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外食恐怖症ってなんだ?

Xで朝の情報収集をしていたら「外食恐怖症」という単語がトレンドに入っていたのを見かけた。「そんな障害があるなんて知らなかった」というポストや「そもそも用語が間違った認識をされている」といった声が多く見受けられた。

この恐怖症について、当事者として少し書き留めておこうと思う。

■外食恐怖症を発症した経緯

まず冒頭、否定しておきたいことがある。
ネットを見ているとこのような言葉も見かけることがある。

"外食や飲み会がこわい?それって会社や人との会食に出席したくないという怠惰な感情からくる言い訳のひとつじゃないの?"

結論から申し上げると、全然違う。
では、わたしが外食恐怖症になった経緯をお伝えしよう。

わたしは当時お付き合いしている人がいた。わたしは元々胃腸が弱くよくお腹を壊していたので、相手には心配させることも多かった。優しい人だったのでわたしの体調を非常に気遣ってくれた。その度に私は「申し訳ないな」「心配されたくないな」という感情でいっぱいになった。
その人とはドライブなど出かけた際にはよく外食をしていた。ごく当たり前のことだと思う。その人は恰幅が良いわりにはあまり食べない人だったので、食事をする度に「この人は私が残したものまで食べられないだろう。残したらお店の人には迷惑だ」ということを考えながら食べていたのを覚えている。いつしかわたしは食事を残さないように、相手に心配をかけないように頑張って食べるようになった。

この頃からだんだんと体調がおかしくなっていった。

まずおかしいと感じたのは、空腹のためお店に入ったのにメニューを見ても全く食べたいという気持ちにならない。それどころか妙な満腹感と胃の気持ち悪さから食欲が1ミリも湧かないのだ。料理を目の前にしても喉のつかえからほんのひとくち、ふたくち程度しか食べられない。寒くもないのにお腹も下していた。その時はたまたま今日は胃腸の調子が悪いのだろうと思ってやり過ごしていたのだが、外食の度に調子が悪いものだから、相手にはひどく心配されるようになった。(相手に「俺といると調子悪いよね」とか言われるので余計ストレスになった。メンヘラ野郎が。)
当時特に苦手だったものは、コース料理、定食など。ボリュームのある食べ物や種類の多いもの、食べていても終わりの見えないものはプレッシャーになった。やっと食べられたものといえば漬物、豆腐、甘いものくらいだったと思う。

食べられない→心配される→がんばって食べようとする→体調が悪くなる→また体調が悪くなるかもしれないという恐怖→食べられない→心配される…という負のループ。今までに感じたことのないプレッシャーとストレスだった。
ちなみに、自宅でひとりの時は普通に食べられる。辛ラーメンに野菜を追加しても余裕という程度には食べられるのだ。自宅だとリラックスしているからなのだろうか?それにしても絶対におかしい。

このことについてとにかく調べまくっていると、極端に食べられない人の中には胃にピロリ菌がいる可能性があるときいたので、とりあえず胃カメラを飲むことにした。また当時色々な理由からお付き合いしていた人への嫌悪感やストレスなども重なり逆流性食道炎を併発しており体調は最悪。病院で相談するには都合がよかった。が、元々基本が健康体のため、胃に異常は何も見つからなかったのである。いっそなにかの病気であればこのおかしな事態も納得できたかもしれないのにと、ひどく落胆した。消化を助ける薬を出してもらったが外食時のおかしな不調は治らなかった。

つまり外食恐怖症は体の病気等ではなく、心因的なところに原因があるということである。きっかけは本当に些細なことだ。その日たまたま体調が悪くて食べられなかったり、食事の後具合が悪くなったり、その時に相手に過度に心配されたり…など人によって様々だが、大抵は食事の「失敗」を強く認識してしまうためではないかと思われる。この行動はまた「失敗」してしまうのではないか?相手に心配されるのではないか?これの積み重ねが食事という行為へのプレッシャーとなり、やがて外食=恐怖につながっていく。

当時は「外食恐怖症」「パニック障害」といった単語を知らなかったので、なぜこんなおかしなことになっているのか理解ができずに苦しんだものだ。これが今から2年ほど前のことである。ちなみに現在はメンヘラ野郎とは別れ、もう外食時の不調などはほとんどなく、以前のように人とも食事ができるようになっている。

■外食恐怖症を克服する

克服といっても、心因的なものなので「これをやれば治る」といったものはない。当時自分にパニック障害の自覚がなかったため、心療内科にも行っておらず薬も飲んでいなかったので、私の改善方法はいわゆる「行動療法」というものに当たるのではないかと思われる。

意識して行っていたことは以下2つ。
①カフェなどで軽食をひとりでとる
②たくさん食べる人と食事に行く

①に関しては、パンやサンドイッチなど軽いものは食べやすいので、これで食事を済ませることで外食でもひとりで完食できる!という成功体験を重ねることができた。
②に関しては単純に、わたしが残しても食べてくれる人がいるという安心感が得られた。2人前くらい食べられる奴を味方につけて外食すれば怖いものはない。

これを数年行ったことで、だんだんと外食時の症状は改善されたように思う。食事前に抗不安薬を飲むこともひとつの対処法だが、当時わたしは胃を悪くした際にすぐ飲めるようにと胃薬を持ち歩くのみであった。頓服薬を持ち歩くのも自分を安心させるひとつの手段である。

■まとめ

自分の置かれている状況によって、誰にでも外食恐怖症(パニック障害)になる可能性はあるという。わたしは自分の性格や昔から胃腸が弱いことを考えるとそもそも不安症、パニック障害になりやすい部類にあたると思う。(神経質で完璧主義で閉所・暗所恐怖症)

実は今もパニック障害は克服中である。急行電車に乗れなくなってしまったので今は抗不安薬を飲んで生活している。
これもおそらく数年前に発症した外食恐怖症から続く「不安感」の地続きで、メンヘラ野郎と付き合っていたストレスに原因があるような気がしてならない。というかそれしか思いつかない。対人関係のストレスとは本当に恐ろしいものである。

この投稿が同じように悩んでいる人の目に留まり、少しでも参考になればと思う。また外食恐怖症とはどんな症状なのかという認識が広まることで「付き合いの悪い人」「飲み会に来ないゆとり野郎」などといった誤認が減ることを祈っている。

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