見出し画像

【初めてのOJT⑤】ホウレンソウのさせ方

「初めてのOJT」について、全8回シリーズでお届けします。
後輩の育成に関わることになったOJTトレーナーに向けて、新人指導のポイントをお伝えします。

<<前へ 次へ>>

仕事の指示をした後は、報告や相談についても考えておく必要があります。
(仕事の指示の仕方はこちらから)

1.報告・相談の重要性を教えることから

ある新人から、こんな話を聞きました。
「先輩から ”報告や相談は、社会人の義務だ”と言われた。
義務があることはわかったが、なぜ報告や相談をしなければならないのかまでは教えてくれなかった」と。

新人たちは、ホウレンソウをしなければならないことは理解しています。

その一方で、新人たちの最初の試練もまた、ホウレンソウと言っても過言ではないでしょう。
「忙しそうな先輩に、報告したくてもできない」
「どこまで聞いていいのかわからず、相談できない」 など、OJTリーダーにも経験があるはず。

そんな新人たちの試練を放置しておいてはいけません。
そこで新人たちに伝えなければならないことは、報告・相談を適宜することの重要性です。

では伺います。報告や相談は何故しなければならないのでしょうか?
伝えていくためには、まずOJTリーダー自身が、その意義を理解する必要があるのです。
改めて、考えてみてください。

【質問】 報告・相談を何故しなければならないの?



2.報告・相談の意義とは

①OJTリーダーにとっての意義
a.報告
報告は過去から現在までの事実を伝える行為です。
具体的には、実施した結果・進捗状況・勃発したトラブルなどを報告します。

OJTリーダーにとって、後輩たちの報告を聞くことで
 *結果がわかる
 *進捗状況がわかる
 *進捗を聞くことで、軌道修正でき、トラブルを未然に防ぐことができる
 *トラブルを早めに報告を受けることで、早期解決することができる
このような意義があります。


b.相談
相談は、まだ起こっていない未来の事柄を確認する行為です。

OJTリーダーにとって、後輩たちの相談を聞くことで
*何に困っているのかがわかる
*ヒントを与えることができ、状況を進められる
*相談を受けることで、軌道修正でき、トラブルを未然に防ぐことができる
このような意義があります。


②新人にとっての意義
報告や相談は、当然ながら新人たちにも大きな意義があります。

例えば・・・
*上司や先輩を安心させられる
*トラブルを未然に防げる
*トラブルを早期解決できる  等

これらを踏まえた上で、報告や相談を積極的にすること、ひいては
自分の身を守ることにつながることをしっかりと教えてください。

3.報告・相談しやすい環境づくりとは

先述しましたが、報告や相談が大切なことはわかっていても、
なかなか”しづらい”ということも事実です。

①新人たちが報告・相談しづらい理由とは
□ 先輩たちが忙しそうで、声をかけづらい
□ 報告すべき事柄か判断がつかない
□ こんなことを相談していいのかと迷ってしまう
□ うまく伝えられるか不安
□ 質問に答えられないのではないかと不安に感じる
□ トラブルなど悪い事柄は報告ができない     等


②報告・相談しやすい「環境づくり」
新人にとって、報告や相談はハードルの高い仕事ですが、
OJTリーダーは新人たちに報告や相談を促していかなければなりません。
そこで、必要となるのが「報告・相談しやすい環境づくり」をすることです。

【質問】後輩たちが報告や相談しやすい環境づくりのために、
    具体的にどうしますか?



ここでは、環境づくりのヒントとして、以下の4点をお伝えします。

a.タイミングを教える
*すぐ終わる仕事
完了時に、報告するよう伝えておきます。

*複数日程に渡る仕事
完了時だけでなく、中間報告を促します。
長期にわたる仕事で注意しなければならないのは手戻りの発生です。
中間報告を促すことで、手戻りが発生した場合でも最小限で済むからです。

*ミスやトラブル
ミスやトラブルがあった際には、直ちに報告をするよう促してください。
このときに、OJTリーダーの状況は一切考慮しなくていいことも伝えておきます。
忙しそうにしているOJTリーダーを気遣うあまり、報告が遅れてしまっては本末転倒だからです。

*業務の定時報告
新人の配属直後は、仕事ごとの報告だけでなく、定時の業務報告をさせてください。
最初の1カ月は、毎日3回の定時報告を義務付けてください。
OJTリーダーも、その時間を確保してあげてください。

〔提示報告のタイミングと内容〕
1日の始め :実施すること、実施にあたって困っていること
午後の始め :午前に実施したこと、午後に実施すること、困っていること
終業前 :本日実施したこと、知ったこと、学んだこと、困っていること


b.中間報告の日時を設定する
複数の日程に渡るような仕事を新人に依頼した際には、
OJTリーダーから中間報告をさせる機会を積極的に働きかけてください。

重要なポイントは、予め「中間報告の日時を設定」しておくことです。

新人にとって報告や相談の気後れの原因は、先輩たちの”忙しさ”です。
「わからないときは、いつでも訊いて」と伝えていても、新人たちは躊躇するものです。
さらにテレワークが導入された昨今、先輩たちの仕事の忙しさがわかりづらいため、報告や相談が遅れがちになっている事実があります。

だからこそ、中間報告の日時を設定しておく必要があるのです。


c.忙しいときほど、聴く姿勢が大切
環境づくりには、共有する時間を持つことも大事ですが、
OJTリーダーの姿勢や態度・表情を意識することも大切です。

例えば・・・こんな経験はありませんか。

〔ケース①〕
新人時代、先輩に報告したときのこと。
先輩は「聞いているよ」と言いながら、PCに向かって作業をしていた。
「聞いてくれていない」、「他に優先事項があるんだな」と悲しくなった。
〔ケース②〕
新人時代、先輩に相談したときのこと。
先輩は「何でも質問して」と言っていたが、無表情で怖くなった。
尻込みしてしまい、何も相談できなかった。

先輩の聴く姿勢は、新人たちに話しやすさを提供する上で、とても大切なことなのです。
忙しい状況下で心に余裕がないと、つい新人たちを”ないがしろ”にしてしまいがちです。忙しいときほど、聴く姿勢を保つことが重要です。


d.新人のミスやトラブルのときほど、冷静に対処する
新人にミスやトラブルは、つきものです。
何も知らない世界に飛び込んだのですから、当たり前のことです。

だからこそ、新人のミスやトラブルで真価が問われるのが、OJTリーダーだと心得ておきましょう。
冷静に対処することを心がけましょう。

4.まとめ
①報告・相談の重要性を教えることから
②新人に理解させるために、OJTリーダーにとっての意義を理解しておく
③新人にとっての意義を明確にする
④新人が報告や相談しづらい状況を理解する
⑤OJTリーダー自ら、報告・相談しやすい環境を整える

=========================
【初めてのOJT①】 ”教える”ことは、最強の”学びの場”と心得る
【初めてのOJT②】 OJTの役割理解
【初めてのOJT③】 計画を立てる
【初めてのOJT④】 仕事の指示をする
【初めてのOJT⑤】 ホウレンソウのさせ方
【初めてのOJT⑥】 ホメる
【初めてのOJT⑦】 叱る
【初めてのOJT⑧】 吐き出させる

=========================
次世代リーダ人材育成のお問い合わせはこちら
弊社について
髙谷麻夕について
お問合せ

=========================
次世代リーダー育成ハンドブック
無料ダウンロードはこちらから


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?