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花と朗読 制作記(4) 通らなければならぬ関門

制作過程だもの。そんなにスイスイと上手く行くわけがない。

今回も、もちろん例外に違わず。
ふーーー。
初めての人とモノを創る時には、お互いに相手の創り方を知らないからイライラするし、疲れることもある。
創作において大事にしていることの順番が違うのも疲れる。
もちろん、相手だって同じことを思っているに違いない。

私にスイッチが入ってしまい、閃いたことをポンポン投げ、どんどん気持ちが先走ってしまった時に
「ちょっと待ってください。一つ一つ片付けたいので」と杉さんから言われた。
急ぎ過ぎて不義理をしてしまったこともあったが、実際杉さんは制作進行もしていたので時間に追われて作品のことを考える余裕がないようだった。

亀裂が入ってから何日経っただろう?もう2日後には福岡行きの飛行機に乗るというのに、まだ連絡が来ないし、内容だって詰められていない。

いいかげん。内容を詰めなければ間に合わないので、「そろそろ作品の内容について話しませんか?」とメッセージを投げてみた。しばらくして「後ほどお電話します」と返信がきた。結局、朝、こんなやりとりをして、電話がきたのは夜の22時ごろだった。それで、電話を切ったのは午前2時過ぎ。何といっても公演は4回あって、2バージョンあるのである。この冷戦期間、イライラもしたけれど、その後にはやはり「どう作品にするか」という問題にフォーカスしていかなければならない。もちろん、向こうだってそう思っていたと思う。公演の日は決まっていて、チケットは売れているのだ。つまらない感情はとにかく脇へ置いて、議題を「作品」に置く。そのためにはお互いに相手の入り込むスペースを空けなければならい。

冷戦期間中、メッセージのやりとりを読み直していた。真ん中にあるものはそう変わらないと思うけれど、軸足を置いている場所が違う。だから、作品の軸におきたいものは平行線をたどっていた。読み返しながら「困ったなぁ」と思った。でも、ふと前にnoteでも書いた陰陽のマークがフラッシュバックした。
そうか。違っていいんだぁ。
白と黒が合わさって円となるのだから。お互いにお互いの色を一点だけ内包して、白と黒の合わさる接着面は「愛とリスペクト」で結べばいい。恋愛だって、ものづくりだって一緒だ。結局2極が合わさって世界はできているんだから。
だったら、まずは相手の言うことをちゃんと聞いてみよう。そう思ったのである。きっと、向こうも同じことを考えていたのだと思う。話を始めると、杉さんから出たアイディアには私の提案したものを入れてくれていた。

私が意地になって譲らなかったのは河北家のご先祖である三毛入野命の母である玉依姫が祀られている太宰府の宝満山の山頂へ依代となる植物を持って上がり、共に参拝し、それを床の間に飾る花の軸となる植物にしたい、ということ。
そして、河北さんが数年前に無農薬のお茶を作りたくて近隣の農家さんと揉めて、やけになって抜いてしまった在来種のお茶の木の死体(残骸)を使ってその蘇りを願いたいというものだった。その両方を花会@河北家のアイディアに入れ込んでくれていた。しかも、とても素敵に!!ありがとう!ありがとう!
私ではとても思いつかないような素敵な提案=演出だった。
杉さんはイメージを形に変換するのがとても上手い。しかも、美しく形にしていく。これって才能だよなぁ、といつも思っていた。              感激し過ぎて、「大嫌い」はあっという間に「大好き」に変わった。(相手に対する信頼は常にあるので大嫌いではないけどねw)

そして、「もし宝満山に登るのであれば明後日のみしか時間がない」ということだった。えーーーー、明後日とは、、、もう午前なので、正しくは明日である(汗)。
その場で飛行機の空席を見てみると始発が空いていた。急いでチケットの変更をする。そして、朝になってから、河北さん、登山のガイドをして下さる河野さん、宝満山の研究者である森弘子さんのスケジュールを急いで確認してみる。何とか、調整がついた!!!!しかも、蓋を開けてみたら、その日は宝満山にある竈門神社の例大祭の日で宮司もいらっしゃるとのこと。祭りが終わるのが12時で、私たちが山に上り始めるのは13時だったので、ちょうど清められた後で最高のシチュエーションである。ふーーー、整った。何とか整った。(涙)

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