怒りっぽいお年頃

「ご家族の皆様からご順にお棺のお近くまでお集まりください」

このフレーズって失礼なのかな?
ま、家族以外の人もいる中で
「家族だけ特別扱いして」怒怒
ってなる人もいるんだろうなぁとは思うので、
私は常に言葉を慎重に選ぶようにしている。
「お近い方からご順にどうぞ」
という言い方にして、誰が近い人なのかは、自分たちの判断に委ねる事を期待している。

何が言いたいかというと、
一人のおじいちゃん(せっかち、どんどん前に来て何でも先にやりたい派)が
お花入れの準備の待ち時間にしびれを切らして
いの一番に式場に入って来ようとしたのだが、前述の担当者のセリフを聞き
「ダメなんだってさ、あっちで待ってろってさ」
と言って、もう一度待合室の方に行ってしまい
そして、せっかくお別れする為に葬儀に参列したのに
お花を受け取ろうともせず、お棺の近くにもよらず、悪態をついていた
「俺は家族じゃないんだろ!こっちで待ってろって言っただろ!」
だって…トホホ

なんでそんな意固地なお年の取り方をしてしまったんだろうね
まるで私の父親を見ているようだ

その人は多分だけど、故人の義理の兄か弟なんだと思われる。
亡くなった人の妹の旦那さんかなぁって感じだった。
家族っちゃ家族だろうけど、
葬儀を出してる側の人達を我々葬儀屋さんは「ご家族」と呼んでる。
この場合は
故人の旦那さん、長男、次男、長女の直系のご家族を「家族」
とくくって考えているのだ。
その人達を先に案内するのは至極当然のことと思うのだが
それは葬儀屋のエゴなのか?

怒りんぼおじいさんは
町中でも見かけるし、そのたびに胸がざわざわする。
あーあ、色々思い通りにいかないからって、
そんなイライラを周りにぶつけちゃってさって
こっちもざわざわする

でも、その人の同情ポイントはあるよ
管と袋をぶら下げていたから、
多分ストーマ(人口膀胱)なんだろうなと思った。
なぜ、肛門ではなく膀胱かと思ったかというと、
男性のいわゆる社会の窓から管を出していたからです。
そんな光景を見たのは初めてだったので、衝撃を受け
同情をしましたが、そうだからと言って周りに悪態をついていいのでしょうか。
その方は、火葬場でお食事の時、誰よりもたくさんビールや日本酒を飲み
(あれ?ストーマではないのかも…とも思った)
そして収骨の時間になり移動の案内をすると、
最後まで座って残っている瓶のお酒を片っ端から片づけるという醜態をさらしていました。
最後にはお料理屋さんのお醤油のミニボトルを日本酒のボトルと勘違いし
ポケットに忍ばせるという荒業までやってのけたので
失礼ながら、
「そういう年の取り方だけはするもんか」と
心に誓ったのでした。
家に帰って、妻に隠れてこっそりポケットからお醤油のボトルを取り出し、
飲む姿を想像すると
なんだかシュールです。

怒りんぼのおばあさんにはならないように気を付けます。

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