。

以上、各トーンの特徴的なイメージを紹介させていただきました。
これらのイメージを完全に覚えることは難しいかもしれませんが、少なくともある程度の理解を持つことは、将来のデザイン作業において非常に役立つと思います。

是非、これを参考にしていただければ幸いです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?