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登山に最適なペース

登山に出発する際に、自分で計画を立てる際は、まずは目的地の情報を収集すると思います。最近は、登山ルートの地図やコースタイムもインターネットなどで簡単に調べることが出来るようになりました。また、天気予報や、最近のコース情報なども同様に調べることが出来るようになりました。

安全に登山を行う上で大切なのは、自分の体力に合った山を選択することです。登山のガイドブックに記載されている「一般レベル」のコースタイムは、上りでは1時間当り約300mの上昇、下りでは約450mの下降を行うように計算されています。(注意:中にはそのように設定されていない部分もあります)。コースタイムを見て、その時間歩き通せるかという判断をしなくてはなりません。もちろん、そこには出発時間と到着時間の計算も必要ですね。

しかし、いくらコースタイム通りに歩けるから、と言って、ゼーゼーハーハーするようなペースでは安全な登山とは言い切れません。“山の選択”の次に大切なのが、“ペース配分”です。最適なペース配分とは「ゆっくり歩く」や「マイペース」などと言われます。しかし、主観的な表現のため、わかりづらいのが現状です。最適なペースを知るには、個々の体力を表す客観的指標である心拍数を用いるとわかりやすいです。「登山に必要な持久力」でも記載しましたが、登山において疲労を防止するためのガイドラインの一つに、「220−年齢」という式で概算される各人の最高心拍数(HRmax)の75%以下を保って歩くことが上げられます(図1)。

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75%HRmaxを超えたペースで歩くと、乳酸が蓄積し始め、呼吸がきつくなったり、脚が重たくなったりします。登山中にオーバーペースが続くと、転倒や滑落など、予期せぬ事故につながることもあります。

実際に登山経験の少ない高齢者が富士登山を行っている際の心拍数を測定した実験があります。(論文:登山経験の少ない高齢者における富士登山時の生理応答)それによると、それぞれが考える「ゆっくりとしたペース」で登っていたにも関わらず、富士山5合目付近の行動中で、すでに86%HRmaxほどに達しており、さらにそこから頂上へ向かう際にも、常に75%HRmaxという基準を上回っていたとのことです。このことからわかるように、登山経験が少ない人、または最近体力が落ちてきたと感じる人ほど、自分が考える「ゆっくり」なペースよりもさらにペースを落として登ることが必要なのです。心拍数の計測方法は触診で測定する場合は、歩きながら、もしくは少し立ち止まって行いましょう。心拍計を使用して測定する方法もあります。

また、「主観的運動強度(RPE)」を用いて「きつさ」を数字で表す方法もありますが、これを登山に最適な指標として用いる場合、11〜12程度で行動するのがよいとされます(表1)。

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色々なルート、荷物の重さの変化、そこで自分の「マイペース」を把握していくことで、自分なりの基準が作れるといいな〜と思います(^^)


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