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花と朗読 制作記(3)

福岡でのイベントのチラシ案が上がってきた。
一つは全体のイメージを伝える「たけのこ祭〜山の陶工詩人、純情物語」というもの。こちらはなんだか松竹の「寅さん」シリーズを彷彿させるような、ちょっとコミカルでレトロなデザインで仕上がってきた。私の写真だけが妙に大きくて、鎌倉の大船観音のようなバランスだなぁ、と密かに思っている。(笑)

もう一つは全体をあらわす「たけのこ祭〜山の陶工詩人、純情物語」の中の催し物の一つである「花会」のご案内。

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こちらは杉工場での開催を「土の花」、河北家での開催を「花の詩」という名にし、題字は陶工の山本源太さんが書かれた。お人柄がよく出ている素敵な字だと思う。

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結局「花会」は2箇所で全4回催されることになった。

11月20・21日 18:00−21:00@杉工場
11月23・24日 15:00−19:00@河北家

まだ、詳細は詰めていないが、花あり、朗読あり、音楽あり、お茶ありの盛りだくさんな企画である。夕方に開催するのは杉さんのこだわりで、その「あわい」の時間をみなさまに楽しんで頂けたらという思いが込められている。

このチラシに寄せた杉さんコメントがとても素敵だったのでご紹介したい。

コロナは、私たちの生活を一変させてしまいました。
それまでの自分は生まれ故郷を離れて、日本中そして海外で花を生けながら、
まるで移動生活のような暮らしぶりで、それは例えるならば「浮き草」じみた感覚でした。
たまたま足止めをくらい、吉井に身を寄せているうちに気がつけば2年が過ぎようとしています。
おかげで自身のルーツを見つめる多くの時間を持つことができました。
立ち会った方々が、あるがままの花をたた其の儘に観ること。
お互いにこれでいいんだと思えたら、この会はうまく言ったといえるのではないでしょうか。

杉謙太郎

このコロナ禍にこういう感覚を持たれた方は多いのではないだろうか。
私もこの2年間、地元である鎌倉で「大地の再生」の活動をしていらっしゃる矢野 智徳さんと一緒に「土」と「水」と向き合いながら多くの時間を過ごした。この時期、杉さんもまた地元の土を掘り起こし陶芸をしながら「土」と「火」と向き合っていたのだ。私と杉さんは「土」を真ん中にそれぞれに「水」と「火」と向き合っていたことになる。
それで、この体験を踏まえて杉さんより「『祭』をしたい!と思っているんです」と打ち明けられた。なるほど。だから2箇所なのか、と思った。なぜなら、福岡に遊びに行った時から杉工場は外とのご縁を繋ぐ大きな窓口のような場所で、河北邸は奥の院のような所だな、と漠然と思っていたからだ。
「祭」にはみんなでワイワイと人と人を繋いでいくようなものと、厳かに神事をより行うものがある。まさにその2つが今回2箇所で行われる意味なのだと思った。

以前、沖縄の祭祀儀礼をする神女(カミンチュ)さんに「今、あなたがいるのは縦に繋がるご先祖さまからのご縁と、生まれ落ちた場所の食べ物や人々、そして、そこにある環境のおかげで育てて頂いたという横に繋がるご縁の2本の柱からなっています。その縦と横の線が交わったところがあなたの今いる場所なのです。だから、ご先祖と産土神(生まれた土地の守護神)に改めて感謝の意を伝えにご挨拶に行き、常にその気持ちを忘れないように」と言われたことがある。
そして「自分の後ろにご先祖と産土神が立ってくださった時に初めて、他の神社にご挨拶に行った時などにも後ろ同士が話をして下さるようになるのよ」と。つまり、神様も親のようなもので、引越し先やロケ先(仕事先)の神社にご挨拶に行った時などには産土神様がその土地の神様に「うちの子をどうぞよろしくお願いします」と後ろでもご挨拶をしてくれるというわけなのだ。面白いなぁ、と思ったと同時に納得がいった。
実際、改めて「感謝の意」を述べにお墓参りと産土神参りをしたら、なんだか流れが変わったような気もする。

こうやって私たちは「見えるものと」「見えないもの」に支えられながら生きている。

だから、今回の「花会」も「縦と横」「内と外」「現実と非現実」を「間(あわい)の時」に「繋ぐ」ことが出来たらいいな、と思う。


チケットのお申し込み お問い合わせは下記にご連絡をよろしくお願いいたします。

杉工場 TEL:0943-75-3108 (平日10:00−17:00)                                            email:info@sugikojo.com


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