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「性的同意」とメディアの性情報①「女の子は恥ずかしがるフリをするもの」by中3男子

サトシ(仮名・23歳)は有名私立大学の文学部4年生。北陸出身で色白、小柄で目が細く、どことなく歌舞伎の女形を連想させる。内定先は財閥系の商社。就職活動で身につけたと思われる物腰は礼儀正しい。だから、「初体験は中3です」と言われたときは少々意外に感じた。

サトシには現在、同じ大学に交際1年半になる彼女がいるが、それまでは短期間の関係のみを繰り返してきた。その1人目となる彼女が出来たのが、地元の公立中学3年生のときだったという。

小学生の頃にエロ本、中学生になってからはAVやネットのアダルトサイトを愛用していたサトシは、早く実際にセックスをしてみたいと思っていた。付き合い始めた同級生の彼女を親がいない間に家へ呼び、迫った。だが、相手はどうも乗り気ではない。

「はっきり嫌とは言わなかったけど、『うーん、うーん』みたいな感じで。『はい、しましょう』ではなかったですね。でも僕は、やりたい盛りだったので、相手の気持ちまで頭が回らなかったんです」

結局、サトシはことを半ば強引に遂行した。彼女はその後、去っていった。

「女の子は最初は恥ずかしがるフリをするもんだろう、と考えていました」。サトシは振り返る。

当時、初体験を迎えるにあたり参考にしていたのが『ホットドッグ・プレス』(講談社・1974~2004年)だ。10代から20歳前後の男性向けに、「どうすれば女性にモテるか」という視点からファッションや恋愛マニュアルの情報を発信し、バブル期に熱烈な支持を得た雑誌である。童貞向けの特集を度々組み、「始める前に部屋の電気は消しましょう」「爪は切りましょう」など、セックスへ至る段取りを細々と指南していた。

「『彼女が部屋に来ることはH出来る期待度大、★4つ』とか書いてあるんですよ。あと『女の子の方からはHしたいと言いにくいから、勘違いしない程度に汲みましょう』みたいな。男の方から大胆に行け、というのが根底にある論調でした。それに、当時よく読んでいた漫画にも、女の子が最初『いやー、やめて』とか『やだー』って嫌がっていてもだんだん喜ぶ、っていうパターンが多かったです」

いまのサトシには、それらが完全な創作だったとわかるという。だが中学生の頃は、メディアからの情報を信じるしかなかった。

「仲間内で自分が1番初体験早かったんで、友人には聞けなかったんです。親や学校も教えないので、メディアの存在が大きかった。自分に体験がないと、メディアからの情報が嘘か本当か判断出来ない。判断基準がないし、判断する余裕もなかったですね。あのときの彼女には、身勝手で申し訳なかったと思います」

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