ギガ入院 (日記その128
・いきなりド高熱(39.6度)が出て深夜2時に病院に行った。
・病院へ向かう車内、FMで好きなVtuberのラジオ番組が流れていて妙にホッとした。
・大きめの市立病院に着いた。とっくに消灯された院内をフラつきながら歩いて診察室の前までなんとか到着。色々と検査を受けて入院することになり、ベッドのある病棟まで看護師さんに車椅子で運んでもらった。車椅子に座って後ろから押してもらうのに密かな憧れがあったので嬉しかった。
・ベッドに着いてから氷枕やティッシュなどを看護師さんが持ってきてくれた。熱で脳味噌が躁に入ってたのもあって感極まるレベルの感謝の気持ちが湧いた。普段は考え付きもしなかったけれど、世の中には社会を維持運営するために真夜中に労働をしている人がいる。その偉大な献身を思うと涙が出そうになった。
・朝7時頃、ピアノの音で目が覚めた。ショパンの「ノクターンOp.9-2」。初めは院内放送で流れてるのかと思ったが、それにしては音に響きがあることに気づき、近くにあるプレイルームのピアノを誰かが演奏しているのだとわかった。曲が後半になるにつれて鍵盤を叩きつけるような荒々しい演奏になってきて、自分より荒れてる人間がいるとどこか落ち着いて二度寝に入ることができた。
・朝食が運ばれてきた。おかゆ・豆腐の煮物・おひたし。あまりにも病院食すぎてワロタ。普通ならここでうんざりしてしまうところだが、入院生活中はとにかく娯楽がないことを前回の入院で思い知らされていたので、眼前の食事に快を感じることにした。徹底的に集中して食べる。普段の食事では米の味なんてほぼ感じず飲み込んでいるけれど、今はあるもの全てを深く洞察して暇に殺されないようにしなければいけない。そう考えながら食事をしていると、味覚が味の薄い病院食にチューニングされて病院食の良さがわかってきた。とりあえず食事面では絶望せずに済みそうだと安心した。
・朝食を終えた。入院生活中は食事と睡眠以外にやることがないので暇つぶしの手段を開拓していく。屋上庭園、老人がリハビリをするコーナー、後は...何もなかった。プレイルームに何かしら本くらいあるだろうと思ったけど一切なかった。1Fに行けば売店があるらしかったけれど、まだ熱が38度くらいあってそこまで行く気力は湧かなかった。というか、昨日の夜病室まで運ばれてくるまでの間、意識が朦朧としていたので道が全くわからず、行ったら最後帰ってこれる自信がなかった。そういう訳で、僕の活動範囲は病室とトイレとプレイルームと屋上庭園に限定された。
・フラつきながらトイレに行ったら知らんジジイに捕まって「ヤクルトと牛乳を混ぜたものを飲むと良い」という話を聞かされた。
・屋上庭園の花に蜂が集っていた。
・自販機にウマ娘グッズが当たるキャンペーンのシールが貼られていた。病院の自販機にもこういうのあるんだと少し驚いた。
・自分以外の入院患者が老人であることに気づいた。彼らを見ているうちに、人間が健康で過ごせる期間の短さを痛感させられて、将来が不安になった。
・隣のベッドのジジイは腰をガッツリ壊してしまい、今後は腰の爆弾と上手く付き合って生きていくしかないらしかった。ジジイは「はぁ...いててて...どうすんだこれ...仕事できねえし...どうしてきゃいいんだ...」と沈痛な独り言を繰り返していた。普段だったら気に留めず聞き流す独り言だけれど、高熱真っ最中だった僕は病人の不安に精神的な調律が合ってしまっていて、妙にジジイの不安が自分ごとのように感じられてしんどかった。
・退院して帰宅。病気から復活して日常に帰って来られた。小躍りするくらい嬉しい反面、またいつか高熱にうなされることはあるんだろうと思うと既にうんざりしてきている。とりあえず衛生を強化するために殺菌力の強そうなハンドソープを購入した。
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